昭和から続く小さなラーメン屋、スープに「ゴキブリ」を発見した在日中国人が下した決断とは…

Record China    2014年7月17日(木) 7時51分

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私が勤める会社は昭和に建てられたビルの中に入っている。ビル1階には飲食店や飲み屋が立ち並び、中でも、地下1階にあるラーメン屋にはよく足を運ぶ。資料写真。

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私が勤める会社は昭和に建てられたビルの中に入っている。同ビルは有名なデザイナーの設計で、当時は今でいう六本木ヒルズのような存在で、若者が集まり音楽や酒を楽しんでいた。当時をよく知る会社の社長は、ほろ酔いになるとよくその話をする。

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ビル1階には飲食店や飲み屋が立ち並び、朝からうどんやそば、昼は様々な定食、そして夜にはお酒を楽しむことができる。1階に行けばいつでも安くおいしいものが食べられ、特に夏や冬、雨の日など屋外に出なくて済むため重宝している。

中でも、地下1階にあるラーメン屋にはよく足を運ぶ。店はカウンターの席が数人分あるだけの簡素な作りで、おばあちゃんが1人で切り盛りしている。同店の醤油ラーメンは素朴な味でどこか懐かしさを感じる。定食物もあるが、カロリーが高いため私はいつもワカメラーメンを注文している。

おばあちゃんはビルが建てられた時から店を構えており、50年間店の味を守り続けている。外見から70代と思われるが、若い時分は相当な美人だったと見えて、その面影が今でも確認できる

私がこのラーメン屋を知ったのは会社の検診診断がきっかけ。検査終了後におなかをすかせ、10時半という中途半端な時間でも営業していた同店ののれんをくぐったのが始まりだ。店主のおばあちゃんと世間話をしているうちに、彼女が9年前に胃がんを患い、手術に成功したことを聞いた。おばあちゃんの人柄と同店のラーメンが気に入った私は、週3で昼に通うようになった。

今年に入り、おばあちゃんの体力が落ちたと感じる。ラーメンの湯切りは切れがなくなり、おつりの計算も遅くなった。そして、おばあちゃんの衰えを強く感じた出来事が先週起きた。いつものように私は昼時に店を訪れ、ワカメラーメンを注文。いざ食べようとコショウをかけたとき、スープの中に小さなゴキブリを発見した。

周りのお客さんに配慮し、おばあちゃんにそれを見せると、おばちゃんは慌ててラーメンを回収。すぐに作り直すと謝罪してくれたが、さすがに食欲をなくし、店を後にした。周りのお客さんにはわからないように伝えたが、おばあちゃんはいつにない複雑な表情を浮かべていた。その時私は店に二度と行かないと決心した。

数日後に店の前を通った際、店にはおばあちゃんの代わりに青年が立っていた。その後も気になり何度か店をのぞいたが、おばあちゃんの姿は確認できなかった。半世紀同じ場所に店を構えている年期のある店のため、ゴキブリくらい出ても不思議ではない。ゴキブリを見逃したのはきっと年齢も影響しているのだろう。これくらいのことで彼女が引退するようなことがあるなら、非常に残念でならない。

先ほど、同僚にあるお願いを頼んだ。それは、おばあちゃんの姿が見えたら教えてほしいということだ。いったんは店には二度と行かないと決めたが、いつものようにラーメンを食べに行こうと思い直したからだ。(執筆・ 38歳男性/在日10年/会社員)

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