今年もコロナに阻害される「春節の帰省」、中国人の心に渦巻く葛藤

Record China    2022年1月30日(日) 18時0分

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春節(旧正月、2022年は2月1日)前後の時期に帰省などのために移動する人は、今年もコロナ発生前と比べて半数以下になると見込まれている。そのことが中国人の心に暗い影を落としている。写真は北京駅前。

中国政府・交通運輸部の予想によれば、2022年2月1日に訪れる春節(旧正月)前後の時期に交通機関を利用して長距離移動する人の数は延べ11億8000万人だ。新型コロナウイルス感染症が発生する前の2019年には延べ29億8000万人だったので、18億人も減少することになる。

中国人にとって、故郷を離れて生活する人も春節時に帰省して一家団らんで過ごすことは、大きな喜びだ。もっともコロナの影響で帰省できない“延べ18億人”が発生したことで、中国では無数の「悲しい物語」が発生している。ただし、一部ではあるようだが、「心温まる物語」も生まれているという。

黒竜江ハルビン市に住む高齢男性の趙さんは最近になり、北京からやってきた孫娘と会うことができた。とはいっても、趙さんが孫娘の手を握ったり抱き上げることはできなかった。

孫娘らは、高速鉄道を利用して北京からやってきた。しかし、ハルビン市内で自由に行動するには、14日間の隔離生活に甘んじねばならない。孫娘らはそのまま高速鉄道で北京に引き返すことになった。趙さんはホームや線路の上の跨線橋に上り、孫娘に菓子類を投げ与えた。これが趙さん一家にとっての、春節前の「一家団らん」だった。

寧夏回族自治区に住む女性は、北京にいる姉のところに行って春節を過ごすつもりだ。というのは、実家に戻ればそのまま、7日間の在宅隔離の対象になるからだ。実家にいる母は最初、娘の帰省について「お前が在宅隔離になるんじゃ、(巻き添えになって)私は迷惑を受ける」と言っていた。しかし、娘が本当に帰ってこないと知った母は、電話でいろいろと話しているうちに泣き出してしまったという。

浙江省寧波(ニンポー)市に住むあるネット―ユーザーは、多くの人と同様に春節期に帰省できなくなるかもしれないと心配していた。するとある日の朝、市の防疫弁公室(感染症対策事務室)から電話がかかって来た。電話相手は会話の冒頭で「あなたの航空券情報を拝見しました」と言った。そして「搭乗前48時間以内のPCR検査を忘れないでください。旅行中は、感染予防対策をしっかりしてください」と注意を喚起。さらに「実家に戻って年越しをされることを歓迎します」とつけ加えた。

感染症が本格化して2年余りが経過した。故郷を離れて暮らす人にとって、故郷との距離は単なる「物理的距離」ではなくなった。「故郷に戻ることを歓迎します」といった一言は、故郷を改めて生き生きと思わせてくれる。逆に、帰省することは故郷での感染拡大のリスクを招くとする「悪意ある帰郷」といった言葉は、故郷から疎外された感情を引き起こし、帰省すべきかどうかを自ら決められなくなり、漂泊感がさらに高まり、そのことで不安に陥ってしまう。

さまざまな感染抑止対策が実施され、そのことで多くの中国人の心中では年越しの帰省を巡っての憂慮や不条理感、期待と喜びが渦巻くようになった。故郷への道は長く、あるいは困難かもしれない。しかし中国人はどこで春節を過ごそうと、最後には皆で「新年、おめでとう」と言い合えることを楽しみしている。(翻訳・編集/如月隼人

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