Record China 2023年8月15日(火) 10時0分
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シンガポール紙「聨合早報」は10日、中国を訪れる外国人が新型コロナウイルス感染症発生前よりも大幅に減っていると紹介して、その理由を分析する記事を発表した。写真は上海浦東国際空港の入国審査場所。
シンガポール紙「聨合早報」は10日、中国を訪れる外国人が新型コロナウイルス感染症発生前よりも大幅に減っていると紹介して、その理由を分析する記事を発表した。筆者は上海在住のシンガポール人という。以下は同記事の主要部分だ。
6月に中国に入国した外国人は、新型コロナウイルス感染症の発生前の2019年同月と比べて63%も減少した。
例えば、湖南省の張家界国家森林公園は映画「アバター」のロケ地となったことでも有名な観光地だが、19年1-5月には海外から観光客が50万人が訪れたが、23年には年初来5月中旬までで2万5600人にとどまった。シンガポールでは同じ時期に、入国旅客数がコロナ発生前の9割程度までに回復した。
中国を訪問している人の数が増えない要因はいくつもある。まず中国と西側主要国はここ数年、厳しい対立モードに入った。さらに中国政府関係者の失脚も相次いだ。このことで、中国のイメージが損なわれたことも、観光客の足が遠のくことにつながった。
ロシア・ウクライナの戦火はなお激しく、中米間の直行便はコロナ以前の状態に回復していない。中国入国にビザが必要なことも障害だ。大部分の国の人が中国を訪れるにはビザの取得が必要だ。時間も費用もかかる。
中国を多く訪問するのは日本、韓国、マレーシア、シンガポール、米国、オーストラリア、カナダなどの国の人々だが、これらの国の人々は中国以外の国に行くのなら、多くの場合はビザ免除の待遇を受けられる。ビザの問題で中国旅行には苦労が伴うというのなら、旅先として中国を選ぶ気持ちは後退してしまう。
欧州で育った中国系の子が、父親に連れられて一時的に中国に行った。再び欧州に戻ると、同級生から「雲隠れした」と言われた。この罪のない子は、友達に何から話してよいか分からなかった。要するに、世界の主要SNSは中国では使うことが出来ないので、欧州にいた友達は、この子と連絡することができなかったのだ。
中国がインターネットの「グレート・ファイアウォール」を設置した理由はともかくとして、外国人観光客が持つ機器については海外サイトのやり取りを制限しないことは、技術上は難しくない。まして、観光客は自分の体験した旅の様子の映像などをタイムリーに紹介したがるものだ。グレート・ファイアウォールは、中国の観光市場の最高の宣伝のパイプをふさいでいる。
中国では一方で、スマートフォンの利用が実に「進化」している。モバイル決済も普及しており、多くの中国人はキャッシュレスで生活している。しかし、中国人にとっての「利便性」は、海外から中国を訪れた観光客にとっては「不便性」となる。このことも、外国人が中国旅行に二の足を踏む要因だ。
そして中国の観光地は入場料が高額だ。シンガポールの観光地のセントーサ島は、上陸するだけなら料金はかからない。浙江省にある普陀島は、上陸するだけで160元(約3200円)がかかる。休日の場合には200元(約4000円)と、さらにはね上がる。
中国の九寨溝の入場料は1人当たり220元(4400円)で、観光バスを利用する場合でもは90元(1800円)を支払わねばならないが、米国のイエローストーン国立公園の入場料は、自動車1台当たり乗車人数に関係なく25ドル(約3600円)で7日間は自由に出入りできる。
中国の地方政府の強気の価格設定戦略が、中国の観光市場の魅力を低下させている。このことも、中国人旅行者が海外で支払う金額が中国に来た外国人客が中国で落とす金額を大きく上回る「観光貿易赤字」状態が長年に渡り続いてきた大きな原因の一つだ。
多くの西洋人にとって東アジアは全体として一つの概念に含まれ、多くの人にとって中・日・韓のどこかに行くかに大差はない。どの国に行くにしろ、現地の食事や伝統文化を体験できる。西洋人の旅先を選択する理由はサービスがよくて、空気がよくて、ビザなしで行ける便利な場所だ。
韓国はここ数年、ポップカルチャーの輸出大国となり、若者の人気が高まった。日本も近年、国内経済の助けにするために観光業の発展に力を入れてきた。12年には800万人だった外国人観光客数は19年には3100万人に増加した。しかし中国にそのような状況はない。
中国は現在、厳しい国際政治局面に直面している。だからこそ、海外からの観光客を誘致せねばならない。人と人が直接に対面しての意思疎通は、いつの時代においても誤解と偏見を解消する最良の方法だからだ。(翻訳・編集/如月隼人)
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