高性能磁石の製造にレアアース不要の可能性、中国に打撃も―中国メディア

Record China    2022年10月26日(水) 10時0分

拡大

25日、中国メディアの騰訊網は、英ケンブリッジ大学とオーストリアの研究チームが「レアアースに代わる原料から高性能磁石を生産する新しい方法」についての論文を公開したことを伝えた。写真はケンブリッジ大学。

2022年10月25日、中国メディアの騰訊網は、英ケンブリッジ大学とオーストリアの研究チームが発見した「レアアースに代わる原料から電気自動車や風力タービンなどに利用可能な高性能磁石を製造する生産技術」の実用化により、中国のレアアース関連産業が潜在的なダメージを受けるかもしれないと論じる記事を公開した。

記事は初めに、英ケンブリッジ大学材料科学冶金学科のリンゼイ・グリア(Lindsay Greer)教授を中心とした研究チームが発見した、鉄とニッケルの合金「テトラテーナイト(Tetrataenite)」の新しい人工的な形成方法について紹介した。

同大学が公開した論文によると、「鉄とニッケルがそれぞれ50%ずつで構成されているテトラテーナイトは、通常地上には存在せず、隕石(いんせき)がゆっくりと冷えるにつれて何百万年もかけて形成される」「鉄とニッケルの原子による規則的な結晶構造を有するため、磁極が簡単に消えたり反転したりしない硬磁性を持っており、希土類磁石に最も近い」「テトラテーナイトを人工的に形成する方法として、これまでは実験室内で鉄ニッケル合金に中性子を衝突させる方法があったが、大量生産が困難だった」「研究チームは、隕石にも存在する元素であるリンを適切な量で混合し、溶かして型に流し込む方法で、テトラテーナイトを得る代替案を発見した」「何百万年もの冷却や中性子照射を必要としない、単純な鋳造によるこの方法なら、工業規模に近いものでテトラテーナイトを作ることができるかもしれない」「高性能磁石は、ゼロ炭素経済を構築するための重要な技術であり、現在入手可能な最高の永久磁石には希土類元素が含まれている。代替案が高性能磁石の製造に適しているかどうかを判断する作業のため、研究チームは主要な磁石メーカーと協力して取り組むことを望んでいる」という。

また、リンゼイ・グリア教授は論文内で「レアアースの採掘作業は、少量のレアアースを得るために大量の物質を抽出する必要があるため、非常に破壊的だ」「環境への影響と中国への依存による供給の危機との間で、レアアースを必要としない代替材料が緊急に求められている」と述べた。

記事は最後に、バイデン米大統領や欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表が重要原材料を含むサプライチェーンの多様化を指示し、レアアースの中国依存の見直しを図っていることに言及し、「電気自動車などの急速な発展とともに、世界ではレアアースの需要が日を追うごとに高まっている」「ケンブリッジ大学とオーストリアの研究チームが発見したこの生産技術が実用化に成功すれば、電気自動車や風力タービンに使用されてきた希土類磁石の需要が減少し、現在レアアース生産の世界シェア8割以上を占める中国に大きなダメージを与えるかもしれない」と論じた。(翻訳・編集/原邦之

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携