人民網日本語版 2022年10月25日(火) 10時30分
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中国の科学者は月探査機「嫦娥5号」が持ち帰った月の土壌の研究に基づき、新たな月熱変化モデルを打ち出した。
中国の科学者は月探査機「嫦娥5号」が持ち帰った月の土壌の研究に基づき、新たな月熱変化モデルを打ち出した。現在から20億年前にも月の火山活動が続いたのはなぜかという、学術界の大きな謎を解明した。
中国科学院地質・地球物理研究所の陳意(チェン・イー)研究員は、「月は約45億年前に形成され、その質量は地球の約1%に過ぎなかった。これほど小さな天体は理論上、急速に冷却され、すぐに火山活動が停止し、『死の星』になるはずだ。ところが昨年10月、中国の科学者は、嫦娥5号の玄武岩の研究により、月の火山活動が20億年前まで続いていたことを発見した」と説明した。
月の玄武岩は、月のマントルの溶融によって形成されたマグマが、火山噴火により月面に出て冷却により結晶化された岩石だ。世界の学者は冷却を続けるマントルの一部の溶融に対して2つの仮説を打ち出した。一つは、放射性元素の発熱により月のマントルの温度が上昇したという仮説で、もう一つは水の含有量が多ければ月のマントルの融点が下がるという仮説だ。
だが中国の科学者は嫦娥5号の玄武岩の研究により、月のマントル領域に放射性発熱元素が豊富に含まれず、しかも非常に「乾燥している」ことが明らかになり、上述した2つの仮説を否定した。そのため月の火山活動がなぜこれほど長く続いたかは、月の研究における新たな謎になった。
この問題について、陳氏は科学研究チームを率い27点の代表的な嫦娥5号玄武岩片を選び、新たに研究開発された走査型電子顕微鏡スペクトル定量化スキャン技術により岩片のすべての主要成分を分析した上、一連の岩石学および熱力学シミュレーション計算と結びつけ、嫦娥5号玄武岩の原始マグマ成分の復元に成功するとともに、アポロのサンプルの原始マグマと比較することで、その起源の深度と温度を推定した。
同研究によると、若い嫦娥5号玄武岩の原始マグマには、アポロのサンプルよりも多くのカルシウムとチタンが含まれていることが分かった。こうした物質は溶融しやすい特徴があり、これが加わることで月のマントルの融点が大幅に下がり、マントルの一部の溶融による若い月の玄武岩の形成を誘発した。さらなるシミュレーション計算結果によると、月の内部は十数億年の持続的な冷却を経たが、温度は約80度しか下がらなかった。
陳氏は、「同研究は、月の内部に持続的かつ緩慢な冷却があり、月のマグマ大洋後期結晶の溶融しやすい成分がマントルの深部に持続的に加わり、マントルのチタンとカルシウムを補っただけでなく、融点も下げたことで、緩慢に冷却する月の内部環境を克服し、長期的かつ持続的な月の火山作用を引き起こしたことを示した」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/YF)
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