Record ASEAN 2023年3月5日(日) 19時10分
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家政婦として海外で働くフィリピン人女性は多い。彼女らによる本国への送金は、フィリピン経済に大きく貢献してきた。フィリピン人家政婦に対する評価はどのように形成されたのか。その実情とはどのようなものか。
フィリピンでは、海外で働く人による本国への送金が経済を支える重要な柱になっている。海外在住のフィリピンへ人による本国への送金額が、フィリピン経済の重要な指標の一つになっているほどだ。海外で働く人の重要な職業の一つが、個人家庭でさまざまな家事を遂行する、いわゆる家政婦だ。中国メディアの澎湃新聞はこのほど、フィリピンの「海外在住家政婦産業」を紹介する記事を発表した。
フィリピンは16世紀にスペインの植民地になった。フィリピン人はカトリックを受け入れて、その影響により実直で忍耐強いフィリピン人気質が形成された。このフィリピン人気質が海外への家政婦進出の基礎になった。
19世紀には、産業革命で勢いを増した米国がフィリピンを接収した。米国はフィリピンの資源を活用するために、職業技能教育に力を入れた。多くの初級技能労働者や家事労働者を育成され、米国式教育のもとで多くのフィリピン人労働者が基礎的英語を習得した。長年にわたる植民地支配の結果、フィリピン人の「逆境にはさからわない」性格が強まった。同時にキリスト教信仰を持ち英語ができるため、西洋人はフィリピン人女性を家政婦を雇うことを好むようになった。
フィリピンは1946年に米国から独立した。しかしフィリピンは多くの元植民地国家と同様に、整った工業体系を構築することができなかった。伝統的な農業や小規模な工業では、若者を中心とする多くの人に働く場を提供できない。そこでフィリピン政府は、失業率を下げると同時に国民の所得を向上させるために、労働力の海外輸出に力を入れることになった。
マルコス政権は1974年に施行した労働法で、国民の海外出稼ぎを奨励した。フィリピン人は英語ができ、キリスト教を信仰しているため、米国、カナダ、豪州などがフィリピン女性の主要な出稼ぎ先となった。この時期は、香港や台湾の経済が躍進した時期でもあった。そのため、フィリピン人女性は、地理上の近さや英語能力、自国政府の支援、安価な人件費、雇い主に対する従順さなどの要因により、香港や台湾で家政婦として働くケースが急増した。
1999年時点のフィリピンのGDPは856億ドルで、うち海外の家政婦からの送金額は40億ドルを超えた。家政婦などとして海外で働くフィリピン女性による収入はフィリピン人の海外労務収入の5割程度に達した。フィリピン人女性は海外で家政婦として働くことで、フィリピン経済の発展に貢献した。
20世紀末になると、フィリピン政府が海外出稼ぎを強力に推進したことで、家政教育システムがさらに整備されていった。フィリピン国内の約2000の大学のほとんどが家庭学科を開設した。またフィリピン教育技能開発局(TESDA)が開設した家政婦養成クラスもあり、審査に合格した女性にフィリピン国家技術証明書であるNCIIを授与している。
フィリピン政府の法的保障としっかりとした訓練により、フィリピン人家政婦の世界的な評価が形成されていった。つまり、家政婦としてのブランド力の獲得だ。また、現在のフィリピン人家政婦はほとんどが中等専門学校以上の学歴で、中には教育、心理学、会計学科を卒業した大学生もいる。一部の家政婦は看護師、医師、教師の免許を持ち、流暢な英語を話すなど、この分野のリーダー的存在だ。
しかし、家政婦と雇用主には本質的に不平等な雇用関係がある。労働時間が長すぎる、居住条件が悪いなどの差別的な待遇もある。その一方で、家政婦の収入はフィリピン国内のホワイトカラーよりも全般的に高い。海外で家政婦になったフィリピン女性の多くは早く稼いで帰国したいと願う。そのため、雇用主の厳しい条件に応じなければならないことが多い。
差別され、阻害されることは、家政婦としての世界的なブランドを確立する際に直面せざるを得ない問題だった。家政婦ブランド確立の成功は同時に、フィリピンのイメージにマイナスの影響ももたらした。フィリピンが単に「家政婦供給国」と見なされるなどの現象だ。
国家に外貨収入をもたらす家政婦は、フィリピン政府から「新国家のヒロイン」と呼ばれている。しかし彼女らは、家庭の貧困と向き合うことを強いられている母であり、妻であり、娘でもある。(翻訳・編集/如月隼人)
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2023/3/3
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