大陸から台湾支配の金門島にドローン、投下したのは挑発目的の「模擬爆弾」?

Record China    2022年9月4日(日) 11時40分

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米国のペロシ下院議長の訪台以来、大陸側から台湾が支配する金門島上空にドローンが飛来することが多発するようになった(写真)。ザーサイと卵を投下する事例もあったが、真意は「爆弾投下」との見方がある。

8月初旬に米国ペロシ下院議長が台湾を訪問したことで、中国大陸側と台湾の緊張は一段と上昇した。それ以来、大陸側から台湾が支配する金門島上空にドローンが飛来することが多発するようになった。

金門島は福建省アモイ(厦門)市や泉州市の沖合にある大金門島や小金門島などで構成される諸島の総称だ。大陸部との距離は最短部分で2.1キロしかない。大陸部からのドローン飛来が多発するようになり、台湾軍側は8月30日に、大陸部から飛来したドローン1機に対して同日午後6時ごろ、実弾警告射撃を実施したと発表した。さらに9月1日には、「手続きに従って警告したが実効はなかった。ドローンは防御射撃で撃墜された」などと発表した。

9月2日には中国大陸側のSNSに、「泉州機長」と名乗る人物が「同胞に愛情を送る」と称する1分21秒の動画を投稿した。同動画にはまず、「泉州機長」が泉州市内から自動車でアモイに向かい、途中の道路脇の海岸でドローンを組み立てる様子が撮影されている。

「泉州機長」は、ペットボトルを利用した投下装置を用意し、中に滷蛋(ルーダン)と呼ばれる味つけ煮卵や重慶市涪陵区の特産品である涪陵ザーサイを入れた。さらに、「最も誠実な贈り物」などと書いた手紙もセットした。動画には、これらを積み込んだドローンが飛翔していく様子も写されている。

■台湾軍側も「卵」と「ザーサイ」の投下を確認


台湾側の金門防衛指揮部は2日、海岸地帯をパトロールしていたところ、追い払われたドローンが投下したとみられる食品が発見されたと発表した。台湾軍当局は「大陸部の無人機が挑発や嫌がらせをしており、物の投下までしている。国軍は軍民の安全に危害を加えている行為に対して、自己防衛の原則に基づき、必要で強力な対抗措置を適切に行う」と発表した。

台湾軍側が発表した投下物の写真は、滷蛋やザーサイなどで、大陸側の「泉州機長」が動画公開したものと包装が一致している。ただし「泉州機長」は滷蛋やザーサイについて「軍用地内に投下したのであり、海岸で投下したのではない」と主張した。

滷蛋やザーサイを投下した理由としては、2011年に発生した「茶葉蛋事件」と19年の「涪陵ザーサイ事件」を念頭に、台湾人をあざけるためとの見方が出た。なお、「茶葉蛋」も味つけ煮卵であり、外観は滷蛋によく似ている。

「茶葉蛋事件」とは、台湾側の政府機関の外部評議員などを務めた高志斌氏が11年に、出演したテレビ番組で、大陸人は貧乏で「茶葉蛋」を食べることもできないと発言したことに端を発した台湾海峡両岸の論争で、「涪陵ザーサイ事件」とは、台湾人ジャーナリストの黄暐瀚氏が、やはり出演したテレビ番組で、涪陵ザーサイを製造販売する重慶市涪陵榨菜集団の株価が下落したことについて、「業績悪化は大陸人がザーサイさえも食べることができないからだ」と発言したことで始まった騒動だ。

■真意は「ザーサイ事件」などでなく、「爆弾投下」をアピールする挑発か

中国大陸部において「涪陵ザーサイ」は、08年にその製法が国家級非物質文化遺産(無形文化遺産)に登録されるなどで、知名度はかなり高い。また、騒動の発端になった黄暐瀚氏は「涪陵ザーサイ」の「涪」の読み方を間違えた。そのため中国大陸側では「涪陵ザーサイ」が台湾で知られていないことについて「台湾における教育の脱中国化と密接に関係している」などの主張も出た。

黄暐瀚氏は、大陸から飛来したドローンの投下物について、「茶葉蛋事件」と「涪陵ザーサイ事件」を皮肉ったものだが、さらに挑発的な意味があるとの考えを示した。ザーサイ(搾菜)の「搾」と「滷蛋」や「茶葉蛋」の「蛋」を結び付けて、「搾蛋」の言葉を連想するのは、中国語を母語とする人ならば、極めて自然だ。そして「搾蛋」の読み方は「ジャーダン」で、爆弾を意味する「炸弾」と同じ発音だ。つまり、「卵」と「ザーサイ」を投下したことには、「爆弾だって投下してやる」という挑発の意を込めたと理解できるという。(翻訳・編集/如月隼人


※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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