Record China 2023年3月21日(火) 8時0分
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アディダスが中国市場で苦戦している。その原因は、新型コロナウイルス感染症の影響だけではないという。
スポーツウエアや関連用品の世界的名門企業であるアディダスが、中国および中華圏市場で大苦戦をしている。新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことも事実だが、他のブランドと比較すると、それ以外の原因も見えてくる。中国メディアの第一財経が伝えた。
アディダスがこのほど発表した決算報告によると、2022年通年の売上高は前年比1%増の225億1100万ユーロ(約3兆2000億円)で、株主に帰属する純利益は同71%減の6億1200万ユーロ(約870億円)だった。一方で、中華圏での同年通年の売上高は36%減で、特に同年第4四半期(10-12月)の売上高は50%減だった。アディダスは7四半期連続で、中華圏での売上高が減少した。
アディダスは22年第3四半期決算を発表した際に、大中華圏での売上高減少の原因として、感染症による物流の停滞や同社の大規模な在庫買い戻しなどを挙げた。感染症の封じ込めも同地域の消費者需要を減少させたと主張した。
アディダスが02年に、提携していたYeezy(イージー)ブランドの事業から手を引いたことも、会社全体の業績にある程度影響を与えた。
アディダスが中国市場を軽視していたのではない。19年には上海市内にアジアクリエイティブセンターを設立し、中国大陸市場での新たな改革に取り組んだ。例えば、中国人には、春節(旧正月、23年は1月22日)を迎えるに際して、新しい干支に関連する商品を縁起物として歓迎する習慣がある。アディダスは23年の春節期に、ウサギをあしらった新しいスポーツシューズを発売した。
アディダスのアドリアン・シウ(蕭家楽)大中華圏董事総経理(会長兼社長)は取材に対して「今後2-3年で、中国で作られる製品の総量が、アディダスが市場に送り出す製品の3分の1を占めるようになる。アディダスは、より現地化されたイノベーションを通じて中国の若い消費者との距離を縮めていく」と述べた。
スポーツウエア大手のナイキも中華圏で業績悪化に直面しているが、アディダスほどにはひどくない。22年11月30日を末日とする同社23会計年度第2四半期決算で、ナイキの大中華圏の売上高は前年同期比6%増の17億8800万ドル(約2兆4000万円)だった。ただし、ナイキも大中華圏での売上高を4四半期連続で減少させた。
中国では、自国ブランドの台頭もアディダスを圧迫している。福建省晋江市に本社を置く安踏体育用品は22年上半期、同期のアディダス中国の約2倍となる259億7000万元(約5000億円)の売上高を達成した。福建省泉州市に本社を置く特歩集団の売上高も前年同期比35.45%増だった。北京市に本社を置く李寧も、「高度成長」を見せている。3月17日に発表した22年業績によると、売上高は前年比14.3%増の258億300万元(約4900億円)で、新型コロナウイルス感染症の出現前年の19年の約2倍に達した。
ロンドンに拠点を置く市場調査会社のユーロモニター・インターナショナルによると、21年にはナイキとアディダスの中国における市場シェアが目に見えて低下した。ナイキの場合、20年には25.6%だったシェアが、21年には25.2%になった。アディダスの場合には、20年が17.4%で、21年には14.8%にまで低下した。
一方で、20年には15.4%だった安踏体育用品の中国市場におけるシェアは21年には16.2%に上昇した。李寧は20年には6.7%、21年には8.2%で、やはりシェアを拡大した。
アディダスについては、不適切なマーケティング戦略が災いしたとの見方がある。中国市場で価格競争をやみくもに展開したために売上高と利益を減らし、市場シェアまでも失ってしまったとの指摘だ。
アパレルメーカーの良栖品牌の創業者である程偉雄氏は「スポーツブランドにとって、マーケティングを重視し研究開発を軽視する時代は過ぎ去った。研究開発への投資拡大を加速する必要がある」と指摘した。程氏によると、スポーツ関連商品では新たな素材の導入や機能面の向上を目指す研究と応用のために、投資しつづける必要がある。スポーツウェアのファッション性が評価されて事業規模が急拡大したとしても、効果は一時的なものにすぎず、シューズやその他の素材の研究で大きな成果を上げることが、ブランドをより長期的に成長させる道という。(翻訳・編集/如月隼人)
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2023/3/17
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