2022年9月7日、韓国メディア・韓国経済によると、台風11号の影響により浸水した韓国南東部・浦項市のマンションの地下駐車場で行方不明となっていた住民9人が発見された中、車を移動させるよう案内放送した管理所長の責任を追求する声が高まっている。発見された9人のうち、2人は無事に救助されたが、7人は死亡した。

記事によると、管理所長は台風11号が上陸した6日午前4時ごろに出勤し、マンション周辺の状況を確認。午前5時20分ごろに館内放送で「地下駐車場が浸水する恐れがあるため車を地上に移動させてほしい」との内容を案内した。その後、管理所長は移動車両を誘導するため外へ移動し、施設課長と警備員が2回にわたって同じ内容の館内放送を行った。ところが午前5時50分ごろ、マンション近くの河川が氾濫し、大量の水が地下駐車場へ流れ込んできたという。

管理所長は当時の状況について「一瞬で大量の水が押し寄せ、10分ほどで地下駐車場が完全に浸水した」とし、「119番に通報する余裕すらなかった」「（自分は）通報していないが、すぐに救急車のサイレンが聞こえてきた。しかし河川が氾濫し進入路に流れ込んできたため救急車が入れなかった」などと説明した。

その上で、「管理所長の案内放送が人的被害につながった」と指摘する声が上がっていることに「申し訳ない。これ以上は何も言えない」とつらい心境を吐露したという。

この記事を見た韓国のネットユーザーからは「住民の財産被害を阻止しようという試みがこんな大事故につながるとは夢にも思わなかっただろう。管理所長を批判するのはかわいそう」「案内放送をせず車だけ水没していたら、『なぜ教えてくれなかったのか』『職務怠慢だ』と非難されていたはず」「管理所長はするべきことをしただけ。あまり思いつめないでほしい」など管理所長を擁護する声が寄せられている。

また、「10分で浸水したのなら、管理所長ではなくマンション設計者の責任を追求するべき」「浦項市は何をしていたの？河川が氾濫したのに警告放送もせずに。今回のことは必ず浦項市に責任を取ってもらわなければならない」などと指摘する声も上がっている。（翻訳・編集/堂本）