中国が「スパイダーマン」を上映禁止にする訳―英メディア

Record China    2022年7月1日(金) 11時0分

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27日、英BBCの中国語版サイトは、映画「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」が上映禁止になった理由を分析する記事を公開した。写真はスパイダーマンのフィギュア。

2022年6月27日、英BBCの中国語版サイトは、興行収入20億ドル(約2724億円)の大ヒット映画「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」が中国で上映禁止になった理由を分析する記事を公開した。

記事は始めに「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」が上映禁止になった理由について、「スパイダーマンたちがクライマックスで自由の女神の上に立つシーンを、当局が全てカットするように求めたが、ソニー側は拒否したため」と述べた上で、中国市場とハリウッド映画の関係について、4人の専門家の分析を紹介した。

一人目の「China’s Encounter with Global Hollywood(中国とハリウッドの遭遇)」などの著作があるカリフォルニア大学リバーサイド校メディア文化研究科のウェンディ・スー(Wendy Su)准教授は、「中国政府が1994年にハリソン・フォード主演の『逃亡者』の上映を許可したことを皮切りに、ハリウッド映画の上映を毎年10作まで許可したのは、映画上映で稼いだお金で、1976年の毛沢東の死去後、政府の資金援助が打ち切られ倒産や閉鎖が相次ぐ危機にあった国内の映画産業の補助に充てるためだった」「中国政府は、映画を通じて観衆が米国の民主主義や自由主義などの新しい思想に染まりさえしなければ、ハリウッド映画の上映を歓迎していた」と指摘した。

二人目の南カリフォルニア大学のスタンリー・ローゼン教授(政治学)は、1997年に制作された「セブン・イヤーズ・イン・チベット(Seven Years In Tibet)」「クンドゥン(Kundun)」「北京のふたり(Red Corner)」の以上3作品が、中国での上映予定がなかったにもかかわらず、映画を製作したソニー、MGM、ディズニーの3社に中国政府から全ての映画上映を禁止された出来事に言及し、「中国は初めからハリウッドに対し、誰が主導権を持っているのかを知らしめるつもりだった」と指摘した。

三人目の非営利団体「PEN America」のリサーチディレクター、ジェームス・ターガー(James Targer)氏は「問題の半分は、中国政府の審査制度にあり、もう半分は米国の資本主義にある」「2020年に中国市場は世界最大のチケット市場となった。つまり、中国でのチケットの売れ行きで、ハリウッドの大作映画の興行収入が決まると言っていい」「映画が無事に中国で上映されるように、ハリウッドの映画製作会社の中では自主審査が常態化している」「中国政府の許可を得るために、ハリウッドが中国の観衆向けにオーダーメイドで映画を製作しているのか、中国の審査機構の要求を聞いて問題のあるシーンを削除しているのか、わからない」と指摘した。

四人目のヴァージニア大学メディア研究学部のアイニー・コーカス准教授は、以前「シャン・チー/テン・リングスの伝説」が、中国系カナダ人のシム・リウ氏が主演だったにも関わらず、2017年のカナダ公共放送CBCのインタビューで同氏が中国について「多くの国民が飢餓に苦しむ発展途上国」と発言したことにより、同作品が中国で上映されなかった出来事に言及し、「映画本編に台湾やチベットと関連がありそうな内容でなくても、中国政府は他の受け入れられない事があれば反対を言い出す恐れがある。例えば、ハリウッドでは誰かが権威に挑戦する話を作るのが好きだが、それは中国からすると受け入れがたいことかもしれない」「問題なのは、ハリウッドからは中国政府の反対の理由を想定しにくいことだ」「注意しなければならないことが一つある。中国市場での売り上げを期待して大作を製作するのは、正しい判断とは言えない」と指摘した。

記事は最後に「長い目で見れば、ハリウッドが中国の観衆に受けが良い作品を作り続けることで、どのような影響を引き起こすかに問題の核心が存在するかもしれない」「映画会社は制作した作品の内容が、中国でどう受け取られるかを考え続けて行かねばならない」と論じた。(翻訳・編集/原邦之

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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