香港で28歳女性の手足の一部が発見された。警察は殺人事件と判断して捜査を進め、これまでに女性の元夫とその父など家族を逮捕した。

被害者とされる蔡天鳳さんは28歳で、飲食店チェーンを経営する譚仔雲南米線の創業者の息子と結婚していた。同社創業は1996年で、関連会社の譚仔国際有限公司は2021年に香港証取に上場した。蔡天鳳さんにとって、譚仔雲南米線創業者の息子との結婚は、元夫と別れた後の再婚だった。

蔡さんの両親も企業家で、中国大陸部で事業を展開することで、莫大な資産を形成したとされる。蔡さんはモデルの活動もして、フランスの出版社が発行するファッション誌の表紙を飾ったこともある。

蔡さんは21日に元夫との間に生まれた娘を迎えに行ったまま、行方不明になった。警察は、蔡さんは事件に巻き込まれたと判断して捜査を進めた。警察によると、蔡さんと最後に確実に接触したのは、個人の運転手として雇っていた元夫の兄だった。警察は運転手やその両親から事情を聴取した。

警察関係者によると、事情聴取の対象となった者のうち何人かは、事実でない情報を多く話した。そのために警察は時間を浪費したが、虚偽の供述を一つずつ見破っていったという。

警察は24日未明に、蔡さんの元夫の父親が今月になり入居した不動産物件を捜査して、冷蔵庫の中に蔡さんの遺体の一部を発見した。室内からは、蔡さんの身分証明書やクレジットカードなども見つかった。警察は蔡さんの元夫の兄と両親の計3人を逮捕した。また、蔡さんの元夫も、25日午後に逮捕された。26日時点で、蔡さんの頭部が発見されたとの報道は見当たらない。

蔡さんは、離婚後も元夫の家族の面倒を見ていた。例えば、元夫の父親の名義で不動産物件を購入して、元夫一家を住まわせていた。元夫の兄を運転手として雇ったのも、蔡さんの配慮だった。しかし昨年末に蔡さんが不動産物件を売却する意向を示したことで、元夫一家との間で争いが生じていた。

事件の首謀者は、警察官の経験がある蔡さんの元夫の父親とされている。蔡さんから資産を横取りする目的で、元夫の兄が運転する車で娘を迎えに行く際に、車内で昏睡状態にして、殺害場所まで運んでいったとみられている。（翻訳・編集/如月隼人）