中国のロシア・ウクライナ戦争における戦略は今のところ成功―米華字メディア

Record China    2022年3月19日(土) 8時20分

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米華字メディアの多維新聞は16日、ロシア・ウクライナ戦争における中国の外交戦略を分析する論評記事を掲載した。

米華字メディアの多維新聞は16日、ロシアウクライナ戦争における中国の外交戦略を分析する論評記事を掲載した。

記事は、「ロシアとウクライナの戦争は依然続いている。戦争が始まってから、この問題に対する中国の立場は一貫しており、ウクライナ問題は複雑な要因が絡まった結果だと考え、歴史の経緯をたどり、元を正すべきで、いかなる国の合理的な安全保障上の懸念も尊重されるべきと強調している」とし、「中国はまた、共同的、総合的、協力的、かつ持続可能な安全保障の観念を積極的に提唱し、和平交渉の促進に尽力し、国際社会に対してロシアとウクライナの和平交渉を共に支援し、実質的な成果をできるだけ早く達成するよう要請してきた。ウクライナ問題に対する中国の立場と発言の背後には、国際安全情勢と自国の利益、国際道徳に対する複数の考慮事項があり、これは中国の外交に対する全体的な見方と大局的な見方を示している」と分析した。

記事は、中国の外交安全戦略の全体像について「3つの側面が含まれる」とした。

第一に、「国際的な政治闘争と国家安全の現実から見て、中国はロシアを支持する必要がある」と指摘。「近年、中国と米国の戦略的対立がますます激しくなり、米国はすでに中国を最大の敵とみなしている。欧米諸国のほとんどが中国と対立しているという背景のもと、ロシアは中国の数少ない“盟友”の大国である。ロシアのプーチン大統領が北京冬季五輪の期間中に発表した中ロ共同声明では、大量の文章で米国の民主主義と人権の価値観を批判し、中ロ両国の国際問題における相互理解を強調した。ロシア・ウクライナ戦争の勃発以来、中国はロシアがウクライナを“侵略”したという西側の言葉には同意せず、中国とロシアの友好は『揺るぎない』と繰り返し主張してきた」と説明した。

さらに、「ロシア・ウクライナ戦争は、今世紀で最も重要な歴史的事件の一つであり、世界情勢と大国関係に大きな影響を与えるだろう」とし、「米国は常に中国とロシアを敵陣営とみなし、2国の接近を非常に警戒してきた。米国のロシアに対する未来戦略の観点から、米国とNATO加盟国はウクライナ戦争を利用して、経済制裁や政治的画策、色の革命などの手段を通してロシアを崩壊させようとしている。もしロシアが米国に破壊されたなら、米国は全力で中国に対処してくるだろう」と分析した。

第二に、「欧米による中国の共同封じ込めの可能性に対する観点から見て、欧米の陰謀を打ち砕くため、中国はまた欧州の安全保障に関する問題に自制を保つ必要がある」と指摘し、3月7日に行われた全国人民代表大会の記者会見での中国の王毅(ワン・イー)外相が「中欧関係は第三者を対象とするものでも、(第三者に)依存するものでも、制約を受けるものでもない」と述べ、中欧の協力は「強靭(きょうじん)さと潜在力があり、どんな勢力にも逆転させることはできない」と主張したことを挙げ、「このような表明は実際、中国と欧米のバランスの解釈として最良のものだ」と紹介した。

また、「欧州の人々の中国に対する認識は、中国のロシア・ウクライナ戦争に対するものと同じくらい複雑である」とし、「2019年3月、EU(欧州連合)委員会はEUの政策文書『EU−中国の戦略的展望』で、中国は初めて“別の政治体制を推進する制度的競争相手”として、また交渉相手、経済競争相手として登場した」と指摘した。

さらに、2021年初め、EUと中国が「中国・EU投資協定」に大筋合意したものの審議が凍結されたことを挙げ、「これは、米国のジョー・バイデン大統領の就任前に成立し、かつては中国が米国とのバランスをとるための大きな勝利とみなされていた。しかし、新疆ウイグル自治区などの問題のため、協定の批准プロセスは行き詰まっている。また、台湾の問題によって、中国とリトアニアの関係は悪化している。これにより、中国とEUの間の対立が絶えず出現し、米中関係が悪化するという背景下で、中国は欧州との協力をさらに模索する必要がある。これも中国の外交の全体的な見通しの中で非常に重要な部分である」と分析した。

第三に、「国際的な道徳と中国国内の歴史と現実の観点から見て、中国はウクライナ問題に対してある種の同情を示し、人道的支援をする必要がある」とし、「中国は国連の常任理事国として、各国の主権の尊重と領土保全、国連憲章の目的の順守を一貫して主張してきた。ウクライナ問題と比較して、中国の新疆ウイグル自治区問題、チベット問題、台湾問題も複雑であり、程度の差はあれど分離主義勢力が存在している。これは、中国が向き合うべき現実であり、中国の外交が全体的に見て注意を払うべきポイントの一つである。そのため、中国はウクライナに対して最大限の自制をし、国民を守り、大規模な人道的危機を防ぐよう呼びかけ、さらにウクライナに緊急の人道支援もしている」と指摘した。

また、大局的な観点からは、「国際的に見て中国が促しているのは、和平交渉を通してウクライナ問題の解決を模索することと、平和だけが国際秩序の崩壊を防ぐということだ。さらに、中国自身の利益の観点から、ロシア・ウクライナ戦争によって中国自身も冷戦のような東西対立の中に陥らないよう努力する必要がある。中国の未来にとってそれは極めて不利益となるからだ」と分析した。

記事は、「いずれにせよ、中国はウクライナ問題でロシアと対立することはなく、道徳性を失うことも、中国の国家利益と国際闘争の現実的な必要性を無視することもない」とし、「中国の立場と態度は、実際にはかなり幅を持たせたものであり、後に中国がこの問題において調停をするという選択肢もある。現在、中国は世界でも数少ない調停能力を持つ国の一つであり、ロシアは言うまでもなく、中国はロシア・ウクライナ戦争において欧州での広範な批判の対象にはならなかった。それどころか、一部の欧州の政治指導者たちは、中国が積極的に動き、調停の役割を果たすことを望んでいる。今のところ、中国のロシア・ウクライナ戦争における戦略は比較的成功しているといえるだろう」と分析した。(翻訳・編集/刀禰)

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