シャインマスカットの次はもうない、「海外からの流入」から脱却を―中国メディア

Record China    2022年10月4日(火) 6時0分

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中国紙・環球時報は9月30日、中国でシャインマスカットの価格が下落したことについて分析する記事を掲載した。

中国紙・環球時報は9月30日、中国でシャインマスカットの価格が下落したことについて分析する記事を掲載した。

記事は、「このほど、『シャインマスカットの価格下落』というキーワードがSNSの人気検索ランキングに登場した。日本で開発された『ブドウ界のエルメス』とも呼ばれるこの果物は、かつて500グラム当たり数百元(1元=約20円)もする値段で売られていたが、現在は価格が大幅に下落している」と伝えた。

環球時報の取材に応じた農家や買い取り業者によると、シャインマスカットの価格下落には主に栽培面積の拡大、大量の接ぎ木による品種の劣化などが影響しているという。2021年から日本の改正種苗法の施行で、シャインマスカットをはじめとする優良品種の海外への持ち出しは禁止されている。

■なぜ価格が下落したのか

環球時報の記者が北京市内の複数のスーパーで調査したところによると、現在シャインマスカット500グラム当たりの価格は、20元(約400円)から40元(約800円)程度に集中している。一般には、巨大な需要を受けた栽培面積の拡大がシャインマスカットの価格下落の要因であるとの見方が広がっている。

シャインマスカットは2010年に初めて中国に流入し、当初は雲南省などの地域で少量しか栽培されていなかった。16年には全国でおよそ990平方メートルだった栽培面積は、21年には2倍以上の2000平方メートルにまで広がったとするデータもある。

雲南賓川緑聚源農業総合開発公司の責任者である唐(タン)氏は環球時報の取材に対し、「生産量の拡大により、シャインマスカットの市場はすでに明らかに分化している。高品質の商品の買取り価格は500グラム20元以上で、一部のブランド化されたものになると100元を超える。一方、品質の低い果ものは500グラム当たり10元未満だ」と語った。

江蘇省豊県のブドウ農家の李(リー)さんは、「現在、中国国内にはシャインマスカットの品質基準がない。一般的な買取り業者は糖度、粒の大きさ、粒の数、房の形などの要素に基づいて1級果実、2級果実、3級果実を区分している。1級果実の価格は比較的安定しており、主に大都市で流通する。2、3級果実の価格は低く、消費者に『価格が下落した』と感じさせているのでは」とした。

■なぜ甘くなくなったのか

記事によると、値下げされたシャインマスカットを食べた一部の消費者から、「今年食べたシャインマスカットは以前ほど甘くないようだ」との声がSNS上に寄せられている。

関係者は環球時報に対し、「シャインマスカットの品質の変動はやはり、生産量の拡大と直接結びついている」と語った。人気の果物は需要が高いため、全体の生産量が増加している。唐氏によると、雲南省の一部の栽培農家は高品質路線を歩み、湖南省などでは大量栽培が行われて品質もそれに伴って下落しているという。

また、一部の農業専門家からは「シャインマスカットは大量の接ぎ木繁殖により、すでに品種の劣化が起きている」との声も上がっている。河北ブドウ・ワイン学会の李(リー)副秘書長は、「中国国内におけるシャインマスカットの品種劣化の問題はすでに客観的に存在している。米国、日本など農業レベルが比較的発達している国では、品種の維持に非常に力を入れており、一定期間が過ぎるごとに品質が最も安定している母樹から繁殖材料を再抽出し、繁殖を拡大しているが、中国にはまだ少なからぬ格差がある」と述べた。

■中国にはなぜ爆発的人気のフルーツがないのか

近年、日本やニュージーランドなどの国は種子の知的財産権保護をより重視し、関連法の施行を進めている。記事によると、中国の農業界は、新たな優良品種を(海外から)導入することがますます難しくなり、関連分野の品種改良を強化する必要性も一層高まっていくと予想している。

四川農業大学園芸学部副学部長の龔(ゴン)教授は環球時報に対し、「中国の果物の種の資源は豊富だが、優良品種の選別・品種改良においては海外と差がある。中国の果物の品種改良は出遅れており、資金と人員が相対的に不足している」とし、「品種の選別・改良、資源利用などを含め、(海外からの)流入を中心とした過去のスタイルから脱却する必要がある」と述べた。(翻訳・編集/刀禰)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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