このところ、韓国人の対中感情が悪化している。韓国では北京五輪大会の開会式をきっかけに、「中国が文化を略奪した」との批判が噴出した。韓国国内で中国人留学生に対する暴行事件も発生した。米国に拠点を置く華字メディアの多維新聞は12日付で、韓国は戦後になって大成功したが、韓国人は自らに自信を持てていないので、自己批判ができず自らを称賛するしかないと論じる記事を発表した。

北京冬季五輪の開会式では、中国の各民族が自らの伝統衣装を着て登場した。その中に「チマ・チョゴリ（韓服）」を来た女性もいた。中国では東北部を中心に朝鮮族が170万人余りも暮らしている。中国は自国の朝鮮族について「多民族国家であるわが国を構成する56民族の一つ」と定めている。従って五輪開会式に自国のさまざまな民族の伝統衣装を登場させるならば、その中に「チマ・チョゴリ」がなければ、むしろ異常だ。しかし韓国では同件について「文化侵奪」などの批判が噴出した。

また韓国・釜山市では9日、中国人留学生に対する暴行事件が発生した。留学生は住宅の階下で喫煙していたところ、韓国人2人に暴行を受けたという。喫煙マナーを巡る単純なトラブルではなく、韓国人側は相手が中国人と知って暴行に及んだとされる。

多維新聞記事はまず、「韓国人の心理状態」の背景には「大国に挟まれた小国としての不愉快な歴史の記憶がある」と論じ、韓国は長期間にわたって中国の属国であり、次は日本の植民地になったと指摘。さらに、第二次世界大戦後も米国を頼り軍事的保護を受けており、あたかも独立自主の国の歴史が存在しないようだと評した。

記事はさらに、「歴史上の境遇が韓民族の自信に大打撃を与えた。思い通りにならない歴史と現実に直面して、韓国は民族的自尊心を必要とした」と指摘し、その結果として発生した強烈な民族的自尊心のため、「些細なことも大げさにネットにアップされる。悠然たる度量は失われた」と論じた。

また、強烈な自尊心が形成された結果として「成功しか認めない。失敗は容認できない」「自らを称賛することしかできない。自己批判はできない」などの現象が発生したと論じ、さらに五輪に関連して開会式や、それ以外にも判定結果に関連して中国を高飛車に攻撃しはじめたことは「韓国の自尊心と自信を鮮明にするためだ」「これは韓国人の心理にある劣等感の真実の反映」と主張した。

記事は、韓国人が目指すべき状況として「本当に自信のある民族は彼我の文化を分かち合うことを楽しむ。自らの失敗と不足に直面する勇気がある」「韓民族はまだ自信を持てないようだ。これは韓国が直面せねばならない重要な問題だ」「歴史は歴史だ。すでに過ぎ去ったことだ。韓国は歴史の束縛を受ける必要はない」と論じた。

記事は最後の部分で、韓国現代史について「過去50年から60年に渡って大成功した」と指摘し、「世界の十大経済国になった。アジアでは数カ国しかない発展国の一つになった」「一人当たりGDPでは数年内に日本を追い抜く可能性もある」と高く評価した上で、「中国は、韓国が自信を持ち強大になった上で東アジアの国際政治に参画することを歓迎する。それは韓国にとっても世界にとっても利益のあることだ」と論じた。（翻訳・編集/如月隼人）