人民網日本語版 2022年1月12日(水) 15時50分
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今や日本の若者は学校を出ても給与が低く、やりがいが少なく、昇進の機会も少ない労働環境に足を踏み入れるしかない。写真は東京。
「第二次大戦後の奇跡的な復興」から「失われた30年」まで、日本の経済成長は長期的に見ると活気がなく振るわない状態にある。今や日本の若者は学校を出ても給与が低く、やりがいが少なく、昇進の機会も少ない労働環境に足を踏み入れるしかない。結婚しない、子どもを産まない、仕事をしない、家から出ない道を選択する人もいれば、年老いた両親の傍らに引きこもって「パラサイト・シングル」になる人もいる。日本の著名な人口学者で内閣府の民間議員を務める中央大学の山田昌弘教授は、「同じアジア諸国の中国や韓国なども同じように少子高齢化が引き起こすさまざまな社会問題に直面しており、日本のソリューションや経験、教訓はもしかしたら中韓にも参考になるかもしれない」と話す。環球時報が伝えた。
■パラサイト・シングル
山田氏は、「家族単位で考えれば、親は子どもが自分たちよりよい暮らしをしてほしいと思い、子どもは少なくとも親の世代以下の生活はしたくないと考える。現在の日本の若者の親世代(1960年以前生まれ)はちょうど日本経済の高度成長期に当たり、高い給与をもらい、資産を持っており、退職金も相対的に手厚く、中産階級の仲間入りを果たしたという人々だ。これとは対照的に、若者世代(1970年以降生まれ)が学校を卒業した頃、働く機会が減少し、給与水準が下がり、親世代が手に入れた中産階級の身分を維持することすら難しい」と述べた。
山田氏は、「日本では多くの低所得層が今なお両親と一緒に生活しており、年齢は20歳から50歳くらいだ。両親が生きてさえいれば、『子ども』である彼らは結婚せず、子どもを産まず、仕事をしなくても、生活はできる。『パラサイト・シングル』と非難される」と説明した。
日本の若者の仕事や収入の状況が、彼らの結婚や子どもに関する考え方に直接影響を及ぼしている。山田氏は取材に、「安定した仕事につかず、収入も少ない男性は女性に好かれることが難しく、300万円から400万円ほどの年収がなければ結婚恋愛市場の入場券すら手に入らない。このような状況が多くの男性をしり込みさせ、いっそのこと結婚や子どもを諦める。高所得の女性はふさわしい相手に出会えなければシングルを選択し、なんとか結婚した女性は家庭に入って外に出なくなる傾向があるが、男性の収入が減っているので、結婚しても安心して専業主婦暮らしをするわけにはいかず、スーパーやコンビニでレジ打ちをしたり、清掃などの肉体労働をしたりして家計を助けなければならない。こうした仕事で満足感を得るのは難しい。欧米諸国では移民がする仕事を、日本では若者がしている」と述べた。
■「上昇への憧れ」を失った若者
山田氏は取材に答える中で、「欧米の比較的ゆとりある社会環境に比べ、東アジア諸国は『若いときに努力して上に行かなければ、後からでは挽回できない』社会だ。全体として言えることは、男性はどのレベルの大学に行くかでどのレベルの会社に入るかが決まり、さらには将来の生活レベルまで決まってしまう。女性はどのレベルの男性と結婚するかで、将来の生活レベルが決まる。この2本の道は『今いる階層からの下降』を防止するための重要なルートだ」と述べた。
残酷なことに、日本の大学進学率は約50%で、名門大学には入れるのはそのうちのごく一部だ。学歴社会の日本では、高卒以下は生きていくのが難しく、自暴自棄になって徹底的に社会に背を向ける人も少なくない。こうした「下降を回避するための競争」の勝利者は、学歴を足がかりにして安定した仕事を見つると、それ以降は「上昇への憧れ」を失い、毎日をただひたすら穏やかに過ごしたいと願うようになる。
こうした日本の若者は自分の将来が心配にならないのだろうか。山田氏が出した答えは簡単で、「彼らはつまるところ将来のことは考えていない」という。
■若者が希望を持つにはどうしたらいいか?
この状態が長く続けば、日本は大勢の国民が「集団で下降移動する」初の先進国になるだろうか。山田氏は、「下降ではなく、知らず知らずのうちに徐々に衰退していくだろう。下降は高いところから突然下に落ちることだが、日本の状況は『ゆでガエル』のようなもので、最も危険なのは、変化が少しずつ発生していながら、日本人は少しも気づかない中で貧困に陥っていくことだろう」との見方を示した。
山田氏は、「今の日本の若者は途方に暮れることはないが、『上昇志向』の原動力や願望を失っている、こうした若者に未来はない。今ある問題はおそらく20年後に集中的に顕在化するだろう。その頃の日本がどんな様子か想像しがたい。きっと、こうした『子どもたち』は年齢が上がり、仕事がなく、かなりの確率で両親の貯金を当てにして生活し、真の貧困に陥り、階層が『下降移動する』流れは止められないだろう」と述べた。
山田氏は試みとして次のような対策を打ち出している。「問題解決のカギは『若者に希望を抱かせること』であり、仕事では従来の年功序列型の賃金体系を打破し、若者にも管理職に昇進する可能性を与えることが必要だ。結婚や出産に関しては、両親と子どもが同居するパラサイト文化から脱して、パートナーを探し、家庭を構えるための準備をするべきだ。また社会全体が若者へ希望に満ちた環境を提供すべきだ」。(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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