中国産「地溝油燃料」に不正疑惑―独メディア

Record China    2023年8月29日(火) 8時0分

拡大

27日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国産のバイオ燃料が「地溝油」と呼ばれる使用済みの食用油を再利用して製造されたものではない可能性があるとの指摘が出ていることを報じた。

2023年8月27日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国産のバイオ燃料が「地溝油」と呼ばれる使用済みの食用油を再利用して製造されたものではない可能性があるとの指摘が出ていることを報じた。

記事は、廃食油やわらなどのバイオマスは燃料に加工することができ、石油を原料とする従来の燃料に比べて正味の二酸化炭素排出量が大幅に少ないと紹介した上で、ドイツでは中国からのバイオディーゼルの輸入が特に急増しており、ドイツのバイオ燃料産業協会によると今年1〜6月に中国から輸入されたバイオディーゼル量は前年同期比で倍増したと伝えた。

そして、欧州のバイオ燃料生産者は需要が増えているにもかかわらず、中国から格安のバイオ燃料が大量に輸入されるようになり、ここ数カ月で市場価格が急落しているため経営が厳しくなっていると指摘。すでに倒産の危機に瀕しているところもあり、関連企業の多くは赤字を出していると紹介した。

その上で、バイオ燃料の増産は決して短期間で急速にできるものではなく、中国から輸入されるバイオ燃料が廃油などのバイオマスからではなく、食糧になり得る菜種、大豆、穀物から直接生産されており、二酸化炭素排出量基準などの点で不正を働いている可能性を指摘する声が出ていると紹介。欧州最大級のバイオディーゼル生産会社であるドイツのVERBIOが「バイオ燃料は特別な工場でしか製造できない。生産ラインの完成には約3年かかるため、中国産のバイオ燃料が短期間でヨーロッパ市場に大量に出回るようになり、しかもわれわれの半分の価格で提供できるなどというのはありえない」との見解を示したとしている。

記事はまた、バイオ燃料の原料特定についてドイツバイオ燃料産業協会が「実験室でさえ、完成したバイオ燃料の原料成分が新鮮な植物油なのか、それとも揚げ物の廃油なのかを確認するのは難しく、あらゆる種類の証明書に頼らざるを得ない」との認識を示していること、肝心の認証体制も必ずしも万全ではないことを紹介。その中で、欧州連合(EU)の廃油認証制度が今年3月、中国産バイオ燃料原料に対する業界の懐疑的な見方に関心を示したほか、ドイツ連邦農業食糧庁がある企業のバイオ燃料工場3カ所に特別査察を行い、認証を取り消すなどの動きを見せているものの、欧州委員会もドイツ政府も中国の「地溝油」に対する疑惑については確認できていない状態だと伝えた。

さらに、VERBIOが中国企業に対する規制で悩まされるのはバイオ燃料業界だけではなく「将来的には鉄鋼やアルミニウムのような素材の製造工程における環境適合性も、認証メカニズムに大きく依存することになる」と指摘したほか、今後欧州に大量に輸出される可能性がある中国製の「グリーン水素」(グリーン電力で製造された水素)についても「実際にはロシアの天然ガスから水素を製造してそれをグリーン水素と称する可能性があり、欧州の地場産業に破滅をもたらすと同時に欧州の対中国製品依存が高まるだろう」と警告したことを紹介している。(翻訳・編集/川尻

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携