日中の国産旅客機、明暗くっきり、「三菱SJ」開発中止、「ARJ21」は海外初進出

Record China    2023年2月11日(土) 6時0分

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日中の国産旅客機の明暗がくっきり分かれた。三菱重工業の「スペースジェット」は開発を中止。中国の「ARJ21」は初の海外進出として昨年末、インドネシアの航空会社に引き渡された。写真はARJ21。

日本と中国の国産旅客機の明暗がくっきり分かれた。三菱重工業は7日、国産初のジェット旅客機「スペースジェット」(SJ、旧MRJ)の開発を中止すると発表した。SJのライバルと目された中国の「ARJ21」は2016年に商業運航を開始。昨年末には初の海外進出としてインドネシアの航空会社に引き渡された。

SJの開発は三菱重工などが1960年代に手掛けたプロペラ旅客機「YS11」以来、半世紀ぶりのプロジェクトだった。同社は子会社の三菱航空機を設立して2008年から本格的な開発に着手。経済産業省からの支援を受け、15年11月に名古屋空港で初飛行に成功したが、その後、設計変更などのトラブルが相次ぎ、航空会社への機体納入も6回にわたり延期されるなどした。

コロナ禍などを受け、20年10月には開発の中断を公表。三菱重工は開発中止の理由について、小型ジェット機の市場規模が見通しにくいことや、脱炭素化に向けた電動化への対応が必要な点などを挙げた。開発が長期化したことで、技術面の競争力が低下したことも影響したという。「日の丸ジェット」を軸に航空産業を育成する官民の構想は頓挫した形だ。

現時点でSJはANAホールディングスや日本航空などから計267機を受注している。三菱重工の泉沢清次社長は記者会見で発注した航空会社に対しては「納入できず申し訳ない」と言及。補償など航空各社への対応に関しては「個別の内容は差し控える」として態度を明らかにしなかった。三菱航空機は清算する方針だ。

一方、中国商用飛機有限公司(COMAC)が独自に開発したARJ12は、SJと同じような短・中距離向けジェット機。08年11月に試験飛行を行い、14年12月、中国民用航空局 (CAAC) から型式証明を取得した。

中国国際放送局(CGTN)によると、ARJ12は昨年12月、インドネシア・トランスヌサ航空に正式に納入された。機体は全席エコノミークラス仕様で座席数は95席。航続距離が2225~3700キロ。機体にはインドネシア国旗とトランスヌサ航空のロゴが描かれている。

さらにCOMACが開発したARJ12より一回り大きい「C919」の第1号機が昨年12月9日に国有航空大手の中国東方航空に引き渡され、CAACの華東管理局が(1号機の)国籍登録証、耐空証明書、無線免許を交付した。同月26日には上海虹橋国際空港から、北京首都国際空港や西安、海口、青島武漢、南昌、済南にある空港の間で検証飛行を始めた。

C919は23年春からの商用運航を目指しており、22年末現在、中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空など中国内外の航空会社のほか、同じく中国内外の航空機リース会社を含む32社から計1035機を受注しているという。(編集/日向)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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