米国で中国文化を紹介する意義とその方法とは―ワシントンの華人博物館副館長が紹介

中国新聞社    2023年5月6日(土) 23時0分

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在米華人は米国社会の発展に大きく貢献してきたが、よくは知られていない。ワシントンに設けられた華人博物館のリウ副館長は、米国で中国文化を紹介する意義や方法を語った。写真は華人博物館。

米国社会は「人種のるつぼ」とも言われる。たしかにさまざまな民族の人々が生活している国だ。しかし、人口比率が大きく影響力も強い民族もあれば、少数派の民族もある。華人(中華系住民)は米国社会の少数派と言える。しかし、米国の首都であるワシントンで2020年に一般見学者の受け入れを始めたワシントン米国華人博物館の副館長であり、学芸員でもあるジェニー・リウ氏によると、米国社会で多くの人に中国文化を理解してもらうことは、ますます重要になっている。リウ氏はこのほど、中国メディアの中国新聞社の取材に応じて、米国における中国文化を紹介する意義やその方法を説明した。以下は、リウ氏の言葉に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。

米国に華人博物館は多くあるが、ワシントンでは非華人への発信を特に重視

博物館の設立構想は2017年に始まった。ワシントンは米国の政治の中心地であると同時に、さまざまな博物館が集中するなどで、文化発信の中心地の一つでもある。ワシントンに米国華人博物館を設立したことで、私たちには「居場所」ができた。華人は長年にわたり米国社会に大きく貢献してきた。例えば大陸横断鉄道も主に、華人の労働力で建設された。苦労をいとわず仲間と共に努力することを重んじる、華人文化が大きな成果を出したとも言える。それ以外にもいろいろあるが、華人の貢献や、その根底にあったものをを重視している人は少ない。主流メディアも紹介しない。米国における華人のことを、米国社会の主要グループに属する人に、少しずつでも理解してもらう必要がある考えた。

米国には華人をテーマにする博物館が、6カ所か7カ所はある。所在地はニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルスなど、華人が多くすむ大都市だ。これらの博物館は基本的にチャイナタウンにあり、扱うテーマもおおむね、現地のチャイナタウンや華人の歴史だ。

ワシントン米国華人博物館の設立では、チャイナタウンだけを扱ったり、華人だけに向けて展示する博物館であるべきでないと考えた。華人以外の多くの米国人向けの博物館でなければならない。在米華人は社会の少数派だ。華人がしてきた米国社会への貢献の物語や中国文化については、私たち自身が語らねばならない。

しかし、社会の多くの人に向けて中国文化の情報を発信するためには、課題もある。在米華人ならば、中国文化についてはある程度以上の理解がある。その他の米国人は「情報の基礎」を持ち合わせていない。だから博物館は「啓発的」な展示をする必要がある。

もちろん、在米華人にも、中国文化にもっと親しみ、興味をもってもらいたい。特に若い世代の人々だ。博物館では2021年から毎年、中学生と高校生を対象とする中国芸術のコンテストを実施している。参加者は当初、ワシントンD.C.在住者がほとんどだったが、今年は米国の東西両海岸、さらには深センや香港、台湾からも参加者がおり、人数は300人以上に達した。

「道教展」を開催して、米国社会の意外な事実が判明

館は現在、道教関連の展覧会を開催している。展示物を直接紹介すると同時に、オンライン公開を組み合わせている。また、「道教と中国の哲学思想」、「「道教と中国の文化芸術」をテーマに、それぞれ研究者と医師を招いてオンライン方式のシンポジウムを開催した。

この活動を通じて、2万人以上の米国人が道教に強い関心を持っていることが分かった。さらには道教の信者もいた。これは予想外だった。

展示して見てもらうだけでは、博物館として受身の姿勢になってしまう。そこで、多くのイベントを開催することで、さまざまな米国の若者に積極的に参加してもらえるようにしていきた。現在では韓国系、日系、ベトナム系の若者も、館に関心を持つようになった。館では場所を提供して「バンブー・サークル(竹サークル)」という文化サロンを定期的に開催している。ワシントンD.C.ですでに就職している若い華人を招待して、交流活動をしている。


小回りが利く小さな博物館、米中の理解のために大博物館を補完

ワシントンには大規模な博物館も多い。展示の基準が高く、展示品の質はとてもよい。ただ、この館には柔軟性があり、展示の方向性が明確という強みがある。米国の大規模博物館は、中国文化の紹介については不足している面がある。この館は、それを補完していると言える。

また、中国には多くの良質な博物館資源があるが、米国の大規模博物館で中国の博物館の所蔵品の特別展などを開催しようとしても、時間がかかってしまう。大規模博物館は長期計画を立てているので5年、場合によっては10年も待たねばならない。一方で、ワシントン・アメリカ華人博物館は、中国博物館と協力しての特別展を、柔軟に開催できる。この館はすでに、米国博物館協会の会員でもある。つまり博物館として公認された存在だ。なので、今後はより多く、より全方位的に中国の博物館と協力していきたいと考えている。

米中の2国は、互いに意思疎通を図り、互いに理解せねばならない。双方が相手を知るためには、文化を知ることから始めるのが最も自然だ。展示を通じて中国の文化を紹介し、より多くの米国民に中国を知ってもらいたいという願いは、館の設立当初からあった。

現在は「チャイナドレス展」の企画を進めている。遅くとも6月には、ワシントンの一部大使館の大使夫人などを招待してチャイナドレスのファッションショーを開催する予定だ。中国の文化を広めることで、より多くの人に中国文化の多彩さを知ってもらいたいと願っている。(構成 / 如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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