ファーウェイが2022年の決算発表―「企業向け業務」が売上高3割増、研究開発費は過去最高

Record China    2023年4月3日(月) 7時10分

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ファーウェイが2022年の業績を発表した。企業向け業務の売り上げ前年比30%増だった。研究開発費は過去最高だった。写真は深セン市内の発表会場。

華為技術(ファーウェイ)は3月31日午後、広東省深セン市内で2022年(1-12月)の業績発表会を開催した。売上高は6423億3800万元(約12兆4000億円)で、前年の6368億700万元と比べて0.87%の微増だった。純利益は前年比68.7%減の355億6200万元(約6870億円)と大きく落とした。一方で、研究開発費には過去最高の1615億元(約3兆1200億円)を投じた。また、事業分野別では、通信会社以外の企業への売上高が前年比30.0%増と大きく伸びた。

研究開発費が対売上高比でも絶対額でも過去最高に

発表会にあたって同社の徐直軍輪番会長は、自社の状況を「寒梅」に例えて「厳寒に耐えたからからこそ香気を放つ」と表現して、ファーウェイは巨大な重圧に直面しているが、顧客やパートナーの信頼と強力な投資によって「生存」と「発展」を実現しつづける説明した。なお、中国では古くから、「梅花」が「特に高貴な花」とされている。

ファーウェイの経営については、研究開発への巨額な資金投入が特徴的だ。かねてから売上高の10%以上を研究開発費に充てることを「鉄則」にしているが、21年には売上高の22.4%を研究開発費に充てた。2022年に投じた研究開発費はさらに増加して売上高の25.1%に相当する1615億元に達した。ファーウェイの22年における研究開発費は、売上高に対する比率でも絶対額でも過去最高だった。

ファーウェイの22年末時点での研究開発要員は全職員の55.4%に相当する11万4000人に達した。また同時点での全世界における特許件数は12万件を超えた。

ファーウェイの場合、自らが有する知的財産の「囲い込み」を避ける特徴もある。会社としての目標は顧客に「よりよい体験」を提供することなので、例えば自社が持つ技術をパートナー企業に提供し、パートナー企業がその技術を利用して、より良質な部品や製品を開発するなどだ。日本企業ともこのような提携を行っており、例えばスマートフォンのカメラで鮮明な画像を得るために重要な部品であるアクチュエーターを改良してスマートフォンのカメラの性能を大きく向上させたなどの実績があるという。

「企業向け業務」には大きな“伸びしろ”が

ファーウェイは自社事業を「通信事業者向け業務」「企業向け業務」「端末業務」の3種に大別している。「企業向け業務」とは、通信事業者以外の企業を顧客とする事業だ。「端末業務」は消費者向け製品の販売以外にも、政府や企業などを顧客とする商用端末製品の製造販売も含む。

22年の「通信事業者向け業務」の売上高は前年比0.9%増の2839億7800万元(約5兆4900億円)だった。同業務の中で大きな比重を占めてきた5G基地局建設などが一巡したために、大きな需要増は発生しなかったと考えられる。

一方で、「企業向け業務」の売上高は前年比30%増の1331億5100万元(約2兆5700億円)と大きく伸びた。「企業向け業務」は売り上げ規模で「通信事業者向け業務」や「端末業務」にまだ水を開けられているが、「伸びしろ」が大いにある業務分野と考えられる。

同社は、有望視できる個別事業に特化して取り組む「軍団」と呼ばれる組織を設立している。ニーズの把握や掘り起こしから、研究開発、生産、アフターサービスなどを一貫して行う組織で、軍組織が兵站から現場、さらには食料の確保や医療まで自己完結型で取り組むことに発想を得た命名という。ファーウェイの「軍団」は「炭鉱軍団」「スマート道路軍団」「税関・港湾軍団」「スマート太陽光発電軍団」「データセンタインフラ軍団」など、同社の「企業向け業務」に分類される場合が多い。

「端末業務」の22年における売上高は前年比11.9%減の2144億6300万元(約4兆1500億円)だった。米国による部品の供給制限などが響いているとされる。

米国がファーウェイに対する圧力を本格化したのは19年ごろだった。ファーウェイ側の説明によると、それより早い時期に米国側の動きを想定しはじめており、12年には米国などから部品の供給を止められた場合などに備えて、中国国内でも代替品を製造できる「スペアタイヤ計画」を始動した。同計画が大きく動きはじめたのは米国側の動きが本格化して以降だったが、それでも高性能のチップの開発などで成果を上げ始めている。

自動車製造はしないと改めて断言

ファーウェイの動きについては、自動車関連事業についても注目されている。ファーウェイは完成車を製造する考えはないと繰り返し表明してきたが、最近になりファーウェイが技術を提供する個別の自動車名に「華為」の中国語ローマ字表記である「HUAWEI」が使われるようになったことで、「やはり完成車の製造を目指すのでは」との声が再燃した。

徐輪番会長は3月31日の発表会で、同社は完成車を作るのではなくて、自社の技術によって自動車製造会社を支援する役割りを貫くと改めて説明した。また、ファーウェイでは同日、「完成車製造は手掛けない」という有効期間5年間の決議が成立したという。

徐輪番会長によると、ファーウェイは各種決定について有効期間を定めているが、有効期間は最長で5年と定められている。この規則に従って自動車製造を手掛けないとする決定の有効期間が定められたが、5年後には改めて同様の決定を行うだろうという。

徐輪番会長はまた、「HUAWEI」の名を追加した自動車名について「一部の個人、企業、パートナーがファーウェイというブランドを乱用している。常に取り締まりを続けている」と説明した。徐輪番会長はさらに「ファーウェイが30年以上かけて構築してきたブランドは、だれにも乱用させない。ファーウェイは車を作っておらず、いかなるブランドの車も持っていない。ファーウェイのブランド名を自動車ブランド名に使うことを厳禁する。旗艦店などの内部宣伝材料も整備し、本来の戦略に回帰させる」と述べた。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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