Record China 2021年11月14日(日) 7時30分
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中国からの輸出が差し止められたために韓国が尿素不足に悩んでいる。ところで尿素とはどんな物質なのだろう。何から作って何に使うのだろうか。「おしっこ」と関係あるのだろうか。写真は中国国内の尿素水生産工場。
このところ、中国からの輸出が差し止められたために韓国が尿素不足に悩んでいるという話題が、しばしば報じられている。ところで尿素とはどんな物質なのだろうか。何から作って何に使うのだろうか。「おしっこ」と関係あるのだろうか。さらには、どうして中国が輸出を差し止めたのか。そのあたりを探ってみた。
まず「尿素」という名称だが、人などの尿に含まれることに由来する。人など動物の体内では、たんぱく質が絶えず交換されており、使い終わったたんぱく質はアンモニアになる。このアンモニアは人体にとって相当に有害だ。そこで人体はただちに、アンモニアを毒性の少ない尿素に合成しなおして、尿の成分として排出する。
この尿素には保湿作用があるので、保湿クリームなどの成分として使われている。尿素はそれだけでなく、農業用肥料やある種の樹脂の原料としても使われている。そして近年になり、尿素の重要性はさらに増した。ディーゼルエンジンの排気中に存在する窒素酸化物を浄化するシステム(尿素SCRシステム)に使うため、尿素が重宝されるようになったのだ。
なお、人の尿も回収されて産業的に利用される場合がある。ただし目的は尿素を得ることではなく、脳梗塞などの治療に用いられるウロキナーゼや、その他の微量な成分を抽出することだ。また、現在は尿に頼らず遺伝子組み換えを行ったハムスターの細胞を使ってウロキナーゼを得る方法が導入されている。
尿素は常温常圧では白色の結晶なので、ディーゼル排気の浄化に使う場合には水溶液、すなわち尿素水として使う。環境基準がある以上、尿素水がなければディーゼルエンジンを使えなくなってしまうわけだ。肥料としての用途も考えれば、尿素が不足したり価格が高騰すれば、農業や物流、人の移動など、経済や社会における重要な分野が大きな影響を受けることになる。
尿素を工業的に作るのに欠かせない物質がアンモニアだ。アンモニアは石炭や天然ガスから抽出される。中国はオーストラリアとの外交問題がきっかけで同国からの石炭輸入を事実上禁止し、自国内における炭鉱事故の発生で安全検査を強化したことなどから自国産の石炭も不足。そのため2021年には電力不足が発生したという。中国による尿素輸出の事実上の禁止も、石炭不足が波及したとみられている。
韓国で尿素不足がとりわけ深刻化したのは、自国内での尿素生産が2011年には打ち切られ、ほとんどが安価な中国からの輸入品に頼るようになったからとされる。日本では尿素の原料であるアンモニアが生産されているので、自国内で必要な量の尿素を生産できているという。
中国政府・国家発展改革委員会の発表によれば、中国国内でも尿素卸売指数(CNPI)は高騰し続けている。5月25日時点で1751.04だったCNPIは、10月25日時点には前年同期比1256.63ポイント高の3106.80に達した。需給バランスで価格が形成されることを考えれば、中国国内でも尿素の品薄が発生している可能性がある。(翻訳・編集/如月隼人)
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