北京冬季五輪で中国と韓国のあつれきが目立っている。4日の開会式に登場した「チマ・チョゴリ（韓服）」に韓国内では「文化侵奪」などと批判が噴出。ショートトラック男子1000メートル準決勝での中韓選手同士の接触が火に油を注いだ。韓国紙はメディセンターなどで提供される食事も酷評した。

開会式には中国少数民族の朝鮮族の代表として「韓服」を着た女性が登場。聯合ニュースなどによると、韓国政府代表として開会式に出席した黄熙・文化体育観光相は記者団に「中韓両国の良い関係に誤解が生じかねない」と指摘した。保守系最大野党「国民の力」の次期大統領候補の尹錫悦氏も演出を批判した。

これに対し、在韓中国大使館は8日、広報担当の声明で「中国のすべての民族の代表が民族衣装を着て五輪に参加することは、彼らの願いであると同時に権利でもある」と強調。「韓国側にも中国の全民族の感情を尊重することを望む」と付け加えた。ロイター通信は韓国内で反発が出ている背景として「中国が最近、韓国文化のさまざまな側面に中国の起源が見られると主張していることに対し、一部の韓国人から不満が出ている状況がある」と報じた。

香港紙「サウスチャイナ・モーニングポスト（SCMP）」によると、7日のショートトラック男子1000メートル準決勝で中国人選手と接触した韓国人選手が失格となった問題をめぐっては、K-POPの人気グループ「防弾少年団（BTS）」ファンと中国のネットユーザーの非難合戦に発展した。

インスタグラムのフォロワーが2810万人にもなるBTSのリーダーRMが韓国人選手の追い越しシーンを投稿し、拍手と親指の絵文字をつけたところ、中国版ツィーターの微博で中国のネットユーザーは「#BTS InsultingChina（#防弾少年団辱華）」、BTSが中国を侮辱したという意味のハッシュタグをつけて怒りを示した。一部のネットユーザーはBTSの公式SNSに集まって嘔吐(おうと)する絵文字、韓国男性を卑下する人差し指の絵文字を大量に書き込んだ。

BTSのファンも応戦。BTSを象徴するカラーの紫色のハートを書き込み対抗し、うっとりしているような表情の絵文字などをつけて嘔吐の絵文字を見えなくしてしまった。SCMPは「防弾級防御で画面を浄化させた」と伝えた。

中韓のあつれきは現地の食事にも飛び火。韓国・ハンギョレ新聞は「メディアセンターで頼んだ豚肉丼は骨が半分以上で食べ物というよりは現代美術に近かった」「ホテルで注文した日本式のウナ丼には細かく切られたウナギが入っており、韓国にいる知人に写真を送ったが、誰もこの食べ物の正体を当てることはできなかった」などとこき下ろした。（編集/日向）