財政政策はどのように中国経済の安定成長を支えるか?―中国メディア

人民網日本語版    2022年3月9日(水) 8時50分

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第13期全国人民代表大会第5回会議が5日に開幕し、財政部が「2021年中央・地方予算執行状況と2022年中央・地方予算草案に関する報告」の審議を要請した。写真は上海。

第13期全国人民代表大会(全人代)第5回会議が5日に開幕し、財政部が「2021年中央・地方予算執行状況と2022年中央・地方予算草案に関する報告」の審議を要請した。この37ページからなる「国家の帳簿」は6日と7日の2日間にわたり、代表グループ会議で代表による審査を受けることになる。

■税金の還付・減税、製造業と小規模・零細企業のキャッシュフローを増加

同報告は、今年の税金の還付・減税規模を約2兆5000億元(約45兆円)とすることを提起した。減税の部分については、一部の減税・費用削減政策を引き続き実施するとともに、減免の割合を拡大し、適用範囲を拡大し、約1兆元(約18兆円)の負担軽減を進める。税金還付の部分については、今年は繰越税金について1兆5000億元(約27兆円)の大規模な還付を行うという。

政策の計画に基づき、税金還付では小規模・零細企業を優先的に取り扱い、こうした企業の還付を受けていない繰越税金については今年6月末までに一度に全額還付することとし、増加した繰越税金についても満額還付することとする。同時に、製造業を重点的に支援し、製造業などの業界の繰越税金の問題を解決するという。

中国政法大学財税法研究センターの施正文(シー・ジョンウェン)センター長は、「今年は新たな組み合わせによる税金支援政策を実施し、その中で『新しさ』は減税に体現されるだけでなく、税金還付にも体現され、さらに税金還付の規模がより大きくなることにも体現される。これは過去にはなかったことだ」と述べた。

施氏は、「減税部分はこれまでの政策の一部を引き継ぐものだが、減免の割合や適用範囲などの拡大により、マーケットエンティティーはより多くの実質的な恩恵を受けることになった。例えば、小規模・零細企業なら課税所得100万~300万元(約1800万~5400万円)は、現行の優遇政策を基礎として、さらに企業所得税を半減し、これは税率が5%まで引き下げられたことと同じになる」と述べた。

■中央政府の支出を削減、地方政府への移転支出を増加

同報告によると、今年の中央本級支出(中央財政支出から地方移転支出を引いたもの)は前年比3.9%増の3兆5570億元(約64兆260億円)となる。中央本級支出は2年連続の「マイナス成長」の後で「プラスに回帰」した。それにもかかわらず、中央政府の支出はマイナス成長を維持し、今年は同2.1%減となった。

これと同時に、今年は中央政府から地方政府への移転支出が大幅に増加した。予算案によると、中央政府一般公共予算における地方政府への移転支出は9兆8千億元に迫り、前年比約1兆5000億元増加し、増加率は18%になり、例年に比べて大幅に増加した。地方政府の財政支出の増加率は8.9%に達した。

施氏は、「地方政府への移転支出の大幅増加の主な目的は、財政力の地方への広がりを推進することで、新型コロナウイルス感染症の中で、末端が直面する困難がより大きく、より切実的になっていることから、地方政府が末端の『三保(基本的民生の保証、賃金の保証、財政運営の保証)』を着実に進められるよう、より多くの財政資金を充て、基本的民生を改善し、マーケットエンティティーの発展を支援する必要だ。ここ2年ほどの間に打ち出された資金を直接支給するメカニズムなどの措置はみな、この目的を達成するために打ち出されたものだ」との見方を示した。

■リスク軽減、財政政策の持続可能性を強化

2022年は財政の赤字率を2.8%前後にする目標が掲げられ、数字は前年より引き下げた。感染症の発生以来、赤字率が「縮小」されたのはこれが初めてだ。施氏は、「感染症の発生前、中国の財政赤字率は3%以内をずっと保っていたが、感染症の打撃に対処するために財政支出を増やしたことで、20年から赤字規模が拡大し、この2年間の赤字率は平均で3%を超えた」と分析した。

同報告によると、財政赤字率は引き下げ調整されたが、財政支出の規模は引き続き拡大しており、全国の一般公共予算支出は同2兆元以上増で同8.4%増の26兆7100億元(約480兆7800億円)となり、実際に使用できる予算が明らかに増加し、適切な支出の強度を維持することが可能になり、積極的な財政政策の力の入れ具合が弱まっていないことがわかる。

植信投資研究院の植平(ジー・ピン)チーフエコノミストの分析によると、財政赤字率2.8%は昨年の3.2%よりも低く、財政政策の持続可能性を保つ上でプラスだ。ただ全体的な赤字規模はさらに拡大し、財政拡張の勢いは弱まるどころかかえって強まっていて、実際には赤字率3.8%前後レベルの経済喚起の効果を上げることができ、民生の保証、雇用の保証、マーケットエンティティーの保証が引き続き財政政策の重要な努力ポイントになるという。

赤字率を適度に引き下げ調整したと同時に、債務規模の設定では「合理性」が特に際立つ。今年の政府特別債発行額は3兆6500億元(約65兆7000億円)前後で、昨年から横ばいだった。

施氏は、「特別債発行額が増加せず、昨年並みであることから、リスクを予防・抑制すると同時に、投資の力の入れ具合を弱めていないことがわかる。政府は経済を引っ張るために手本を示したのだ」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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