大企業が次々に中国からベトナムに乗り換え、中国メディア「補助に過ぎない」

Record China    2022年9月2日(金) 5時0分

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30日、環球網は、アップルなどの大手メーカーが一部製品の生産を中国からベトナムに移転していることについて、分析する記事を公開した。写真はベトナムの首都ハノイ

2022年8月30日、中国メディアの環球網は、アップルサムスン電子などの国際的なメーカーが一部製品の生産を中国からベトナムに移転していることについて、専門家の意見を交えながら分析する記事を公開した。

記事は初めに「Nikkei Asia(日経アジア)」など外国メディアの報道を引用し、アップルのベトナムでの生産計画について、「米中関係の緊張や台湾をめぐる危機といった地政学的なリスクを減らすため、中国以外での生産を増やそうと考えているアップル社の意向を受けて、同社のサプライヤーである電子機器受託製造サービス(EMS)の台湾・鴻海精密工業(ホンハイ)と中国・立訊精密工業(ラックスシェア)が、ベトナム北部でApple Watchの試験生産を始めた。Apple Watchが中国以外の地域で生産されるのは初めて」「アップルはサプライヤー企業に対し、ベトナムにMacBookの試験生産ラインを設置するようにも要請しているが、事情通の関係者の話によると、ベトナムでのMacBook量産計画は進展が遅いという」「アップルが2020年に公表した主要なサプライヤーのリストの内のほぼ半数が、音響部品のAACテクノロジーズ(瑞声科技)やディスプレーメーカー大手のBOE(京東方科技集団)などの中国企業で占められている。MacBookのようなノートパソコンの生産には大規模なサプライチェーンが必要で、そのネットワークは現在中国に集中している」「現在のMacBookの部品はモジュール化(複数の部品を組み合わせたユニット化)により生産が比較的容易になっているため、中国以外での生産は、いかにコスト競争力を持たせるかが課題となっている」「アップル製品のベトナムでの生産は20年に、ワイヤレスヘッドホンのAirPodsから始まり、現在はタブレット端末のiPadも一部製造している」「アップルはスマートスピーカーの『HomePod』の試験生産ライン設置についても協議中だという」と紹介した。

また、サムスン電子のベトナムでの生産計画について、「ベトナム北部のタイグエン省にある工場で23年7月にフリップチップボールグリッドアレイ(FCBGA)の商業生産を開始する計画」「一見、半導体の高度な製造領域に関わるように思えるが、FCBGAは半導体のコア部分ではなく、コアを乗せるための基板である」と説明した。

さらに、コンサルティング会社の「デザンシラ・アンド・アソシエーツ」の国際経営部門のフィリッポ・ボルトレッティ氏の分析を紹介した。ベトナム政府や企業関係者と長く交流がある同氏は、環球時報の記者の取材に対し、「生産拠点の移転は、新コロナの情勢や政治的リスクマネジメントと関連がある」「サプライチェーンの多元化を目指す企業は、ベトナムの投資奨励政策や労働コストの安さを重要視している」「先日、ベトナム政府は『21年~30年期の外国投資協力戦略を承認する決定書』を批准し、ハイテク産業や情報技術とセットになった産業の研究開発拠点と投資を集め、国際的な産業リンケージやサプライチェーンの上流へ上がることを目標としている」「ベトナムは、半導体のコア部分の生産地になれる潜在的な可能性はあるが、実際にそうなるにはまだ十年以上の時間がかかるだろう」と答えた。

記事は最後に、ベトナムが10年後には人口の高齢化問題に直面することや、技術系人材の賃金が上昇していることに触れ、「ベトナムに投資しようと考えている外国企業は、再度産業リンケージの移転に直面することになるだろう」「ベトナムが中国のサプライチェーンネットワークをまねるのは結構だが、現時点でベトナムが『世界の工場』となるには力不足であり、中国企業の補助的な役割の方が合っている」「投資家はベトナムを中国に代わる目的地と見るのと同時に、同国の限界も意識した方がよい」と評した。(翻訳・編集/原邦之

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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