日本僑報社 2023年3月11日(土) 17時0分
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私はコロナが流行する前の2019年の夏に日本に帰り、日本にいる中国人の友人と会った。資料写真。
2021年の「日中共同世論調査」によると、90.9%の日本人が中国の印象を「良くない」「どちらかといえば良くない」とした。また、66.1%の中国人が日本に対する印象を「良くない」「どちらかといえば良くない」とした。
ここ数年日本人の中国へ対する悪い印象は高止まりしている。しかし、私の実感とは大きく異なっている。私は中国に来て10年になる。2012年8月末に中国の天津に語学留学し、今では西安交通大学で日本語教員をしている。そのため、中国人と日本人が交流する場面も多く見てきたし、日本人の中国人に対する印象を聞く機会も多かった。そこからみると、中国在住の日本人の中国人に対する印象は決して悪いものではない。
日本人で中国人と接したことがある人はかなり少ないのではないか。接したことがあっても、一言二言話しただけであったり、仕事上での表面上のつきあいだけなのではないか。私も日本にいたときは、ほとんど接したことがなかった。大学にも職場にも中国人はいたが、簡単な会話をするだけで友達になったり、一緒にご飯に行くことはなかった。そういった状況では「中国人」ではなく全体的なイメージで印象を判断してしまうだろう。主には、テレビ、新聞、インターネットで得たニュースだ。歴史、地政学的問題や国家間の価値観の違いなどによって印象が決まってしまう。そこには、実際に生活している相手の国の人々の姿はない。
また、表面的な習慣やコミュニケーション方法に目がいきすぎな気もする。確かに中国人ならではの特徴がある。自己主張が強く、思ったことはすぐ口にする。中国では自分の言いたいことをぶつけあい、その上で解決するのが中国の方法だ。日本人のように空気を読んで相手に配慮するようなコミュニーケーション方法はとらない。これは、コミュニケーションの方法にすぎず、決して相手のことを考えていないというわけではない。困ったことがあれば積極的に助けてくれるし、一緒に食事をしたり遊びに行ったりすると出来るだけ楽しませようとしてくれる。この点は日本人と決して違いはないだろう。
そして、日本での習慣に馴染むのは大変だということだ。私たち日本人は強く意識していないが、外から見ると気づきにくい暗黙のルールもある。その習慣に馴染むためには一定の時間が必要となる。
私はコロナが流行する前の2019年の夏に日本に帰り、日本にいる中国人の友人と会った。そのとき、一緒に地下鉄に乗ったが私の話す声が大きく、地下鉄では小さい声で話すようにと中国人の友人に叱られてしまった。大変恥ずかしかったが、私はいつの間にか中国の地下鉄での声量が習慣になっており、中国人の友人は日本の地下鉄での声量が習慣になっていたのだ。
そして、接することが少ないと表面的な部分ばかりに目がいき、中国人を一括りにしてしまい個々の中国人に意識がいかないように思う。中国人も日本人と同様に様々な性格の人がいる。明るい性格の人も、おとなしい性格の人も、派手好きな人も、素朴な人もいる。趣味も様々だ。スポーツが好きな人も、音楽が好きな人も、アニメが好きな人もいる。よく話してみると、中国人も日本人も大差がないように思う。
日本人以上に日本のことが詳しい中国人もたくさんいる。中国人から日本のアニメの話をされることがよくあるが、ほとんどの場合詳しすぎてついていけなくなる。日本の旅行先に詳しい友人も多く、改めて日本の美しい景色に気づかせられることもある。
現在、在日中国人は約80万人いる。街の中を歩けばすぐに出会うことができる人数だろう。特に東京や大阪では、もっと簡単に中国人と接することができる。日本人同士で集まるのも悪くはないが、中国人と接するのは自分の視野を広げてくれるのではないか。三国志の話をしてみるのもいいし、本場の中華料理の店を教えてもらうのもいいし、中国人の視点から見た日本について聞いてみるのも面白いと思う。そうすると、中国人にも多くの個性があることに気づき友人もできるだろう。そうして、多くの人が接してみるようになるとお互いの印象はすぐによくなるだろう。
2021年の中国人の日本に対する印象は2020年から約13%悪化している。これは、コロナによって訪日中国人の人数が激減したことによるものだろう。中国人の人々も日本人と接する機会が少なくなり、実際の「日本人」ではなく、ニュースによって知る日本の全体的なイメージだけで判断してしまうようになった結果だろう。
学校にいる中国人や職場にいる中国人に積極的に話しかけてほしい。多くの中国人は日本人と交流することを望んでいると思う。また、各種日中交流会に参加してみるのもいいと思う。物は試しの軽い気持ちで交流してみてほしい。決して後悔はしないと思う。50年後の日中国交正常化100周年のときには、印象が逆転し両国90%以上の好感になっていることを願っている。
■原題:日本人の九割が「中国嫌い」って本当?
■執筆者プロフィール:久川充雄(くがわみちたけ) 2004年3月筑波大学卒業。同年4月食材専門商社に就職。2012年8月天津商業大学に語学留学。2015年3月天津日系企業に就職。2019年3月から2022年1月まで安徽省准北師範大学で日本語教員。2022年2月から現在まで陝西省西安交通大学で日本語教員。趣味は、スポーツ・グルメ・旅行。留学中や長期休暇には中国各地を旅行し、現在まで35都市を訪問。
※本文は、第5回忘れられない中国滞在エピソード「驚きの連続だった中国滞在」(段躍中編、日本僑報社、2022年)より転載したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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