Record China 2022年4月30日(土) 8時20分
拡大
新型コロナ対策で世界の「優等生」とされた台湾で感染者が急増。10日連続で過去最多を更新したが、蔡英文政権は対策の重点を感染源の封じ込めから重症化の抑制に移行した。写真はワクチン接種を受ける台湾の市民。
新型コロナ対策で世界の「優等生」とされた台湾で感染者が急増している。26日には1日当たりの発表数としては初めて6000人を超えた。10日連続で過去最多の更新となったが、蔡英文政権は対策の重点を感染源の封じ込めから重症化の抑制に移行し、規制緩和措置を開始した。
台湾は3月上旬まで感染をほぼ抑え込んできたが、3月7日に域外からのビジネス客の受け入れ再開や隔離期間の短縮といった規制緩和に踏み切り、感染が急拡大している。中央通信社によると、24日に5172人新規感染者を確認し、1日当たりとして初めて5000人を上回ったのに続き、26日には6295人を記録した。
中央感染症指揮センターによると、台湾内の感染者は計6万8022人になった。死者は856人。26日は中等症の患者が4人増えたが、新たな死者の発表はなかった。同センターの指揮を執る陳時中・衛生福利部長(厚生相)は「流行のピークは1日当たりの新規感染者が4万5000人になる可能性がある」と述べたが、同時に急速な感染拡大に歯止めをかけ、ピークに達する期間をなるべく遅らせたいとの考えも示した。
一方で台湾当局は感染力が強い変異型「オミクロン型」の拡大を受け、対策の重点を感染者数の抑制から重症者数の抑制に移した。当局は新規感染者の大半は無症状か軽症で、必要な薬の確保も進んでいるとして、不安の払拭(ふっしょく)に努めている。
具体的には感染者の接触者を対象とした在宅隔離期間を10日間から原則3日間に短縮する。4日目に簡易検査キットで陰性であれば外出が可能になり、公共の交通機関の利用や職場への出勤、買い物もできるようになる。
3日間の隔離は1人1室で行い、隔離を終えた後は4日間の「自主防疫」期間とする。マスクの常時着用が必要なほか、店内での飲食や会食などは不可。人混みへの立ち寄りや不特定多数の人との接触も禁じる。
濃厚接触者として指定する対象をより狭める新措置「重点的疫学調査」も25日から台湾全土で始まった。接触した期間を陽性者の発症日または陽性判明の「前4日間」から同「前2日間」に絞り込み、同居者、クラスメート、同じオフィスや空間で働く同僚に限定する。感染者が出入りした公共の場の公表も原則的に取りやめるとした。
台湾には半導体や電子機器の受託製造サービス(EMS)の世界大手の拠点が集積する。企業は従業員の感染を避けるため在宅勤務などの対策を強めているが、感染拡大が続けば電子機器のサプライチェーン(供給網)に影響が広がる可能性もある。(編集/日向)
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