地球が今、地震多発期を迎えつつある可能性―四川地震など研究の専門家が解説

中国新聞社    2023年2月18日(土) 23時30分

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トルコで6日に大地震が発生した。隣国のシリアにも大きな被害が発生して、計4万人以上の死者が出たと伝えられている。地球は今、大地震の多発期を迎えつつあるのだろうか。

トルコで6日に発生した地震では、隣国のシリアでも大きな被害が発生して、計4万人以上の死者が出たと伝えられている。日本では南海トラフ地震が想定されており、最悪の場合には関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に、東日本大震災時を上回る高さ10メートル以上の津波が押し寄せる可能性があるという。ひょっとして、地球は大地震の多発期を迎えつつあるのではないか。ならば、どうすればよいのか。2008年発生の四川大地震の研究実績もある成都理工大学の許強副学長はこのほど、中国メディアの中国新聞社の取材に応じて、地震にまつわるさまざまな状況を説明した。以下は許強副学長の言葉に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。

本震+余震ではなく双子地震の発生だった

トルコやシリアを襲った地震による被害が甚大だったのは、地震の規模が大きかったほかにも、2回の強い地震が連続したこと、震源が都市部に近かったこと、建築の耐震性が不足していたこと、地震の発生時刻、気候など多く要因が関係している。

トルコでは6日、マグニチュード7.8の地震が2回発生した。1回目の地震で建物や山の斜面に亀裂が入り、2回目の地震で本格的な破壊に至ったケースも多い。さらに、1回目の地震が発生したのは現地時間の午前4時ごろだった。多くの人は熟睡しており、とっさに反応することができなかった。厳寒期だったことは、救助活動に不利に働いた。

2回目の地震は1回目の地震の余震とは言えない。同様の規模の地震が短時間内に繰り返される、双子地震などと呼ばれる現象だ。双子地震の発生は比較的珍しいが、今回の地震が発生した東アナトリア断裂帯では、双子地震が発生したことがある。

双子地震は、それぞれが近接していて相関関係にある別の断裂帯で発生することが一般的で、同じ断裂帯の中で短時間の内に強い地震が2回発生することはない。

今回のトルコの地震でも、1つの破断が発生したことで、近隣に新たな力が及んで次の地震の引き金になった。人が押し合いへし合いしている場所で、一人が倒れたことで、隣の人も巻き込まれて倒れてしまうような現象だ。

主たる二次災害の時滑りの脅威は低い、ただし油断禁物

地震による二次災害とは主に、地滑りと大雨によって引き起こされる土石流だ。成都理工大学のチームは、地震誘発される地滑りの予測モデルを完成させている。この予測モデルを利用して、トルコにおける地滑りの予測を行ったところ、地震ですでに大きな被害が発生して人口密度も大きなアレッポ、ガジアンテプ、アンタキヤなどの地区は山脈の主要部分から一定の距離があるので、地滑り災害の脅威は比較的小さいことが分かった。しかしトルコの建物は耐震性に劣るので、今後も倒壊などが発生することはあるだろう。

そして、山脈の近くに住んでいる人が皆無であるわけではない。例えばカフラマンマラシュ県はアナトリア山脈に囲まれており、地滑り災害の危険に直面している。

二次災害の可能性がいつまで続くかは発生した地震や地形や地質の状況によるが、多くの場合、10年程度が経過すれば危険性は急速に減少する。しかし、日本で1923年に発生した関東大震災では、地震の影響を受けた地質災害の件数が震災前の状態に完全に戻るまでに50年以上もかかった。

トルコの現状については、リモートセンシング映像を見る限り、二次災害の危険性はそれほど深刻ではなく、影響が出る期間も比較的短いと考えられる。

大きな地震が発生すると、周辺地域の地中にかかる力が変化して、新たに地震が発生することがよくある。地中で力加減の調整が行われるわけだ。

世界規模で見れば、大きな地震は歴史を通じて繰り返されてきた。最近になって増えているのではない。トルコの地震が世界の地震数を増加させるかどうかはまだ分からないが、トルコの地震がきっかけで東アナトリア断裂帯では地震活動が活発になると予想できる。地中の広い範囲で「力の調整」が続くからだ。

大災害に一国だけで対処するのは困難、国際協力が必須

大地震が発生した場合、一国だけで対処することは困難だ。地震だけでなく、自然の大災害についてはすべてそうだ。中国政府はトルコで大地震が発生したことを受け、緊急人道支援メカニズムをただちに始動した。第一段階としては、トルコに4000万元(7億8000万円)、シリアに3000万元(約5億9000万円)の緊急人道支援を提供した。

もちろん国家の救助隊が現地に向けて出動し、民間の救助隊も続々と出発した。成都理工大学は地滑り誘発の予測データを、いち早くイスタンブール科学技術大学の地震学専門家のトルガ・ゴルム氏と共有した。

トルガ・ゴルム氏の博士論文は2008年5月12日に発生した四川大地震についてだった。成都理工大学はトルガ・ゴルムと共同研究を行い、大地震に際しての救助や災害後の復興について、科学の知見を生かせるようにしたいと願っている。

四川大地震が発生した時に、国際社会は中国に援助の手を差し伸べた。中国は2010年のハイチ地震、2011年の日本の東北大震災、2015年のネパール地震、2018年のインドネシア中スラウェシ州の地震などの大地震の発生を受け、生き埋めになった人の生存率がまだ高い「黄金の72時間」と呼ばれる時間帯に救助隊を現地入りさせ、さらには救援物資の輸送、科学技術の支援の提供および災害後の復興などで、迅速な人道支援を提供してきた。

中国はまた、一部の地質災害データを国外の研究者に無償で開放し、地質災害モニタリングや早期警戒技術を共有している。成都理工大学は「一帯一路」沿線国と意思疎通を図り、地震災害が多発する国の地すべりモニタリングや警報を支援するとともに、重大自然災害の応急処置における「中国の経験」を共有する計画だ。

ある国で地震や洪水、火災などによる甚大な被害が発生すると、その影響は全世界に及ぶ。人類運命共同体の理念を堅持し、手を携えて協力してこそ、「地球村」で発生する大きな自然災害によりよく対応することができる。(構成/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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