Record China 2022年9月28日(水) 16時0分
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シンポジウム「日中経済の新動向とグローバルサプライチェーンの再編」が開催された。世界経済が激動する中、経済界はいかに対応していくべきか。各界の専門家が実態を分析し、今後の経済協力について討議した。
2022年9月27日、シンポジウム「日中経済の新動向とグローバルサプライチェーンの再編」(日本国際貿易促進協会主催)が都内のホテルで開催された。ロシアのウクライナ侵攻などにより、世界経済が激動の時代を迎えている中、経済界は今後どのように対応していくべきか。各界の専門家がミクロ・マクロの両面から実態を分析し、今後のあるべき経済協力について討議した。
今年9月で日中国交正常化50周年となるのを機に開催された。まず日本総合研究所(一般財団法人)の寺島実郎会長が基調講演し、「日本の貿易総額の相手国別のシェアは2021年にアジアが5割以上を占め、中でも中国(香港・マカオ含む)は30年前の4倍の25%に達している。1990年に27%を占めた米国は14%と半減している」と指摘。「日本のメディアは権威主義対民主主義の対立と強調し、新冷戦の時代と報じているが、単純すぎる」と苦言を呈した。
また米中対立の中でも米中両国の貿易量は伸びており、対中デカップリング(切り離し)論は現実を直視していない、との見方を示した。東南アジアやアフリカ、中南米諸国の多くも米国主導の世界を疑問視する傾向にあると強調した。
パネルディスカッションでは、吉崎達彦・双日総合研究所チーフエコノミストが「米中関係の行方と日本の進路」、倉澤治雄・科学ジャーナリストが「科学技術分野での米中競争と日中関係」、柯隆・東京財団政策研究所主席研究員が「中国経済の展望とグローバルサプライチェーンの再編」について講演。経済評論家の伊藤洋一氏がコーディネーターを務めた。
吉崎氏はデカップリング論や経済安保論について、安全保障専門家が主導するものの、日米両国経済界とも自由貿易こそが発展の道と見ていると指摘。民間企業は忖度(そんたく)せずに自由貿易を追求すべきだとの見解を示した。またウクライナ紛争について「ロシアにエネルギーを依存しているG7(先進7か国)側に焦りがある一方、新興国の多くは資源高や穀物不足で苦しむのは困ると反発。西側諸国はダブルスタンダードだと冷ややかに見ている」という。
倉田氏は中国のバイオ、宇宙、量子科学、人工知能(AI)、原子力利用、次世代モビリティ、健康分野などで、科学技術の進歩は目覚ましく、産業革命以来の「パラダイムシフト」が起きていると指摘。「米国の研究もシリコンバレーなど現地の中国人研究者がいなければ成立しない」と喝破した。今後「中国人のノーベル賞受賞者が続出するだろう」と予測した。また米国や台湾企業が優位とされる半導体についても、技術革新が進んでおり次世代半導体についてどこが覇権を握るか分からないとの見方を示した。
柯隆氏は、中国に進出している多国籍企業を対象とした調査結果(2021年)を紹介。大半が中国市場の巨大さと成長性に着目。中国ビジネスを「1年以内に拡大する」「2~3年以内に拡大する」が合わせて59%を占め、「現状維持」は32%、「未定」は9%にとどまっているという。米国などで懸念されている中国の台湾武力進攻について、「同じ中国人を殺害することはできない」との理由から「可能性はない」と明言した。(八牧浩行)
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