Record China 2022年8月26日(金) 7時30分
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ファーウェイ任正非CEOが、今後の経営方針を説明する文章を社内向けに発表した。今後10年間は世界経済にとっての衰退局面との見方に基づき、一部分野からの撤退も必要との考えも示した。
華為技術(ファーウェイ)創業者である任正非最高経営責任者(CEO)は22日、今後の経営方針を説明する文章を社内向けに発表した。同文章は今後10年間は世界経済にとっての衰退局面との見方に基づき、売上高よりも経営の質の重視が不可欠との考えを示して、一部分野からの撤退も必要との考えも示した。
任CEOは、中国人の発想や習慣に適合する新たな経営モデルを創出したとして、中国では「経営の神様」として評価されている。また、ファーウェイの現状や将来について危機感あふれる主張を繰り返してきたことでも知られる。例えば業績が右肩上がりだった2001年に、将来について深刻な問題意識を赤裸々につづった「ファーウェイの冬」と題する文章を発表した。今回も、中国を代表する一流経営者が、自社の今後について危機感に満ちた文章を発表したとして注目されている。以下は、任CEOが22日に発表した文章の概要だ。
■幻想を抱いてはならない、今後10年は世界経済が衰退していく
今後10年間は世界経済が衰退し続ける極めて苦しい時期になるはずだ。戦争による影響と米国による封鎖や弾圧が続くため、特に今後3-5年間で世界経済が好転することはないだろう。感染症の影響もある。世界で明るい見通しを立てられる地域は一つもない。消費力は大幅に低下することになる。
ファーウェイは未来に対する楽観的な見方を取り下げねばならない。2023年から2025年には、(企業としての)質の高さによって生き残ることをせねばならない。
2025年の時点で少しでも希望を持てる状態にするためには、現在からの3年間をどのように乗り切るかを考えねばならない。もはや売上高を目的にすることはできない。生き残りの基本をキャッシュフローと利益に求めねばならない。事業予測をする時に、幻想を抱き会社を騙すようなことを言ってはならない。まずは生き残ることだ。生き残ってこそ未来がある。
■やみくもに投資した業務は縮小させる、社外開発の技術も有効活用する
2023年には予算を合理的をペースに維持する。やみくもに拡大投資した事業は縮小または放棄する。会社全体が予算を効果的に使用する必要がある。余剰が出た人的資源は最前線に投入する。ICT関連のインフラ事業はやはり我々の「穀倉地帯」だ。端末事業は我々が飛躍する土台になるが、(事業展開が)やみくもであってはならない。戦力を集中させて徹底的に戦うことで、収益性を高めねばならない。
クラウドコンピューティングはファーウェイの発展を支える主力であり、産業とインターネットを結び付けることを支える道だ。エネルギー関連は、チャンスの扉が開いている分野への投入を強化する。さらに大きな価値を創出すると同時に、機構を縮小して各戦列を強化する。
スマートカー事業は、独立した完全な戦線を形成することができない。研究予算を減らし、ビジネスの「輪」を強化する。すなわち、主要な部品での競争力創出に集中し、それ以外では社外の技術と結合させる。
■生き残るために手掛けるべき事業と放棄すべき事業を峻別する
生き残るために、投資の継続と利益創出を主眼とする。数年後に価値と利益を作り出せない事業は縮小または閉鎖し、人的・物的資源は主力分野に集中させる。現実に向き合い、遠くて大きすぎる理想は持たない。大なたを振るって余剰人員は素早く戦略予備軍として編成し、適切な部門に配属する。
辺縁分野の業務を抽出して、うまくできるのかどうか、うまくやるにはどの程度の資源が必要なのかを評価する。うまくいかないと判断されたなら、撤退してその分野を他の企業にやってもらう方がよい。我々がどうしても手掛ける必要があるがうまくいかない分野については、組織を改編して幹部を交代させねばならない。チャンスが出現すれば、戦略的予備隊と専門家の戦略的資源プールを拡大した上で、チャンスの窓への切り込み隊を組織する。
「実事求是(現実を見据えて正しい行動を取る)」を堅持する。我々はかつて、グローバル化を理想として、全人類に奉仕する志を立てた。今の我々の理想とは何か。生き残ることだ。そのために稼げる分野で少しでも稼がねばならない。それが出発点だ。手掛けてよい分野と放棄すべき分野を研究して判断せねばならない。
価値ある市場の価値ある顧客に集中せねばならない。一部の国の市場は完全に放棄する。我々には、脂が乗ったおいしい市場がある。スジ肉をかじらせていた人員を、「おいしい市場」に異動させる。
■事業展開な困難な国は、新たな幹部を育成する基地とする
事業展開が困難な国や地域は、新たな幹部を選抜し訓練するための基地とする。そのため事業規模が小さい国でも、事業を継続させる場合がある。そのような国で仕事をする者は、雪山の頂上を守備する兵士のようなものだ。経験を積んで下山した者は幹部に抜てきしてよい可能性を秘める。なぜなら、小さな国の場合には予算作成から契約、納品、納期順守、ソリューションなど事業のあらゆる側面を総合的に手掛けねばならないからだ。
ただし、海外で長期にわたって仕事をする職員は、帰国させれば減収する。現地における子供の教育問題もある。現地での勤務を希望する職員に、帰国を強要してはならない。
海外から帰国した従業員には、技能訓練や職場を得るチャンスを優先して与えねばならない。(中国は変化の速度が極めて早いので)開発途上国で勤務していた職員は技能面で後れている場合がある。帰国して1度試すだけでふるい落としてはならない。一定の訓練期間、リラックスできる学習期間を与えねばならない。ただし、期間中に能力が追い付かなかった場合には、別の話になる。
■「チャンス到来」に備えてキャッシュフローを構築する
財務については、キャッシュフローの計画をしっかりと立てねばならない。我々は2025年には状況を好転できると論じた。しかしその時点で「撃つべき弾丸」がなければ、どうするのだ。我々は安全な食糧倉庫を持つ必要がある。
今年と来年の査定では、キャッシュフローと利益を重視すべきだ。売上高が多少減少しても、利益とキャッシュフローを成長させた部門ではボーナスを増やして、職員全員の利益を競う意欲を高めることが必要だ。
給与についての基本的な枠組みは変更しない。しかし優秀な職員は地位を引き上げる。ボーナスも大きな柔軟性を持たせてよい。もうける意欲をかきたててもらうためだ。
今年は各事業のボーナスに差をつける。かつては職員を公平に扱うことが基本方針だった。皆が掛布団にくるまっており、その布団が「やや厚め」か「やや薄め」の違いだった。今年は利益とキャッシュフローで業績を上げた事業ほど、ボーナスを出す。価値を生み出せなかった事業はボーナスを非常に少なくする。場合によっては事業が消滅することになる。もちろん、いくつかの戦略的な事業は、短期的に価値を創出しないことを認める。
■品質とサービスの向上は生命線、「100-1=0」と考える
我々は品質にこだわりつづける。「低品質は研究開発者の恥辱」。この標語を研究開発部門の部屋の壁に貼り付けるべきだ。品質のレベルを100とするならば、99を達成してもダメなのだ。すなわち100-1=0 と考えねばならない。
我々は、サービス体系を向上させねばならない。サービス部門の専門家は、事故がネットワークに及ぼす判断能力を高めねばならない。我々はかつて研究開発を重視しサービスを軽視した。現在は、サービス体系も重視せねばならない。
我々は在庫を合理的に管理せねばならない。大量在庫が会社の利益を削ったりキャッシュフローに悪影響を与えることがあってはならない。生き残りの危機に直面していても、惜しむことなく投資してもよい。ただし、戦略的なチャンスでもないのに資金を無駄遣いしてはならない。(翻訳・編集/如月隼人)
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