台湾・故宮博物院で所蔵の陶磁器が複数破損、責任者に「不祥事隠し」の疑惑

Record China    2022年10月31日(月) 23時20分

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台湾台北市内の故宮博物院で、明代から清代にかけての陶磁器収蔵品3点が破損していたことが分かった。呉密察院長が「不祥事隠し」をしていた疑惑が持ち上がり、台湾社会は騒然とし始めた。

台湾台北市内の故宮博物院で、所蔵している「嬌黄釉緑彩竜紋碗」など明代から清代にかけての陶磁器3点が破損していたことが分かった。同施設の責任者である呉密察院長が「不祥事隠し」をしていた疑惑が持ち上がり、台湾社会は騒然とし始めた。

「嬌黄釉緑彩竜紋碗」はこれまで展示されていなかったが、故宮博物院による文化財デジタル保存計画の過程で2021年2月に行った、倉庫から移動する作業の際に誤って破損したという。

国民党所属の陳以信立法院委員(議員)が10月28日になり、「告発があった」として発表したことで、同件が広く知られることになった。

陳議員によると、博物院の呉密察院長は「嬌黄釉緑彩竜紋碗」の破損について報告をしてはならず、全ての関連書類は証拠が明るみに出ないように最高機密文書にするよう指示した。また、故宮博物院はその後、さらに貴重な明代の磁器などを破損する事故を起こした。呉院長は同様の方法で、隠蔽(いんぺい)を図ったという。

台湾の政党である時代力量(時代の力)に所属する陳志明氏と劉仕傑氏は同日、故宮博物院では2021年2月3日に「嬌黄釉緑彩竜紋碗」が、22年4月7日には「清康煕款暗竜白里小黄磁器碗」が、同年5月19日には「清乾隆隆青花花卉皿」が破損したことが明らかになったとして、呉院長に対して社会に対する謝罪と始末書の提出を要求した。

故宮博物院の呉院長は28日午後に記者会見を行い、隠蔽説を強く否定した。呉院長は、破損した文化財が国宝や重要文化財ならば必ず既存の手続きに従って報告するが、破損したのは「一般文化財」扱いだったので、報告しなかったと主張した。また、「嬌黄釉緑彩竜紋碗」と「清康煕款暗竜白里小黄磁器碗」については、箱から取り出した時点ですでに破損していたことが分かったと説明した。

作業中に誤って破損した「清乾隆隆青花花卉皿」については、責任者に対する懲罰手続きが完了したという。また、破損原因などの調査中に事態を明らかにしないのは不適切ではなく「隠蔽には当たらない」と主張した。

聯合新聞網によれば、馬英九政権時代(2008-16年)には、政府が故宮博物院の所蔵品の状況について報告させたことがあった。博物院側は、「台湾移転後に3回にわたって大規模調査を行ったが、(完璧に保管しているとの)記録が破られたことはない」と報告したという。故宮博物院の所蔵物調査は極めて厳格で、外部から招いた人が立ち会う必要があったという。そのため、このほど見つかった所蔵品の破損は、故宮博物位にとっての「初めての不祥事」を見られている。

事情をよく知る人の一人は、呉院長の就任は19年だったが、最近では文化財のデジタル化や、かつての部下の抜擢、欠員が生じても補充しないことなどが、文化財を破損する原因になっているとの考えを示した。

故宮博物院の院長は「特任」と呼ばれる政府が直接任命する役職であり、地位は閣僚級とされている。呉院長は歴史資料を保管する国史館の館長だったが、蔡英文政権に抜擢されて故宮博物院の院長に就任した。台湾の著名な政治評論家である黄智賢氏は、呉院長を「典型的な台湾独立派の学者」と批判し、蔡英文総統および民進党の人事を「故宮博物院の内部から専門家を抜てきすることを嫌がった」ことが原因だったとして大いに問題視する文章を発表した。(翻訳・編集/如月隼人

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