中国の元プロサッカー選手が新型コロナウイルスに感染して死去した。中国メディアの騰訊網が14日付で伝えた。

報道によると、王若吉（ワン・ルオジー）さんは新型コロナウイルスに感染後、基礎疾患が悪化し、今月12日に死去した。37歳の若さだった。知人の劉宇馳（リウ・ユーチー）さんによると、コロナ感染前に会った時には病気により体調はあまりよくなさそうで、以前に比べて痩せていたという。

王さんは2004年、19歳の時に中国スーパーリーグの瀋陽金徳足球倶楽部（現・広州城足球倶楽部）でプロデビュー。5シーズンプレーした後、09年に2部の瀋陽東進足球倶楽部に移籍し、その年に優勝を果たす。2010年シーズンをプレーした後、けがにより引退した。

引退後は若手の指導にあたったが、劉さんは「彼は中国サッカーのバブル期前に引退してしまったので、選手時代にはあまり稼げなかった。引退した後も苦労しながら若手を指導していた」と語った。当時の月収は1800元（約3万6000円）ほどだったというが、不満を漏らすことなく、希望を持っていたという。

王さんは13年に結婚、翌年には劉さんと共に少年サッカークラブを設立した。当初は経営が苦しく、2人ともつらかったものの、しばらくして経営は軌道に乗った。王さんはその後、別のサッカークラブに移ったが、劉さんとは連絡を取り合っていた。そして2カ月ほど前にグラウンドでばったり再会し喜び合っていたが、それが最後の会話になった。

劉さんは、少年サッカークラブを設立したばかりのころ、子どもたちを連れて合宿を行った際に、王さんと共に夜の見回りを行ったことを回想。当時、劉さんが「以前は監督が俺たちを見回ったけど、今は俺たちが監督する側になった。感慨だろ？」と話すと、王さんは「俺たちの監督がやってた（見回りの）方法は全部できるよ。俺たちは今やっと（その方法を）使えるようになったってわけだ」と応じた。

劉さんは8年前に王さんと笑い合った夜を思い出し、静かに涙を流したという。（翻訳・編集/北田）