中国経済2021年、「不景気に最も苦しんだ業界」とは? 原因はコロナ以外にも

Record China    2021年12月21日(火) 8時20分

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ドイチェ・ベレは、中国において2021年に「不景気に最も苦しんだ業界」を紹介する記事を発表した。タクシー配車サービスなどを手掛ける滴滴出行のように、コロナ禍以外の状況が響いた企業、業界も多い。

ドイツメディアのドイチェ・ベレはこのほど、中国において2021年に「不景気に最も苦しんだ業界」を紹介する記事を発表した。

記事は冒頭で、中国の産業界に発生した2021年に特有の状況を指摘した。まず2年目に突入した新型コロナウイルス感染症、さらに世界規模でサプライチェーンに問題が生じていること、また中国政府が一部産業に対して強力な監督管理や整理、場合によっては形を変えた取り締まりを実施したことがあるという。

不景気に苦しんだ業界の筆頭としては、従来型製造業とした。長年に渡り利益率が低下し続けていたことに加え、感染症の影響で産業チェーンが断ち切られたことで、原材料の入手が出できなくなる状況も発生した。また、人件費や物流コストが大幅に上昇した。エネルギー削減や排出についての政府の要求が厳しくなり続けたことも影響した。さらには突然の停電など、予測不能な要因で操業を停止せざるをえない事態も発生した。

コロナ禍の影響が大きかった企業としては旅行関連業、飲食業、航空輸送業を挙げた。旅行業の場合、海外旅行ができなくなっただけでなく、厳しい感染拡大抑止対策が国内旅行にも大きな影響を与えた。感染症対策として、感染者が1人でも確認されればその地域を丸ごと閉鎖するので、旅行で訪れた地域で感染者が発生すれば、そのまま閉じ込められてしまう。そのため、多くの中国人が旅行計画を取り消してしまった。

飲食業の場合、「最も悲惨な状況」は20年の前半だった。その後は地元住民の客足は回復したが、以前のように社交のために飲食店を多く利用する習慣は戻らなかった。店舗側にとっては材料費や経営コストが上昇した。「閉店ラッシュ」が出現し、それが一段落した後も、飲食店にとっての競争の厳しさはほとんど低減しなかった。全世界に1600店舗近くを展開する海底撈は11月、年末までに約400店舗を閉じると発表した。

航空輸送業界でも、大部分の航空会社が赤字に転落した。ただし中国の航空会社の大部分は国有または国有系企業であり、海南航空が破産を宣言した以外に、倒産した航空会社はなかった。

中国の不動産業界は「不健全な高度成長」をしていると指摘されていた。習近平国家主席は「投機目的の物件売買はさせない」と号令した。そして政府は、不動産関連企業に対して負債率の圧縮を要求した。そのため、恒大集団の経営危機に象徴される、不動産デベロッパーによる巨大な規模の債務問題が発生した。21年後半に中国の不動産市場は目に見えて低迷し、不動産仲介業の状況は日に日に厳しくなっている。

インターネット関連業も、政府の規制強化などで厳しい状況が発生した。21年になってから、アリババテンセント、京東(ジンドン)、滴滴出行(DiDi)などが、市場独占の疑いで調査対象となった。アリババは、自社のECプラットフォームでの商品出品を求める業者に「他のプラットフォームは使わない」ことを要求していたことが独占行為に該当するとして、182億元(約3250億円)の罰金を科された。中国における独占行為絡みの罰金としては過去最高金額だった。

米国の証券取引所で株式を上場しているネット関連企業に対しては「情報流失」という安全問題を理由とする政府の調査が実施された。配車サービスなどを行う滴滴出行の場合、調査対象になったことで、株価が30%以上、下落した。滴滴出行は12月3日、米ニューヨーク証取の上場を廃止し、代わりに香港証取に上場する方針を明らかにした。アリババやテンセントなどの株価も下落し、米国内の証券取引所に株式上場するハイテク関連の中国企業の株価は、合計で1兆3000億ドル(148億円)分が「蒸発」したという。

SNSや娯楽関連プラットフォーム業界も政府の規制を受けた。テンセント、快手、微博(ウェイボー)などのプラットフォーム運営企業は、「わいせつな投稿」への対応に手落ちがあったとして罰金を科せられた。テンセントは音楽コンテンツの独占掲載契約を解除させられた。政府はまた、青少年のオンラインゲーム使用時間に制限を設けた。SNSやゲームを主力とするテンセントの株価は、2月中旬に過去最高値をつけたが、その後は時価総額が2兆2400億元(約40兆円)下落した。

教育産業も、政府の規制により大打撃を受けた。政府は教育産業の「資本化」を厳禁し、さらに正規の学校が扱う教科を教える組織は「非営利団体」として登記せねばならないとした。これらの規制は教育産業にとって「死刑宣告」になった。業界をリードしていた新東方の株価は80%下落、同じく業界大手の好未来の株価は90%下落した。中国では正規の教育機関以外の教育事業に従事する人が1000万人を超えているが、失業する人も出ている。(翻訳・編集/如月隼人

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