Record China 2023年5月30日(火) 9時0分
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華為技術ファーウェイは2023年通年の携帯電話出荷目標台数を従来の3700万台から、4000万台に上方修正したもようだ。低迷する業界にあって、異例の「伸びしろ感」を示した。
華為技術(ファーウェイ)は2023年通年の携帯電話出荷目標台数を従来の3700万台から、4000万台に上方修正したとされる。台湾メディアの工商時報などが伝えた。サプライチェーンからの情報で明らかになったという。スマートフォン業界が低迷する中で、ファーウェイは異例の「伸びしろ感」を示している。
上方修正幅は従来比約8.1%の300万台で、規模としてはそれほど大きくない。しかし、世界的にみても中国国内でも携帯電話市場は22年から低迷している。主力メーカーの中で販売台数を情報修正したのは、ファーウェイぐらいのものと見られている。中国の他のメーカーでは逆に、下方修正する例が目立つ。
ファーウェイは米国による同社制裁が始まると、自社の携帯電話ブランドブランドの栄耀(オナー、HONER)を分離し、さらに深セン市智信新信息技術に売却した。HONERの携帯電話販売台数は年間6000万台程度で、ファーウェイの携帯電話販売は、HONERを手放してから低迷が続いた。また、ファーウェイブランドの携帯電話の市場に対する影響力も、かつてを考えれば相当に弱まったとされる。
ファーウェイ製の携帯電話で特に目立つのは折り畳み式のスマートフォンで、ファーウェイの折り畳み式スマートフォンは23年通算で最大300万台出荷されると見られている。
香港に本社を置く市場調査会社のカウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチリサーチによると、22年の中国大陸部におけるスマートフォン市場ランキングで、ファーウェイは上位5位から転落して、シェア7.9%の第6位だった。第1位はから第3位はVivoの19.2%、アップルの18%、OPPOの17.5%だった。HONORはシェア16.2%で第5位に食い込んだ。
中国大陸部では、新型コロナウイルス対策の緩和後、消費は回復しつつあるが、予想されたほどではないとされる。スマートフォンの販売台数は前年比14%減で、過去10年間で最も振るわなかった。スマートフォンの売上は、23年になっても低迷している。ファーウェイの出荷目標の情報修正は、スマートフォン需要の全面的な回復を意味するものではないが、それにしても明るい材料と見なされている。
ファーウェイがスマートフォン市場で低迷した要因には、主に2点があった。第1点は、米国政府がファーウェイに対する制裁を発動したことに伴い、グーグルがファーウェイとの関係を断ったことだった。ファーウェイの携帯電話はその後もグーグルが開発したアンドロイドOSを使い続けることはできたが、グーグルモバイルサービス(GMS)を使用することは出来なくなった。
GMSには、グーグルマップ、Gメール、検索、ユーチューブ、アンドロイドのアプリケーションストアなどのサービスだけでなく、開発者向けに提供されるGMS コア(GMS Core)も含まれている。携帯電話にGMS コアがインストールされていない場合、GMS コアを利用して開発されたアプリケーションを利用することはできない。
中国国内では、GMS関連サービスと同様の機能を持つサービスが充実しているので、ファーウェイ製スマートフォンが中国国内で受けた打撃は限定的だったが、海外市場では大打撃を受けた。しかしファーウェイはGMS コアに相当する自社のモバイルサービスである「HMS」および「HMSコア」を開発・発表した。「HMSコア」はオープンソースなので外部業者もアプリなどの開発が可能だ。ファーウェイには海外のソフトメーカーにもファーウェイ製携帯電話に対応するソフトを開発してもらうことで、HMSの手薄な部分を補完する狙いもあったとされる。
ファーウェイのスマートフォンについて、米国政府絡みで第2の打撃となったのが、多くの部品が調達できなくなったことだ。しかしファーウェイの端末ビジネスグループの何剛COO(最高執行責任者)は3月時点で、「ファーウェイはこの数年で、1万3000種以上の代替デバイスや代替部品を開発するなど、多くの困難を克服してきた」と述べた。
ファーウェイはかつては半年に1度、スマートフォンの新製品を発表していたが、そのペースを保てなくなっていた。しかし何COOは、部品などの供給はすでに安定を取り戻しつつあり、製品発表のペースは従来通りに戻ると述べた。またファーウェイは5月9日に、ドイツのミュンヘンで携帯電話の新たな「P60シリーズ」を発表した。同社が携帯電話関連で海外での大型発表会を開催するのは約4年ぶりだった。今後は中東、アフリカ、アジア太平洋、中南米などで発表会を順次実施するという。
ファーウェイがスマートフォン市場で苦境にありながらも中国国内で持ちこたえ、23年になってからは回復している背景には、ファーウェイがスマートフォン分野で好調だった時期に素晴らしい製品を生み出していた「財産」があるとの見方がある。ファーウェイは顧客が個人消費者であれ法人などであれ、自社製品やサービスによって「最高の体験をもたらす」ことを社是としてきた。そのことが苦境に合っても「生きた」との見方だ。
中国のポータル/情報サイトの捜狐は5月12日付で、ファーウェイの4Gスマートフォンは売れ行きが好調として、理由を分析する記事を掲載した。
同記事は、ファーウェイが部品不足のために5G対応スマートフォンをなかなか出せていない状況に注目した。4G対応スマートフォンに頼らねばならない状況だ。しかし、中国国内の5Gネットワークには現状で問題が存在するという。5Gユーザーが急増したために通信速度が十分に上がらず、状況のよくない一部の5G基地局が十分に機能しなくなったなどだ。そのため、5G対応スマートフォンでは使い勝手が悪い状況も出現した。
しかしファーウェイは4G携帯時代にあっても、「最適な製品」を世に出すことに極めて熱心に取り組んできた。そのため、ファーウェイのスマートフォンは5Gに対応していなくても、使い勝手が極めてよいとの評価を受けたというのだ。
ファーウェイのスマートフォンは中国国内市場での23年第1四半期(1-3月)のシェアは、前年同期比3.0ポイント上昇の9.2%だった。ファーウェイは中国市場で同期にプラス成長を達成した唯一のスマートフォンブランドであり、売上台数は前年同期比41%増だった。(翻訳・編集/如月隼人)
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