世界シェア50%から10%に、日本の半導体産業はなぜここまで落ちたのか―中国メディア

Record China    2021年10月29日(金) 14時20分

拡大

27日、観察者網は、かつて世界の半分のシェアを誇った日本の半導体産業が没落した理由について考察する記事を掲載した。

2021年10月27日、中国メディアの観察者網は、かつて世界の半分のシェアを誇った日本の半導体産業が没落した理由について考察する記事を掲載した。

記事はまず、「日本の経済産業省のデータによれば、日本の半導体産業は1988年、世界市場の50.3%のシェアを持っていた。しかし、2019年になると10%を保つのが精一杯という状況になっており、経産省はこのまま何の打開策も講じなければ、将来的に日本のシェアはほぼゼロになるかもしれないとの懸念すら示している」とした。

そして、台湾のTSMCが10月14日に日本工場建設方針を発表したことを挙げ、「日本のメディアは、ついに日本の半導体産業を救う白馬の王子が来たと大喜びしたが、日本の半導体産業はTSMCの到来によって完全に終わりを告げるかもしれない」と論じた。

その上で、「半導体産業は各部品の製造や完成品のテストなどの各セクションを異なる国、企業間で協力して進める水平的分業方式が広く採用されているが、これは日本企業がお得意の『系列』生産方式とは大きく異なるものである」と指摘。「日本では、パナソニックトヨタといった組み立て会社が、数え切れないほどの系列部品サプライヤーを抱えており、製品の設計、試験生産、本生産、改良、経営の改善などあらゆる作業が系列内で行われている。系列内の企業同士が緊密に繋がり合っているのだ」とした。

また、「系列のトップにある組み立て企業同士が激しい競争を繰り広げる中、それぞれの系列が生産効率を高めていき、より優れた製品の開発、国内外市場の拡大へと繋がっていった。このような垂直的な分業方式によって、日本の家電産業や自動車産業は世界を席巻していったのだ」と説明した。

記事は、「2000年代に入って産業の重点に据えられるようになった移動通信産業では、系列のしがらみがなく、フラットな立場から技術や能力の高い業者に生産を委託する水平的分業方式が世界の主流となり、各国、各企業は自らの最も優れたリソースを持ち出して半導体の設計、生産に参加するようになり、製品の急速な進化、生産数の増加が実現、ユーザーのニーズにより近い製品が次々に誕生するに至ったが、日本は伝統的な垂直管理生産を続け、結局半導体産業のスピード感についていけなくなった」と指摘した。

また、「半導体産業には長期的かつ大規模な投資が必要だが、日本は基本的に1970〜80年代に投資した工場を使い続けている点にも注目すべきだ」と主張。「もちろん日本の工場も技術的なアップグレードを行っているが、世界との差は大きく開いている。日本政府も半導体産業に『輸血』を行い、業界再編による技術革新に期待したものの、結局その成果は得られずじまいだった」とした。

記事は、「TSMCは本当に日本に半導体産業にとって救世主となりうるだろうか」と疑問を提起。「日本は半導体の原材料や生産設備において重要なサプライヤーであるものの、日本国内には半導体産業全体のサプライチェーンが整っておらず、日本企業はあくまでサプライチェーン上の一セクションにおける提供者に過ぎない状況だ」とし、「この状況を脱却するには、それこそTSMCのような関連技術を全面的に掌握して市場のニーズを満たすような企業や、米国や中国のように人口が多くてニーズの旺盛な国が、国内にサプライチェーンを構築して国内需要を満たすと同時に世界市場への影響力も持つことが必要だ。日本の政治家が喜んで使う言葉で表現すれば、すなわち経済安保のパワーなのである。ところが日本にはスマートフォン、コンピューター、5Gといった産業がほとんど存在せず、国内市場も限定的だ。おまけに経済安保政策は日本企業に重要な半導体製品を中国に売らないよう求めているのだからどうしようもない」と指摘した。

そして、「『失われた20年』を経た日本の半導体産業に対し、TSMCは技術の譲渡もしないだろうし、日本を半導体危機から救うこともできないだろう。2024年ごろには半導体産業に生産能力過剰の危機がやってくる。もしかしたら、これが日本の半導体産業に引導を渡すことになるかもしれない」と述べた。(翻訳・編集/川尻

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携