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中国人が子づくりをためらう「口には出せない」深刻な事情

Record China    2022年9月6日(火) 17時0分

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中国では老人ホームなどが不足している。また親を老人ホームに入れることは「不名誉」という伝統的感覚も根強い。年老いた親の世話の負担が「子づくり」をためらう大きな原因になっている。写真は中国の老人ホーム。

中国社会の大きな特徴の一つとして、家族の結束が固いことがある。古くから重要な行動規範とされた儒教の教えが家族関係を極めて重視していることもあるが、それ以前に心情として、何を差し置いても家族を大切にするという感覚だ。両親の体が衰えれば、子が懸命に世話をする。こういった家族関係は中国人にとって世界に自慢できる美徳でもあった。ところがこの美徳は、中国人にとって大きな負担になっている。その大きな原因は、かつての「一人っ子政策」だ。

中国では日本と同様に、かつては子だくさんの家が多かった。また中国では「四世同堂」などの言葉もあるように、多くの世代が同居することが一般的だった。従って、両親が高齢者になっても、兄弟姉妹などで負担を分担することができた。

しかし現在の働く世代の多くは、「一人っ子政策」の時代に生まれた子だ。夫婦に対してそれぞれの両親は計4人。また、夫婦共稼ぎが普及している。夫婦は仕事をしながら親の世話をせねばならない。親が健在ならば家事を助けてくれる。しかし高齢になるに伴い体が不自由になることも多い。そうなれば、親の世話という負担が働く世代にのしかかることになる。

今年で29歳になるある女性は、父親が認知症になってしまった。彼女と父親はとても仲がよい。昼食後に2人で手のひらを合わせて、比べてみたりして遊んだこともある。性格面からすれば、彼女は母親よりも父親と似ている。彼女は教師をしているが、これも父親の以前の職業だ。

しかし父親は、まだ教師を務めていた時期に認知症を発症してしまった。そのために、早期退職せざるをえなかった。認知症は時によって症状の変化があり、ひどくなった時には自分の家族を認識できなくなってしまう。暴力的になる場合もある。自分の妻を自宅への侵入者と思って追い出そうとしたこともある。

女性の母親、つまり認知症になった男性の妻は、自分自身の母も同様の症状になり、世話を続けた経験がある。自分自身の母親が他界して7年になるが、今度は自分の夫が同じような介護を必要とするようになった。しかし以前に比べて体力が落ちていることを感じるという。

中国では、老人ホームなど高齢者向け施設が不足している。もちろん政府も、一人っ子政策や平均寿命が延びたことなどによる急速な少子高齢化がもたらす状況は認識しており、対策を進めている。

しかし、高齢の親が入所できる老人ホームがあっても、別の問題が生じる。いわゆる「世間様の目」だ。中国では年老いた両親に対する法律上の扶養義務がある上に、「子が自ら年老いた親の世話をせねばならない」という根強い伝統的意識がある。そのため、親を老人ホームに入れれば、極めて不名誉なことと見なされる。

施設の不足と、伝統概念の相乗効果で、中国では高齢者の99%、知的障害者の99%が家族の世話で生活していると推定されている。

父親が認知症になった女性は、「本当は(父親を)老人ホームに入れた方が、皆のためによい。でも自分の一家がそういう状況になることは、受け入れられなかった」と述べた。中国では同様の状態の家庭が、ますます増えている。

彼女は結婚式の際に父親に、「子を2人産んでほしい」と言われた。あまりに唐突なことで驚いてしまった。そして今でも、自分が子を欲しているかどうか、分からないでいる。

原因の一つは、現在の中国都市部では「子育てのコスト」があまりにも高いことだ。「一人っ子政策」が緩和されても出生率が伸びない理由として「子育てコスト」の問題はしばしば言及されてきた。

そしてもう一つは、子育てと年老いた両親の世話の兼ね合いの問題だ。問題については事情があまりにも複雑で、若い世代の中国人は口にすることができないでいるという。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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