第14次五カ年計画の新型エネルギー貯蔵、巨大な「モバイルバッテリー」の構築法―中国

人民網日本語版    2022年4月11日(月) 19時50分

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中国は2025年には新型エネルギー貯蔵を商用化初期の段階から大規模な発展の段階に進め、大規模な商用化の応用に向けた条件を整えることを目指すという。

電力需要のオフピーク時には電気エネルギーを利用して空気を圧縮して塩洞窟に貯め、電力需要のピーク時にはこの空気を放出して空気タービン方式の発電を行う。江蘇省常州市金壇区では、地下1000メートルの塩洞窟が電力を貯蔵する巨大な「モバイルバッテリー」に変身し、1回の貯蔵サイクルで30万キロワット時の電力を貯蔵することが可能だ。これは6万人が一日に使用する電力に相当するという。

この圧縮空気によるエネルギー貯蔵は新型エネルギー貯蔵「ファミリー」の一員だ。国家発展改革委員会と国家エネルギー局がこのほど通達した「第14次五カ年計画新型エネルギー貯蔵発展実施プラン」によると、2025年には新型エネルギー貯蔵を商用化初期の段階から大規模な発展の段階に進め、大規模な商用化の応用に向けた条件を整えることを目指すという。

■新型エネルギー貯蔵とは一体何か?私たちとの関わりは?

エネルギー貯蔵は太陽光発電と風力発電の不安定さを解消できるだけでなく、通常の火力発電や原子力発電などに合わせて、電力システムの運営にピークカットや出力調整などのサービスも提供することが可能なのだ。

一般的に、新型エネルギー貯蔵とは、揚水発電によるエネルギー貯蔵以外の新型のエネルギー貯蔵技術を指し、新型リチウムイオン電池、フロー電池、フライホイール、圧縮空気、水素貯蔵(アンモニア貯蔵)、熱(冷)エネルギー貯蔵などが含まれる。

なぜ高い品質で大規模に新型エネルギー貯蔵を発展させる必要があるだろうか。これは現在のような新エネルギーの開発規模が急速に拡大し、電力消費量のピークとオフピークの差が拡大する大きな背景の中で、電力システムの安全な運営を保証するために必然的に出てきたニーズだ。

エネルギー貯蔵の役割をわかりやすく言えば「モバイルバッテリー」のようなもので、風力発電や太陽光発電の発電量が多い時や消費のオフピーク時には充電し、風力・太陽光発電の発電量が少ない時や消費のピーク時には電力を供給する。太陽光・風力発電の不安定さを解消し、再生可能エネルギーの比率を高めるとともに、通常の火力発電や原子力発電などを補完し、電力システムの運営にピークカットや周波数調整などのサービスを提供し、電力システムの柔軟性を高めることができる。

3月20日、浙江省紹興市にある35キロワット級の紅星変電所では、コンテナ式電池ユニットの最後の4基がホイスト式クレーンでつり上げられて所定の場所に設置された。これにより、同省初の35キロワット級電力ネットワーク直結型エネルギー貯蔵発電所が稼働までカウントダウンの段階に入った。国網紹興市上虞区供電公司の陳岳峰(チェン・ユエフォン)サブチーフエンジニアは、「エネルギー貯蔵発電所は最大出力が6メガワットで、出力2馬力の家庭用エアコン約3000台を同時に2時間使用できる量だ。試算では、エネルギー貯蔵発電所が完成すれば、上虞の220キロワット級の道墟変電所の電力消費量のピークとオフピークの差が現在の43.5%から35.45に低下し、ピークカットとピークシフト、負荷曲線をなだらかにする上でプラスになる」と説明した。

■新型エネルギー貯蔵は建設サイクルが短く、用地選択が容易かつ柔軟で、調節能力が高い

同局の関係責任者は、「新型エネルギー貯蔵は建設サイクルが短く、用地選択が容易かつ柔軟で、調節能力が高く、新エネルギー開発・利用との互換性も高く、優位性が徐々に顕在化しており、先進的エネルギー貯蔵技術の大規模な応用を加速的に推進する上での必然的な流れだ」との見方を示した。

施設の建設サイクルを見ると、揚水発電によるエネルギー貯蔵式発電所は通常6-8年かかるが、新型エネルギー貯蔵のうち電気化学エネルギー貯蔵施設は3~6カ月と短く、圧縮空気式エネルギー貯蔵施設は一般的に1年半から2年になる。

用地選択と応用シーンについて、国網エネルギー研究院有限公司新エネルギー・統計研究所の黄碧斌(ホアン・ビービン)副所長は、「揚水発電によるエネルギー貯蔵式発電所の用地選択では往々にして高低差の大きい地形を探さなければならないが、容量受益マージンが大きく、発電所1カ所あたりの規模が大きく、電力網側の大規模な体系的応用に適しているという長所がある。一方で、新型エネルギー貯蔵施設は1カ所当たりの体積が大きくも小さくもでき、環境への適応性が高く、電源、電力網、ユーザー側の各種類の応用シーンに柔軟に対応でき、揚水発電によるエネルギー貯蔵を補完することができる」と説明した。

調節能力を見ると、新型電気化学エネルギー貯蔵は反応の速度が速く、ミリ秒~秒単位での応答が可能だ。

同局の関係責任者は、「第13次五カ年計画以来、中国の新型エネルギー貯蔵は研究開発のモデル実証の段階から商用化の初期へと移行し、実質的な進歩を遂げた。リチウムイオン電池や圧縮空気によるエネルギー貯蔵などの技術はすでに世界トップレベルに達しており、2021年末には新型エネルギー貯蔵の設備容量は累計400万ワットを超えた」と説明した。

電気化学エネルギー貯蔵技術を例にすると、ここ数年で電池の安全性、寿命、重量エネルギー密度などのキーテクノロジー指標が大幅に向上した一方で、応用コストは急速に低下した。黄氏は、「この5年間近くで、リチウムイオン電池のエネルギー密度は2倍以上高くなり、寿命は2~3倍延び、応用コストは60%以上低下した」と述べた。

今後の新型エネルギー貯蔵の発展の可能性は大きい。中国科学院電工研究所エネルギー貯蔵技術研究チームの陳永翀(チェン・ヨンチョン)代表は、「中国のエネルギー貯蔵設備容量は世界一の規模だが、風力発電や太陽光発電などの新エネルギー設備容量に対するエネルギー貯蔵の割合は7%に満たない。その一方で、世界の他の国や地域ではこの割合が平均で15.8%に達している。新エネルギー発電の規模が急速に拡大するのに伴って、中国の新エネルギー設備容量に対するエネルギー貯蔵の割合はさらに大きく上昇する可能性がある」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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