中国・インド両軍が国境地帯から一部撤兵、首脳会談直前のタイミング

亜洲週刊    2022年9月12日(月) 8時0分

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香港誌の亜洲週刊はこのほど、米中にはいずれも相手を極めて敵視して自国民を扇動する「過激主義者」が存在すると指摘する論説記事を発表した。

香港誌の亜洲週刊はこのほど、米中にはいずれも相手を極めて敵視して自国民を扇動する「過激主義者」が存在すると指摘する論説記事を発表した。記事は、大国の指導者には核戦争を回避する責任があるとして、両国ともに「内部の過激主義者を警戒せねばならない」と主張した。以下は、同記事の抄訳だ。

米国の過激主義者、「右」は中国をひたすら憎み「左」は認識不足により大衆人気狙う

米中関係は朝鮮戦争以来、最も危険な瞬間に差し掛かっている。台湾海峡でも暴発の危機が高まっている。ただし米中は現在も軍事行動を自制しており、バイデン大統領と習近平国家主席は今年末にインドネシアで対面して会談する可能性がある。

最も心配なことはは、両国ともに内部に過激主義の勢力があり、両国関係を戦争の淵に追い込もうと煽り続けていることだ。

トランプ氏を支持する極右勢力Qアノンは最近になり改めてまたメディアのトップを飾った。トランプ氏が運営するソーシャルメディアの「トゥルース・ソーシャル」(Truth Social)がQアノンを全面的に支持し、年末の中間選挙に向けた運動を積極的に展開していることが分かったからだ。

その政治主張はトランプ氏が強調する「米国第一主義」にほかならず、中国は重要な仮想敵だ。このような過激派勢力は内政面について、民主党はサタンを崇拝し、児童ポルノの販売を専門とする「リベラル派」たちに支配され、米国の「深層社会」を掌握していると主張している。トランプ氏はこのような過激派勢力の影響を受けている。

このような過激派勢力、外交分野では中国を強く憎んでおり、中国の台頭は米国の覇権を脅かすものであり、早期に制圧しなければならないと主張している。トランプ政権は後期になりこのような過激派勢力の影響を受け、対中関税を課し、ヒューストンの中国領事館を閉鎖した。また、中国は報復のために成都の米領事館を閉鎖した。

バイデン氏政権の登場で、トランプ政権の反中的な取り組みは撤回されると思った人が多かったが、実際には民主党内の過激派勢力も非常に反中的だった。中国が新疆やチベット、台湾、香港で強権を発動すると、民主党内の過激派勢力は「民主主義の理想に打撃を与えており、強力に制裁しなければならない」と主張した。台湾を訪問した民主党のペロシ下院議長は、香港で2019年に起きた騒乱を「美しい風景だ」と評した。

米国には、極右的な過激派勢力に反対するアンティファと呼ばれる左翼勢力が存在する。しかしアンティファも中国についての理解がなく、民主的自由人権を掲げた一部のスローガンに惑わされやすく、民主党の議員に圧力をかけている。また、民主党の伝統的な支持者は、中国の製造業が米国の労働者の仕事を奪い、米国の産業を「空洞化」させていると主張している。

しかし、米国の産業の空洞化が始まったのは1990年代だった。例えば自動車産業は日本との競争に負けて没落していった。米国の三大自動車メーカー、すなわちゼネラルモーターズ(GM)、フォード、クライスラーはその後、3社とも中国市場に乗り出すことで「第2の春」を見いだした。これらはすべて市場とグローバル化の法則に基づく動きであり、中国の陰謀ではない。

■中国の「過激愛国者」の真の狙いはインフルエンサーとして得られる金銭

一方で、中国では「小粉紅(シァオフェンホン)と呼ばれる、若い世代の「ネット右翼」の活動が、非常に活発だ。彼らは反米の書き込みを続けているが、「米国の教育と科学研究はとっくに中国に圧倒されている」「米国の軍事力は中国にはとっくに対抗できなくなった」などと偏った傾向が強く、事実に合致しない点も多い。しかし「小粉紅」は、米国には中国に対抗する力がないので、一刻も早く台湾に武力行使することを主張する。彼らは、中国大陸部が台湾に軍事制圧することは「卵を踏み潰す」程度に簡単なことだと論じている。

ただし、中国の政策決定者はいずれも理性的であり、米国が全体的な国力と軍事の面で依然として優勢であることを理解している。また、自己宣伝に騙されて浮ついてしまい、現実と理想の間の距離を見間違ってはならないことが分かっている。

戦争については特に慎重であらねばならない。毛沢東は戦略面では「敵をのんでかかる」必要があるが、個別の戦闘では敵を重く見なければならないと語っていた。孫子は戦争を考える際に最も重要なことは「敵を知り、おのれを知る」ことだと喝破した。

中国政府も最近では、「国を害する」と判断したネット上のインフルエンサーの書き込みを差し止めている。そして民衆に、「中国は天下無敵」と朝から晩まで繰り返し吹聴することは「愛国ではない」と教えている。現在の中国にとって大切なことは、派手でなくても国内建設を強化することであり、経済規模を米国以上にすることだ。また、国際的な対立を解消するためには平和的手段を模索せねばならず、「中国と米国は最終的に戦争をせねばならない」という“神話”は打破しなければならない。

しっかり認識しておかねばならないことは、米国では「右」であれ「左」であれ過激派勢力が反中の言動を行っているのは一種の「ポピュリズム」であり、大衆の人気という「政治利益」を得ることが目的だ。一方の中国の「愛国インフルエンサー」の実際の目的は、膨大なトラフィックによって手に入る金銭的利益だ。

国家指導者の責任は、核戦争を回避することだ。なぜなら核大国間の戦争は互いに破滅をもたらすからだ。したがって戦争を求めることは、理性的指導者の政策的選択肢としてありえない。(翻訳・編集/如月隼人

※本記事はニュース提供社の記事であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。

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