AIが「人知」超える2045年が転換点に=自由資本主義より中国型体制が有利―西原元早大総長

八牧浩行    2021年12月4日(土) 8時20分

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西原春夫早稲田大元総長(アジア平和貢献センター理事長)が都内で講演。「人工知能(AI)の能力が人間の判断能力を2045年にも超える」と指摘。AIと親和性のある中国型計画経済を発展させると強調した。

国際アジア共同体学会(会長・進藤榮一筑波大名誉教授)が主催する日中シンポジウムがこのほど東京の国会議員会館で開催され、西原春夫早稲田大名誉教授・元総長(アジア平和貢献センター理事長)が講演した。「人工知能(AI)の能力が人間の判断・能力を超えるシンギュラリティは2045年にも到来する」と指摘。AIと親和性のある中国型計画経済を発展させると強調した。

西原春夫早稲田大名誉教授・元総長の講演要旨は次の通り。

◆「21世紀・中国」をどう見るか

世界は転換期にあり、世界の大きな流れは中国を発展させる方向にある。日本のメディアは(中国の)難点ばかりを指摘するが、人類の歴史の大きな流れを報じていない。

大きな流れとは何か。人工知能(AI)の発達である。

(1)AIの能力が人間の判断を上回るシンギュラリティは2045年にも到来する。二十数年後にこの時代が実現すると、AIの人間行動の判断や予測が人間の能力を上回る。

(2)AIが発展すれば選挙制度に基づく民主主義は崩壊する。バイデン大統領が主張するような民主主義と専制主義の対立はなくなる。資本主義も社会主義も同じようなことになる。

(3)今までは国家、企業、個人の活動の成り行きや成果についての予測できなかったが、可能になる。

「人知」に限界があったためマルクスの時代にはマルクスレーニン主義の実現は不可能だった。人知に限界があったからソ連はじめ社会主義国は崩壊した。AI時代には、自由資本主義より(膨大なデータに基づく)計画経済の方が実態を正確に把握でき、能率的で的確な予測と政策遂行が可能だ。

議会制民主主義の選挙制度が形骸化し、国民の意見・欲求や利益を反映されなくなった。選挙でしか国民の要求が分からない中、権力の濫用のほか癒着や汚職も目立っている。国民の総意を表しておらず民主主義が機能していない。

中国では1950年代の「大躍進運動」、60~70年代の「文化大革命」、80年代末の「天安門事件」など混乱があったが、人間の知恵と能力が有限だったためである。

多くのメディアは、中国の発展過程を大きな視点に基づいて報道すべきである。新型コロナ感染問題では中国はほぼ封じ込めており、数万人の感染者を記録している欧米と対照的である。

習近平国家主席は、共産党設立100年に当たる2021年と、中華人民共和国設立100年に当たる2049年との間に社会主義の現代化を実現しようとしている。AIが人間を凌駕するシンギュラリティが実現すれば理想に近づくと見ていることは明らかだろう。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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