Record China 2022年5月7日(土) 6時10分
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新型コロナウイルス感染拡大でロックダウンが続く中国・上海の金融関係者らが大量に脱出しつつある。自宅に閉じ込められて生活がままならないほか、事業の展望が損なわれるためだ。写真はロックダウンされた上海。
新型コロナウイルス感染拡大で都市封鎖(ロックダウン)が続く中国・上海の金融関係者らが大量に脱出し、香港など他の金融センターに戻って働く準備をしつつある、とロイター通信が報じた。自宅に閉じ込められて生活がままならないほか、事業の展望が損なわれるためだ。
ロイター通信によると、顧客の近くで仕事をし、新しい分野での自分の専門性を高め、大型案件をものにしようと、多くのバンカーやトレーダーやファンドマネジャーらが香港などから上海に移ってきていた。中国版ツイッター「微信」に投稿された採用情報を見るだけでも、ゴールドマン・サックスは上海の人員を10人近くに増やそうとしていた。JPモルガンは昨年、上海事業を100%子会社にしたばかり。ブラックロックは上海のファンド部門を約20人増員しようとしている。
業界幹部らによると、ロックダウンが長期化する中で、見込みのあった金融案件が物理的な理由から保留になったままになるなど、事業に影響が出始めている。
上海のバンカーらの最大の難関は株式の新規公開(IPO)を計画したり合併・買収(M&A)の機会を探ったりする顧客企業に対し、工場などでの実地のデューデリジェンス(資産査定)ができないことだ。ある欧州系銀行の投資銀行部門幹部は「デューデリをバーチャルでやるのは不可能だ」と語った。
2020年暮れ頃に香港から上海に移ったプライベート・エクイティ投資家の男性は「上海で起きていることはほとんどの人にとって衝撃的だ。これほどまでに収拾がつかない状態になると誰が想像しただろうか」と嘆いた。
この男性は外国への渡航制限が緩和され、中国本土と香港間を容易に行き来できるようになるのを待ち受けている。自分の子どもたちを香港の学校に戻し、自分は必要最低限な範囲を除いて上海関連の仕事を減らすことを考えている。「最大のフラストレーションは今は自分ではどうすることもできないことだ」という。
上海は地域の金融一大拠点になる野望を掲げていただけに、こうした上海脱出の動きが本格化すれば痛手になる。中国政府の金融セクター開放を受けてここ数年、上海で拠点を拡充してきた外資系の投資銀行や保険会社、資産運用会社などにとっても聞きたくない話だ。
人材会社REフォース・グループで金融業界を担当する上海駐在幹部のジェイソン・タン氏は「ロックダウンが終わった途端、あらゆる業界の上海駐在員たちが中国以外での仕事を求めて交渉を始めるのではないか。(上海で)ロックダウンはまた起きるかもしれないし、次はもっと長期化し、もっと厳しくなってもおかしくない」と指摘した。(編集/日向)
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