Record China 2023年6月6日(火) 0時0分
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山西省朔州市公安局は症状を誇大に説明するなどで治療費を上乗せしていたとして、朔州生殖医院(写真)の関係者15人を逮捕したと発表した。中国では同様の犯行が相次いで摘発されている。
山西省朔州市公安局は3日、患者に症状を誇大に説明するなどで、治療費を上乗せするなどしていたとして、市内にある朔州生殖医院(病院)の関係者15人を逮捕したと発表した。中国では同様の犯行が相次いで摘発されている。
警察によると、朔州生殖病院は2021年から虚偽の広告を出したり、患者の症状を誇張して不当に高額な料金を請求するなどしていた。警察は、恐喝、詐欺、強制取引などの違法行為に該当すると説明した。
朔州生殖病院が設立されたのは07年で、18年からは患者に対して治療の効果を誇大に説明したり、使用している医療機器について非科学的な説明をするなどで、行政により処罰されることを繰り返していた。しかし罰金など比較的な軽微な処罰だった。
警察は逮捕者15人が出た今回の案件について、捜査は現在も進行中として、一般市民に情報提供を求めると同時に、逃走中の容疑者に対して、自主的に警察に出頭するように勧告した。
中国では、同様の事件が多発している。23年になってからも、浙江省温州市、湖北省宜昌市、四川省重州市、広東省清遠市などで、病院側の医療詐欺や、患者に症状を誇張して伝えるなどの事件があったと発表された。近年では、同様の事件に対する処罰が厳しくなる傾向があるという。
四川省・崇州市当局によると、このような医療犯罪の背景には「医託」という、病院側に委託されて患者に薬や医療方法を推薦してリベートを稼ぐ者の存在がある。「医託」は患者や家族をだまして信用させ、自分自身の経験として特定の病院や専門医によい治療を受けたと説明する。だまされた患者は勧められた医療機関で治療を受ける選択をする。「医託」は、中国国外の医療機関を推薦することもあるという。
同様の事例は、1990年後半には発生していた。その背景には、民間の医療機関が激増したことがあるという。インターネットが発達して、医療機関の評判を容易に確認できるようになった現在でも、同様の犯罪は発生している。症状や治療の種類別では、美容外科、産婦人科、糖尿病、関節疾患、不妊症などが多いという。
患者側の被害は金銭面だけではない。高額で購入させられた「魔法の薬」は有効でないことが多く、その「薬」に頼ってしまったために、病状がより深刻化する可能性がある。
浙江省温州市警察が扱った事例では“治療”側に数千元(5000元は約9万9000円)の薬を売りつけた場合でも、原価はわずか20-30元(約200-590円)程度だった。また、患者に薬の効能を信じさせるために、鎮痛薬などを同時に処方していた。
同件では、詐欺グループの中に「名医になりすます者」「治療を受けた経験がある患者や家族になりすます者」、さらには出納係や薬を扱う者、監視役などの役割分担が明確だった。半年以内に600人が騙されて被害額は113万元(約2230万円)に及んだ。同件では、少なくとも11人が刑事事件の容疑者になった。
中国では民間病院がすでに、医療システムの重要な一部になっている。2015年には公立病院数を上回った民間病院はその後も増え続け、20年時点では15年比でほぼ倍増して、国内の病院数の66%以上を占める2万3524カ所に達した。
詐欺行為を行う病院はごく一部だったとしても、民間病院全体の評判が悪くなる恐れが強い。患者側が治療に対して不信感を持てば、医師と患者側のトラブルがより多くなると考えられる。このことが、同様の案件に対する取り締まりや処罰が強化されている主たる理由と考えられている。(翻訳・編集/如月隼人)
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