亜洲週刊 2022年2月21日(月) 7時40分
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香港メディアの亜洲週刊はこのほど、ASEAN(東南アジア諸国連合)では現在、5Gネットワークの建設が急ピッチで進んでいると紹介する記事を発表した。写真はベトナムのホーチミン市
香港メディアの亜洲週刊はこのほど、ASEAN(東南アジア諸国連合)では現在、5Gネットワークの建設が急ピッチで進んでいると紹介する記事を発表した。
移動通信については、4G(第4世代)までの技術で、従来型の通信ならば速度や安定性にほぼ満足できる状態になったとされる。5 Gを導入する大きな目的は、通信速度を大幅に引き上げることで、IoT(モノのインターネット)や自動運転、遠隔医療、スマートオフィス、各種人工知能などの実用性を大幅に向上させ、「異次元の情報利用」を成立させることだ。そのため世界の多くの国が、デジタル技術導入の中でも「国家を変容させる鍵」と考え、5 Gの導入に力を入れている。
■リードするシンガポール、急進展を見せるタイ
ASEAN10カ国の中で、5G技術の導入のトップランナーとみなされているのがシンガポールだ。シンガポールの場合、2021年5月の段階で5Gの中でもスタンドアローン(SA)の方式を採用することを決めた点が特徴の一つだ。
SAとは、非スタンドアローン(NSA)と対照される方式だ。NSAの場合には、従来の4G用施設をも利用するが、SAの場合には4G関連から完全に独立させて5Gネットワークを構築する。かつてはNSAの採用が多かったが、現在はSAの方が最終的には低コストで高効率であり、従来はなかった利用法の開発にも有利とされている。
シンガポール通商産業省は2021年8月の時点で、2022年末までに国の半分を5Gネットワークでカバーし、2025年末までに全土をカバーすると発表したが、シンガポール・テレコム社のウェブサイトによれば、シンガポールの5Gネットワークはすでに国土の3分の2以上をカバーしているという。
中国企業の華為技術(ファーウェイ)の調べによると、タイでは情報技術の導入が急速に進んでいる。特に、分野横断的な発展が最高潮を迎えているという。
特に注目すべきは5Gの導入で驚異的な成果を上げていることで、世界の移動体通信事業者の業界団体であるGSM協会によると、かつての4G導入時の同時期との比較で、1.5倍の速度で事態が進展しているという。
■ASEANで市場規模最大のインドネシア、自国内で設備製造のベトナム
ASEANは人口が計約6億6000万人の世界有数の巨大市場だ。中でもインドネシアは人口が約2億7000万人で、ASEAN域内で人口が最も大きい。そのインドネシアは、世界の中でも電気通信関連の市場がもっとも急速に発展している国の一つとされる。
インドネシアの電気通信事業大手であるインドサットは2021年に同国スラカルタ市で、同社として初めての5Gサービスを開始した。また最近になり、スラカルタ市政府との提携の一貫として、中小零細企業の能力強化やデジタル人材の育成、スマート都市の開発などを手掛けると発表した。インドネシアは今後、5Gネットワークをジャカルタやスラバヤ、マカッサルなど主要都市に広げていく方針だ。
ベトナムには、5G関連の一部設備を自国で生産している特徴がある。また、農業やハイテク、製造業のスマート化に重点を置く5G運営の大規模実証も実施している。ベトナムは2022年内にハノイ市やホーチミン市などでの5G業務の許可を発行する計画だ。
新型コロナウイルス感染症の影響で計画は遅れているが、ベトテル、ビナホン、モビホンの電気通信大手3社が16の省や市で試験的サービスを展開する見込みだ。また、主要都市以外にも工業団地などでもサービスを提供する。
■電波の周波数帯割り当てなどで、ASEAN加盟国が協議
5Gネットワークを拡大していく上で、重要な課題となるのが電波の周波数帯の割り当てや電波干渉の防止策だ。最近では、米電気通信事業者のAT&Tが1月19日に5Gサービスの開始を予定していたところ、ボーイング777型機に搭載している電波高度計に生じる恐れがあるとして、全日本空輸や日本航空を含む航空運輸会社が、該当機の運航を取りやめた。AT&Tは結局、サービス開始を延期した。
ASEAN10カ国の場合には、それぞれの国が主権を持つだけに、5Gについての周波数の問題については事前の協議と協調がなおさら重要になる。
ASEANの場合、2021年11月に、5Gの周波数帯を巡るオンライン会議が実施された。専門家らは、3.5ギガヘルツ帯に関連する問題を議論した。3.5ギガヘルツ帯は、多くの国が複数の地上局を衛星を通じて結ぶ固定衛星サービス用の周波数帯として使用しているためだ。
固定衛星サービスには、災害による被害を受けにくい、広域性、同時性などの長所がある。そのため、5Gによる3.5ギガヘルツ帯の使用については、地上と衛星を結ぶ電波に干渉しないように、効果的な手法を導入する必要があるとされる。(翻訳・編集/如月隼人)
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