中国イケメン俳優の情報収集やブロマンスの布教活動…推し活に使える中国語はこれだ!

Record China    2023年8月11日(金) 22時0分

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中国のカルチャーが日本に浸透し、今や生活の中で日に日に存在感を増している。そんな中、推し活に必要な中国語をまとめた「SNSで学ぶ推し活はかどる中国語」が出版された。

ファンタジー時代劇ブロマンスなどの華流ドラマ、イケメン俳優に中華アイドルTikTok中華コスメeスポーツガチ中華漢服、中国通販・ライブコマースマーダーミステリーなどなど、中国のカルチャーが日本に浸透し、今や生活の中で日に日に存在感を増している。

中国のSNSで情報収集したい、現地のファンと交流したいと考える人も増えているが、中国のネット用語や若者用語などの新しい言葉は辞書にも教科書にも載っていないことが多く、まるで暗号のようなものもあり、とても難解だ。

そんな中、推し活に必要な中国語をまとめた「SNSで学ぶ推し活はかどる中国語」が朝日出版社から出版された。著者は中国のオタク・若者文化だけでなく日本のオタクカルチャーにも造詣の深いはちこさん。「ラブライブ!スーパースター!!」で「唐可可」役を務め、歌手・コスプレイヤー声優として大活躍のLiyuu(リーユウ)さんが中国語音声(第1~3章)のナレーションを担当する。

日本ではこれまで資格勉強やビジネスに特化した堅苦しい語学書が多かったが、本書は新しいタイプの中国語語学書で、中華推し活の入門書となっている。「不能同意更多(わかりみが深い)」「太尊了(尊すぎる)」「全世界都来看(全人類見て)」など、全465語、356用例収録の圧巻のボリュームで、語源や類語も余すことなく説明。語学書としてはもちろんのこと、中国カルチャーの読み物としても楽しめる。

以下に一部を紹介する。

【中国ならではの表現】

入坑(「穴落ち」の意)→沼落ち

擺陣→祭壇

長江的水我的泪→今夜長江を流れるのは私の涙です

爬墻→推し変(語源は楚の時代の詩文?)

【オタクの語彙力は世界共通!?】

時間大殺器→時間溶けた

過年了→今日は祝日です

四舍五入等于不要銭→実質無料

【多ジャンル網羅のSNS・ネット用語】

互関→相互フォロー

幇拡→拡散

晨間分享→モーニングルーティン

日常穿搭→OOTD

電競→eスポーツ

【インターネットミーム】

yyds→永遠の神

555→ううっ

Bdjw→教えて

真的栓Q→ありがとうね

また、本書の発売に当たり、レコードチャイナでは著書のはちこさんを取材した。

■この本はどんな対象者向けのものでしょうか?

中華アイドル、華流ドラマ・ブロマンス、中国アニメ・ゲーム、TikTok、網紅コスメ、eスポーツ、漢服、中国通販・ライブコマース、マーダーミステリーといった中国のエンタメや中国カルチャーを追う上で、推し活に使われる中国語を学びたい方、もしくは中華推し活をきっかけに中国語に興味を持っている方向けの中国語学習本です。

■「華流」と呼ばれる中国語圏のドラマが日本で人気となっており、俳優のファンも増えています。今回の本はこうした背景の下で生まれたのでしょうか?

「華流」と呼ばれる中華ドラマブームをはじめとする中国カルチャー人気の後押しもあり、近ごろ、「好き」をきっかけに中国語を学び始める素地が出来上がりつつあり、そのような背景から、これまでになかった切り口の中国語学習本が生まれることになりました。

■言葉は生き物といわれており、ネット用語を勉強しないと今や中国人とコミュニケーションが取れず、話が盛り上がりません。そのような実感はありますか?

特にショート動画アプリやライブコマースなど、動画を媒体にしたSNSの流行により、ネット用語が一層激しく入れ替わり、文脈のないフレーズが謎の理由で大ヒットしています。私もSNSを使う際、トレンドに出てくる表現には困惑することがあります。しかしながら、コミュニケーションが取れず話が盛り上がらないというのは少々大げさだと思います。ネット用語はあくまでも特定の場面や感情、雰囲気を抽象化したショートカットの役割を果たすもので、これが無くとも、代替の表現はいくらでもあります。確かに会話の中で出てきたネット用語やその元ネタが分かるとニヤリとするかもしれませんが、中国人でも100%分かるとは限らないです。話についていけないときは、「それは何が面白いのか教えて」と聞いてみたら、話が広がるかもしれませんね。

■10年前に「電車男」を読んだ際に多くのネット用語と出会って大変苦労したとのことですが、これが本書を執筆するきっかけでしょうか?

本を執筆する直接的なきっかけではないですが、『電車男』を読んでから、日本のネット用語やネット文化を意図的に調べるようになりました。日本のネット上で新しい言葉や話題が出てくるたびに、それに当てはまる中国語はあるか、中国でも似たようなネット文化はあるかを考えるようにしています。それらの積み重ねが本書の一部になったといえるかもしれません。

■中国の推し活に興味を持った理由は何ですか?

2015年ごろ、中国のアイドルにハマったことをきっかけに「推し活」というのを始めました。もともと私はアニオタで、ネットのはやりの言葉やネタにはそこそこ詳しいと自負していたのですが、アイドルファンが使っていた言葉が全く理解できないことにショックを受けました。そこから興味を抱き、ウォッチするようになりました。アニオタやマンガオタクの場合は日本語からの表現が多いですが、アイドルをはじめとする中国コンテンツの推し活はK-POPや韓国語の影響を大きく受けています。さらに、中国SNSならではのお作法もたくさん見えてくるので、個人的に「中国のオタクの言葉や生態」を観察するには、「中華アイドル」界隈は良い対象だと思います。

■本書では中国語での推し活に役立つ情報が提供されていますが、情報の収集方法や裏話について教えてください。

情報収集において特別な方法はなく、分からないことがあったらひたすら調べるのみです。個人的な調べる時のコツは、(例えば発音や当て字から連想するアプローチなど)本書のコラム内で紹介しています。よく分からない表現や使い方を自ら調べる際には、これらのコツをフル活用するのが有用です。普段、なんとなくその界隈の雰囲気を感じたい、受動的でもいいので情報が欲しいといった場合には、よく投稿してくれる他のファンをフォローしています。これらのアカウントの投稿を通して、用語の使い方や文脈を観察しています。

■はちこさんが注目している芸能人はどんな方でしょうか。

2015年ごろに、初めてハマっていた中国アイドルは「TFBOYS」でした。その後離れたりもしましたが、なんだかんだずっとウォッチしていて、ここ1、2年でじわじわと熱が再燃しています(笑)

■中国のファン文化において特に注目すべきポイントやトレンドはありますか?

中国のファン文化は、クラスタごとに異なっていて、それぞれ独自な文化があるので、一概に言えないと思いますが、最近個人的に注目しているのは、ファンによる多種多様な「オフライン活動」です。昔より制限が増えて、ネットでの交流がやりづらくなったのか、それともネットの交流だけでは満足できないのか、理由がそれぞれあるのかもしれないのですが、ファンたちが組織するオフライン活動が特に増えている印象です。

例えば、アイドルファンの場合、映画館のスクリーンを一つ貸し切って、推しが主演する映画を上映する「応援上映会」というものをよく開催しています。地元の後援会が自作の来場特典を用意したりパネルを設置したりして、映画の鑑賞前後にはファン同士で交流します。

アニメやマンガファンの場合、小規模なオンリーイベントの開催となり、借りた会場を原作の世界観に合わせてアレンジし、記念撮影できるフォトスポットなども用意します。これまで、グッズ交換や交流会のみならず、キャラクター同士の結婚式を開催するなど、大きな盛り上がりを見せていました。

現地で体験したことはまだないですが、これらのオフライン活動はどれも面白くて、企画内容や会場展示から主催者の有り余る愛とパワーを感じており、常に感心しています。

■中国と日本の推し活において文化やマナーの違いがあると感じたことはありますか?もしあれば詳細を教えてください。

特にアイドル界隈だと、中国では「単推し」が当たり前なので、「カプ推し」や「箱推し」は少し肩身が狭いかもしれません。なぜならば、成功した芸能人はいずれ皆独立するというキャリアパスが中国では確立され、グループ活動やユニットなどの抱き合わせ販売はあくまでも期間限定のもので、推しにとっては通過点に過ぎないという見方が定着してしまったからです。単推しは、推し一人のために尽くせばいいものの、カプ推しや箱推しは、推しているグループの複数メンバーを徹底的に平等に扱わないと、他の単推しに糾弾されることがあります。もちろん、このような推し活に疲れ、「推し方」の是非について論じるファンは多くいます。メンバー仲が和気あいあいとした長寿アイドルグループの事例が少ないことと、芸能人自身独立の意思が強いこともあり、中国での「単推し一強」の現状はなかなか変わらないと思います。個人的には、推し活は自分の負担にならない程度に楽しくやれば良いと思うので、無理に中国でスタンダードとなっている推し活のやり方や雰囲気には合わせなくてもいいと思います。

■本書の読者に対して、中国で推し活を始める上でのアドバイスやヒントはありますか?

ミームや癖のある文体と触れ合う中華推し活では、実例に多く触れるうちにきっと感覚が研ぎ澄まされていくはずです。慣れないうちにはテンプレート構文を活用するのが良いかもしれません。何より、「語彙の“無さ”」は日中のオタクに共通する特徴なので、オタク構文の受容は高いと思います。場合によっては情報よりも熱量が大事なので、気軽に中国SNSを始めてください。

■本書を通じて、日本や中国でのファン活動について何か新しい気づきや交流のきっかけが生まれたことはありますか?

本書はあくまでも語学本という位置付けなので、一冊の本を通じて交流が生まれるというのはなかなかハードルが高いことです。この本の存在に限らず、日中のファンはお互いの動向を見ていますので、新しい気づきや交流は常に生まれているものだと思います。

■最後に、今後の執筆活動や新たなプロジェクトについて教えていただけますか?

現在、「中華BL用語大事典」という同人誌の執筆をしています。それ以外には、中国テーマのWebオンリーイベントの企画をしていて、今年5月に1回目の開催を終えました。可能であれば、年内にもう一度開催したいです。まだまだ構想段階のため、詳細はお伝えできないのですが、準備が整ったら私のX(旧ツイッター)アカウント「@hathiko8」から告知すると思いますので、中国をテーマに一次創作、二次創作されている方はぜひ声をかけていただければ幸いです。(取材/藤井)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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