韓国出身で現在はショートトラック中国代表のコーチを務めるビクトル・アンさんが8日、自身のSNSで家族を傷つけることはしないでほしいと訴えた。

ショートトラックの元選手のビクトル・アンさんは、韓国代表として出場した2006年のトリノ五輪で金メダルを3個獲得するなど輝かしい成績を残したが、その後、アンさんの父親いわく「韓国国内の劣悪なスケート環境」を理由にロシアに国籍を変更。ソチ五輪では母国・韓国の前に立ちはだかり、再び金メダル3個を獲得した。現在は韓国のライバルである中国でコーチを務めている。

鳳凰網体育など複数の中国メディアによると、アンさんは8日に自身のインスタグラムに「私に対する非難や叱責はすべて受け入れる。しかし、私にとって最も苦しくつらいのは、罪のない家族が傷付けられ苦しめられること」と投稿し、一部のユーザーから家族に対して誹謗中傷が寄せられていることを告白。「私の選択が多くの人を失望させたことを知っている」とした上で、「私が関与できないことや記事のことについて家族に汚い言葉を浴びせるのはやめてください」と訴えた。なお、アンさんは後に投稿を削除したようだ。

中国のコーチを務めるアンさんは、北京五輪ショートトラック男子1000メートルで中国選手が金メダルを獲得した際に両手を挙げて喜ぶ姿が韓国で物議を醸していた。記事によると、韓国のネットユーザーからはアンさんの娘が韓国の小学校に通うとみられるといった情報や、娘の個人情報をさらすことをほのめかすような脅迫めいた投稿が相次いでいるという。

中国版ツイッター・微博（ウェイボー）では8日午後4時現在、「ビクトル・アンの家族が韓国でネットリンチに」がトレンド2位に。中国のネットユーザーからは「（韓国は）これだから人材が流出するんだよ」「韓国のこういう世論が人材を国外へと追い出している」「こんな状況で韓国の小学校に通わせるなんて、怖すぎる」「子どものことで脅迫するなんて最低だな」「韓国のために栄誉を勝ち取った人を侮辱し、その妻子を攻撃する。韓国人の度量なんてこの程度」「中国はビクトル・アンが安心して指導に当たれるように動くべきだ」「中国のインターナショナルスクールに通いなよ」といった声が寄せられている。（翻訳・編集/北田）