中国の未来の縮図?「富む前に老いる」黒竜江省―独メディア

Record China    2023年3月7日(火) 9時0分

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5日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、急速な少子高齢化で「富む前に老いる」現象が北部の黒竜江省で特に深刻化していることを報じた。写真はハルビン。

2023年3月5日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、急速な少子高齢化で「富む前に老いる」現象が北部の黒竜江省で特に深刻化していることを報じた。

記事は、同省に住む70歳の女性・王鳳琴(ワン・フォンチン)さんの暮らし向きについて紹介。毎月2000元(約4万円)の養老年金を受け取っているものの「病院の検査だけで1000元(約2万円)かかる」など、それだけで生活するのは難しい状況だと伝えた。

そして、一人っ子政策などの影響により中国で急速な人口減少と高齢化が進んでおり、養老年金予算が年々逼迫していると指摘。中国の31省・直轄市・自治区のうち11省市区ですでに赤字状態になっており、中でも黒竜江省は赤字額が域内国内総生産(GDP)の2.4%と最も深刻だとした。

さらに、同省は1人当たりの平均年収が5万900元(約100万円)で全国平均の8万5700元(約168万円)よりかなり低いこと、60歳以上人口が全国平均の20%を上回る25%であること、21年までの10年間で人口が17%減少し、特に生産年齢人口は30%以上減り、21年の出生数がわずか10万人といった状況により、1人当たりの平均養老年金収入が年3万8792元(約76万円)と全国最低水準、北京市や上海市のわずか半分だと紹介している。

記事は、中国の養老年金体系が省市区単位の管理となっており、現地の労働者が支払うお金によって賄われていると説明。このため多くの専門家からは全国統一の養老年金制度をつくり、資金が不足している地域にリソースを融通するべきだとの意見が出ているとした。一方で、豪ビクトリア大学政策研究センターの彭修建(ポン・シウジエン)シニア研究員が「今は豊かな省から不足分を補うことでなんとかできても、養老年金制度を抜本的に改革しなければ立ち行かなくなる」と指摘していることを紹介するとともに、中国社会科学院もこのままでは35年には養老年金の資金が尽きると予測していることを伝えた。

記事は、早ければ現在開催中の全国人民代表会議で養老年金改革の措置が発表される可能性があるものの「具体的な内容はまだ分からない」とし、21年に発表された定年年齢引き上げ措置についても正式に実施されていないと指摘。養老年金をめぐって各地で高齢者の反発が強まる中で中国政府が早急な施策を迫られているとともに、生産年齢人口の拡大につながる出生数を増やすためには「養老年金額と同時に現役世代の賃金水準を国の経済成長に連動して引き上げること」も必要だとの見方を示している。(翻訳・編集/川尻


※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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