亜洲週刊 2022年11月22日(火) 8時30分
拡大
香港メディアの亜洲週報はこのほど、香港における普通話(標準中国語)教育は失敗しており、そのことにより中国の国家安全が脅かされていると論じる記事を発表した。写真は香港の街頭の風景。
香港メディアの亜洲週報はこのほど、香港における普通話(標準中国語)教育は失敗しており、そのことにより中国の国家安全が脅かされていると論じる記事を発表した。以下は、その抄訳だ。なお、台湾の標準は「国語」と呼ばれるが、普通話に極めて近い。また、シンガポールなどでも中国系住民は普通話に近い言葉を使えることが多い。
香港では返還後25年が経過したが、学校では全面的に普通話を使って授業をすることができておらず、広東語での授業にこだわりつづけている。共通語の授業は一般的に1週間に2回しかなく、まるで「第二外国語」のようだ。その結果、香港では高校や大学を卒業しても普通話の能力が劣るために普通話で議論をする能力が低く、世界の華人社会の中で異端者であり笑いものになっている。
香港での普通話教育の失敗は、実際には中国全体の安全の危機をもたらしている。香港の多くの人は言語の壁のため、中国大陸の人々と交流することが困難で、世界の華人社会とも溝がある。
香港独立勢力は普通話に反対する。そして、普通話を話す集団に攻撃を加えた。2019年の動乱の時期には、台湾や東南アジアからの旅行者は、暴徒に共通語を話すのを聞かれて攻撃される場合があった。香港の大学で学ぶシンガポール人学生は、「当時は外出時にシンガポールのパスポートを持参しなければならず、自分が話す中国語を問題視された場合にはパスポートを持ち出してお守りにしていた」と回想した。
これは香港の悲哀だ。一つの中華民族の言語を統一することが、香港独立派から汚名を着せられてしまった。香港の学校では普通話を教えることが政治的な障害に直面している。一部の校長は論争を恐れて実行しない。香港の若い世代が普通話を身につけていないことが、香港の都市としての競争力を落とすことにつながっている。
台湾独立派も香港独立派も、普通話に何らかの敵意を抱いている。日本の右翼と李登輝は、中国は7つに分裂すべきだと主張しているが、その背後にあるのは、方言が各地で異なるため、7つの異なる国に分けるべきだという理屈だ。香港独立派は、香港人の言語は広東語だとして、普通話の教育や普及に反対している。
香港における普通話教育の問題は、教育問題ではなく政治問題だ。どの国の国語教育にも、ナショナル・アイデンティティーの問題が関わっている。台湾では1945年に50年にわたる日本の植民地支配を脱して中華民国政府に返還された。中華民国当局はただちに教育システム全体を変更し、話す言語も書き言葉も標準中国語にした。そのような施策には、スケジュールを立てて達成するという強い政治の意志が必要だ。
現在の香港の李家超行政長官は就任に当たって、施政の特色は「結果志向」だと表明した。では、10年後ないし25年後の香港の若者が北京や台北、クアラルンプールの中国語話者と、普通話の能力に遜色がないようにするためには、どのような措置が必要なのだろうか。
まず、全体的なデザインが必要だ。普通話の能力を役人の昇進に結びつけること重要だ。公務員の採用試験では普通話の能力を問うべきだ。勤務考課でも、英語と同様に普通話を重視すべきだ。学校の卒業資格を与える場合には、普通話の試験に合格することを必須とせねばならない。これらが、香港の言語政策における混乱を除去する方策だ。
しかし最も重要なことは、「上」がまず手本を示すことだ。3年後あるいは5年後には、香港立法会(議会)の発言については、普通話だけを認めるべきだ。高官や官僚の発言も、日程を定めてすべて普通話にせねばならない。「上」が実行してこそ「下」に効力をもたらすことができる。これは千古不変の道理だ。
これらには、香港特別行政区政府の強大な政治信念が必要だ。普通話の定着を重大な政策突破とみなし、香港人が公の分野で国家の標準言語を話せるようにせねばならない。中国大陸の他の都市では、例えば上海人は家庭では上海語を話し、アモイ人はプライベートでは福建語を話すが、彼らは学校や職場、オフィスなどの公の分野では流暢な普通話を使う。だからこそ、全国的な議論に参加することができる。言語の障害が一切なければ、深く濃い交流をすることができる。地方ごとに方言が割拠する局面に陥ることなく、全国の人々が一丸となって議論することができる。(翻訳・編集/如月隼人)
この記事のコメントを見る
Record China
2022/11/20
2022/11/19
2022/11/18
2022/11/17
2022/11/16
ピックアップ
we`re
RecordChina
お問い合わせ
Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら
業務提携
Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら
この記事のコメントを見る