亜洲週刊 2021年12月12日(日) 6時20分
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香港誌「亜洲週刊」はこのほど、中国軍が台湾を攻撃する事態になった場合、日本は米国以上に積極的に軍事介入する方針を固めたと論じる、毛峰東京支局長の署名入り記事を発表した。
香港誌「亜洲週刊」はこのほど、中国軍が台湾を攻撃する「台湾有事」になった場合、日本は米国以上に積極的に軍事介入する方針を固めたと論じる、毛峰東京支局長の署名入り記事を発表した。中国側を猛反発させた安倍晋三元首相の発言は、その「序曲」と考えられるという。
安倍首相は1日、台湾の民間シンクタンクである国策研究院が主催したフォーラムにオンライン参加し、「台湾有事は日本有事だ。すなわち日米同盟の有事でもある。この認識を(中国の)習近平国家主席は断じて見誤るべきでない」などと述べた。
中国外交部の華春瑩次官補は同日夜、北京駐在の垂秀夫大使を呼び、安倍元首相の発言に強く抗議した。亜洲週刊記事は垂大使の対応について、中国側の主張をただちに本国に伝えると述べた上で、「日本政府としては、政府のメンバーでない者の発言について、逐一説明する必要はない」と述べ、さらに「中国は、台湾問題について日本国内にはこのような見方があることを知る必要がるある」として、中国の一方的な主張を受け入れられないことを強調したと紹介した。
記事によると中国の専門家からは、安倍元首相の発言について、自らの政治的利益を得ることや、岸田文雄首相が進める外交を妨害することことが目的との見方が出た。しかし記事は、安倍元首相の発言は、「精妙な政治的計算」に基づく、対中防衛力の強化などを含めた日本の既定の方針の「序曲」に相当するとの見方を示した。
安倍氏についてはまず、日本の憲政史上、最も長く首相を務めた人物と指摘。さらに、安倍派は自民党内最大の衆参議員95人を抱える派閥であることから、安倍元首相の発言は現職閣僚の発言よりインパクトが大きく、自民党の政策に決定的な影響を持つと論じた。
さらにある情報通の日本人に取材したところ、安倍元首相の発言について、岸田首相は「事前に暗黙に了解していたはず」と述べたという。まず、安倍元首相が台湾のシンクタンク主催のフォーラムにおける発言は、当初は8月に予定されていた。しかし11月にまで延期された。岸田首相が衆院選に大勝利したことで長期政権の実現が可能になり、その時点で台湾関連政策を明確にしたという。
また、岸田首相が11月17日に衆議院会館内の安倍元首相の事務室を訪れて、外交や経済について意見交換をしたことや、安倍元首相が自らの発言の3日後に岸田外交について、外見は温和だが、実際は非常にしっかりしていると高く評価したことから、安倍元首相の発言の背後には岸田首相の支持があったとの見方を示した。
記事は、安倍元首相は今後の日本がすでに定めた外交軍事方針についての「斬りこみ役」を務めたとの見方を示した。次の段階としては、安倍元首相の発言などで中国が台湾に対する軍事的圧力を強めれば、「台湾有事は日本有事であり日米同盟有事」を安保戦略や防衛計画大綱に盛り込ことで、「台湾有事」の際に日本が軍事参加する法的根拠を与える。さらに次の段階としては、日米安全保障協議委員会(日米「2+2」)の今後の共同声明や日米豪印戦略対話(クアッド)の枠組みにも盛り込み、中国大陸の対台湾武力行使をさらに強く阻止する状態を形成する狙いがあるとという。
記事は、中国が台湾に侵攻した場合、日本はかつて「台湾を軍事援助する可能性が最も低い国」と見られていたが、日本はすでに方針を180度転換しており、「中国人民解放軍の台湾武力侵攻に対して台湾防衛の支援を最も積極的に行う先鋒になった」と評し、日本の描くシナリオの衝撃は現状にだけでなく、将来の日中関係にさらに深く影響を及ぼすと主張した。(翻訳・編集/如月隼人)
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