日本のアニメ映画の中国市場における潜在力―中国メディア

Record China    2023年3月30日(木) 22時0分

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中国メディアの一財網は29日、中国で大ヒットを記録している映画「すずめの戸締まり」を例に、日本のアニメ映画の潜在力について論じた。写真は「すずめの戸締まり」公式微博アカウントより。

中国メディアの一財網は29日、中国で大ヒットを記録している新海誠監督のアニメーション映画「すずめの戸締まり」を例に、日本のアニメ映画の潜在力について論じた。

「すずめの戸締まり」ヒットの背景

今月24日に公開された「すずめの戸締まり」は、29日午後2時の時点で興行収入が3億8200万元(約73億5000万円)に達し、「アントマン&ワスプ:クアントマニア」などを抑えて今年公開された外国映画のトップに躍り出た。日本アニメ映画の中国における歴代興行収入1位は新海監督の「君の名は。」の5億7600万元。「すずめの戸締まり」は1日当たりの興行収入で今も一部の中国映画を抑えてトップをキープしており、記事は「最終的な興行収入が新記録を樹立する可能性は高い」と評した。

そして、4月には「名探偵コナン ベイカー街の亡霊」、「THE FIRST SLAM DUNKスラムダンク)」といずれも中国で人気の高い作品が公開予定であることに言及し、「この2作品が新海作品と記録を競い合うことになる」と予想した。

記事は「すずめの戸締まり」のヒットの要因について、新海監督自身の訪中も含めたオン・オフラインでの宣伝が奏功したとの見方を示す一方、作品自体の質も高いと評価。美しい映像に加え、東日本大震災という重いテーマを扱いながらも、日本の伝統的文化を背景に織り込み、またアクションやコメディーの要素も兼ね備えているとした。

このほか、新海監督は過去にどっぷりとつかることなく、若者のトレンドにアンテナを立て、時代の変化や観客からのフィードバックにも目を光らせているとも指摘。主人公の男女の恋愛的な感情があまりに唐突で論理性に欠けるという指摘はあるものの、逆に補助的な視点で描かれた家族の情や友情、見知らぬ人の善意などがより心を打つとした。

日本のアニメ映画の潜在力

記事は、新海監督について「中国の映画ファンの中では宮崎駿氏に次ぐ影響力を持っていると言われ、青春、恋愛、自然などが代表的なテーマとなっている」と説明。「初期の『秒速5センチメートル』や『言の葉の庭』などの作品を通して独自のスタイルを創り出し、清らかで美しい画風によって多くの中国映画ファンをとりこにした。初期の作品に影響を受けた観客は今では映画消費層の中堅へと成長し、中国市場への本格進出に向けしっかりとしたファンの基盤を築いている」と述べた。

また、2016年以降の「君の名は。」と「天気の子」はいずれも中国でヒットしており、監督自身のPR力に加えて映画の質と評価も安定しているとし、「近年の中国恋愛映画の同質化、ストーリーのパターン化の中、彼のアニメ映画は若い男女間の絆を描くことに長けている」と評した。

さらに、日本ではアニメ作品が映画市場の柱であり続けているが、中国市場でもその好調さは顕著だとし、「『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』と『ONE PIECE FILM RED』はそれぞれ2億元(約38億円)と1億8500万元(約35億5000万円)の興行収入を記録し、『THE BATMAN-ザ・バットマン-』などを抑えて2022年の海外映画興収ランキングでトップ10入りを果たした」と紹介した。

また、「名探偵コナン ベイカー街の亡霊」、「THE FIRST SLAM DUNK」のほか、6月には「天空の城ラピュタ」が公開されることに触れ、「宮崎監督の『千と千尋の神隠し』(中国では2019年公開)と『となりのトトロ』(同じく2018年公開)は古い作品にもかかわらず、それぞれ4億8800万元(約95億円)と1億7300万元(約33億円)の興行収入を記録し、改めて人気を示した」としたほか、湯浅政明の「犬王」も年内に中国で上映される可能性があると説明した。

そして、「日本のアニメ映画は確固たるファン層を持ってはいたものの影響力は限定的で最もヒットした『君の名は。』でも観客動員数は2000万人にとどまっていた」とする一方、「今回の『すずめの戸締まり』のヒットは効果的なPRに加えて映画自体のクオリティーも関係しており、今後も多くの日本のアニメ映画が継続的に輸入され、安定したレベルを維持できれば、中国市場でこのジャンルの天井を押し上げる可能性もある」と結んだ。(翻訳・編集/北田

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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