「アヒルの糞」茶、「靴の中敷き」パイ、「犬の糞」飴…変わった名前の由来は?―中国

人民網日本語版    2022年6月11日(土) 11時0分

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海外にはジャコウネコの糞から採れた未消化のコーヒー豆「コピ・ルアク」というものがあるが、中国にもアヒルの糞の香りという意味の「ヤシシャン(鴨屎香)」という名前のお茶がある。

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海外にはジャコウネコの糞から採れた未消化のコーヒー豆「コピ・ルアク」というものがあるが、中国にもアヒルの糞の香りという意味の「ヤシシャン(鴨屎香)」という名前のお茶がある。

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最近、この鴨屎香茶の人気が突然高まり、大小さまざまなミルクティー店のメニューに軒並み登場。EC大手のアリババ集団傘下の生鮮食品スーパーである盒馬鮮生もオリジナル飲料「シトラスレモン鴨屎香ドリンク」を売り出した。

■鴨屎香

この名前を聞くと、多くの人がコピ・ルアクと同じようにアヒルの排泄物で作った飲み物だと思うだろうが、実はそうではない。

鴨屎香茶は名前こそ聞こえがよくないが、実は正真正銘の「名門の出身」。広東省の潮汕工夫茶の一種である鳳凰単叢系の銘茶だ。鳳凰単叢は同省潮州市の鳳凰山付近で栽培され、ウーロン茶の中でも特に有名だ。何煎も淹れられ、飲んだ後に感じる甘みが強く、香りがよく立つお茶で、「お茶の中の香水」などと呼ばれる。あまりに強い香りなので、何かエッセンスを加えたのではないかとよく誤解される。

鴨屎香茶は非常に高価で、季節ごとに茶葉の状態が異なり、味わいもその価値も異なる。

なぜ「アヒルの糞」という名前なのか。それには2つの説がある。1つはお茶の木が「アヒルの糞の土」と呼ばれる黄土の土壌に植えられたからというもの。もう1つは現地の人が飲んでみんなおいしいと言うので、お茶農家が木を盗まれないように変わった名前を付け、「アヒルの糞の香り」と呼んだからというものだ。

鴨屎香茶は鳳凰単叢系で一番古い品種のお茶ではないが、ここ数年は鳳凰単叢系の中で多少は名前が売れるようになった。栽培や管理、収穫、加工が簡単で、成長が早く、生産量が多いなど、多くの優位性がある。大規模に栽培され、人気が出たのもこのお茶自体に魅力があったからこそだ。

■靴の中敷きパイ

鴨屎香茶が香りに関してトップに立つと言ったら、江蘇省蘇州発の靴底パイは「異議あり」と言うだろう。

靴の中敷きパイの名前はとある伝説に由来する。

ある人が科挙の試験を受けることになった。飢饉に見舞われていた折、妻は携行する食料が途中で奪われないかと心配し、小麦粉をこねて靴の中敷きと同じくらいのサイズの楕円形に焼き、靴の中に忍ばせるようにしたという。

この伝説の真偽のほどは確かめようもないが、靴の中敷きパイは本当に靴の中で足に踏まれたような形をしている。

しかしその香りはもちろん靴や靴下の臭いとは全く違う。材料と作り方に関しては、外側の皮が層になっていること、生地の中央には細長い切れ込みがあって餡が少し見えること、サクサクしていなければだめだが食べかすが散らばってもだめ、餡が多すぎても少なすぎてもだめ、というこだわりぶりだ。

■狗屎飴

「狗屎飴」(犬の糞飴)は四川省の特産品で、成都市の土産物店ならどこでも売っている。

材料は落花生、大豆、麦芽糖などで、色が犬の糞に少し似ていることからこんな名前が付いた。

その由来にはこんな説もある。世の中が困窮していた時期に、ガラクタを引き取っていろいろな品物と交換してくれる人がいたが、なかには麦芽糖と交換する人もいた。しかし貧しい人の家には麦芽糖と交換するガラクタさえなかったので、子どもに我慢させるために「あれは犬の糞だから食べられないんだよ」と言った。そのように呼ぶ人が増えて、いつの間にか狗屎飴の呼び方が定着したという。

モデル・女優のリン・チーリン(林志玲)は以前、誕生日に「思いがけないプレゼント」としてこの狗屎飴をもらったことがある。名前はひどいけれど、友人からの祝福の気持ちが込められており、「これからもずっと良い運に恵まれますように」とのメッセージが添えられていた。包みを開けて一口頬張ると、サクサクして甘い香りが広がった。うれしくなったチーリンはこの飴を手に持って撮った写真をネットにアップした。

こうした変わった食べ物の名前の由来は、形状や同音異義語、伝説や昔の出来事などであることが多い。変わった名前には生き生きしたイメージがあり、より親しみやすく、より覚えやすい。

鴨屎香茶はかつて「銀花香」と改名され、狗屎飴には「エンドウ豆ピーナッツ飴」という正式な別名もある。しかしこうした名前からはもともとの名前にあった面白さが失われており、かしこまった感じで、親しみが感じられない。これらの食べ物が一世を風靡するところまでいかない原因の一つはこうした別名にあるだろう。

狗不理や獅子頭、夫妻肺片、叫花鶏、麻婆豆腐など、変わった名前の食べ物は昔から人々の生活に深く根差してきた。「変わった名前は子どもを守ってくれる」という中国人の素朴な信仰があり、「狗剰」や「狗蛋」といった名前には親から子への心からの祝福が表われている。同じように食べ物の変わった名前にはその食べ物を愛する人々の気持ちが表れており、素朴で心に響く中国文化が最もリアルに体現されていると言える。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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