上海の次は重慶か、武漢か? 中国でディズニーランドの誘致合戦が白熱

Record China    2023年7月23日(日) 18時0分

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中国では、香港と上海に続く、中国として3番目、大陸部として2番目のディズニーランドの誘致が注目を集めている。「下馬評」では、重慶市や成都市、武漢市の名が出ている

中国メディアの新京報はこのほど、中国の主要都市の間で、ディズニーパーク(ディズニーランド)の誘致を目指す動きが白熱していると紹介する記事を発表した。

中国で初めての香港ディズニーランドは2005年に開業した。そして16年には上海ディズニーランドが開業した。しかしその後、「中国第3のディズニー建設」の動きは、さほど目立たない状況が続いた。

しかし都市にとって、ディズニーパークを誘致できれば、大量の観光客が訪れることで「実利」を得られる。また、「あの都市にはディズニーがある」と認識されることは、都市としての「名声」にもつながる。

最近になり、あるネットユーザーがインターネットに広東省広州市について「中国で3番目のディズニーの設置をめざすべき」と投稿した。すると市当局が、ディズニーパークのような大型プロジェクトを実施すれば、市の活性化に大きく貢献するとして、賛意を示すコメントを投稿した。

一方で、湖南省長沙市の文化観光ラジオテレビ局は17日、市民からの質問に回答する形で、(政府)関連部門とディズニープロジェクトのマッチングに高い関心を持っているとして、将来的にプロジェクトを長沙市に定着させる意向を示した。これまで、その他に少なくとも武漢市(湖北省)、重慶市、成都市(四川省)、西安市(陝西省)、天津市で、ディズニーパークの誘致についての「うわさ」が広まったという。

上海ディズニーランドがある上海国際観光リゾートはこのほど、開園7周年に際して上海ディズニーランドの歩みを発表した。同発表によると、上海ディズニーランドの入場者は累計1億1300万人を超え、観光収入は615億元(23年7月22日現在の為替レートで約1兆2000億円)を超えた。また、直接の雇用創出は1万5000人で、直接雇用1人当たり、4-6人の間接雇用が発生したと見積もられる。また、上海ディズニーランドはディズニー史上初めて、開園初年に収支が均衡したディズニーパークだったという。

中国の多くの都市が、上海ディズニーランドの盛況に刺激を受けたことは間違いない。しかし、ディズニーパークの誘致は容易ではない。例えば、上海ディズニーランドの立地と建設については、10年以上にわたる長期交渉を要した。また、中国では地方政府が大型プロジェクトに着手するには、中央政府の許可を受ける必要がある。この交渉にも膨大な労力と時間を要するとされる。

また、ディズニー本社はブランド価値を極めて重視する。ディズニーパークの建設についても慎重で、初のディズニーパークが作られてから現在までに開業したディズニーパークは全世界で6カ所だけで、うちアジア太平洋地域は3カ所だ。ディズニー本社は、ディズニーパークを設ける場所として、高度に発達した地域で、高度に開放され、高度に多元的な都市であることを求める。

また、中国がいくら大市場と言っても、3カ所目のディズニーパークを開設すれば、既存の2カ所との競合や発生する可能性があり、ディズニー本社としてはなおさら慎重になるはずだ。また、中国の首都であり、中国を代表する都市の一つである北京市の場合には、すでに開設されたユニバーサル・スタジオとの競合も考慮せねばならない。

そのため、次のディズニーパークの開設場所としてまず浮上してきたのが、重慶市と成都市だ。両市は06年にはディズニー本社側と接触したが、当時は「条件を満たしていない」と見なされたとされる。しかしそれから10年以上が経過して、重慶市や成都市は目覚ましく発展した。現在では上海を中心とする長江デルタ、広東省などの珠江デルタ、北京を中心とする中国首都圏に続いて、重慶・成都地区は中国の「第4極」の地位を得つつあるとされる。

また重慶・成都地区は、中国中西部で人口の多い地域だ。重慶の常住人口は3000万人を超え、成都の常住人口は2000万人を超えている。

それとは別に、武漢市の関係者も6月になり「武漢市はすでにディズニー側と初歩的な交渉を開始し、プロジェクトについての合意達成に向けて努力している」と発表した。同関係者は市側が希望する建設地として蔡甸区や黄陂区と、具体的な地名も挙げたという。

武漢にはディズニーパークの立地条件で重慶や成都よりも有利な点がある。長江中流沿岸の武漢は、中国西部だけでなく、中国東部からの集客も期待でき、さらに中国を南北に縦断する鉄道も通ることで、同市が中国全国の「交通の要」であることだ。

中国の各地方は、自らのブランド力を向上させることに懸命だ。しかし、中国国内、さらには国際的に地域のブランド力を向上させることは容易でない。他の地にはない長所を創設し、それを広くアピールしていくには、大きな労力や時間を要する。ディズニーパークの誘致に成功すれば、中国内外からの注目度が集まり、地域のブランド力が短期間で向上することを期待できる。それだけに、中国の主要都市は今後、ディズニーパークの誘致にさらに本腰を入れる可能性がある。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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