台湾の女性歌手ジョリン・ツァイ（蔡依林）が中国・長沙市で開催したコンサートで、人気曲の1つ「玫瑰少年」が歌われなかったことに、多くのファンがSNSなどで不満の声を上げている。

ジョリン・ツァイのワールドツアー「Ugly Beauty」は2019年12月の台北アリーナ公演でスタート。その後、20年には新型コロナの影響で予定されていた中国11都市での公演がすべて中止されたが、今年7月の広州公演から中国ツアーを再開。10都市で計11公演を行う予定で、2日には湖南省長沙市の新世紀文化センターでステージを開催した。

だが、この長沙市のステージでは、セットリストから「玫瑰少年」が抜けていたことが明らかに。「玫瑰少年」は台湾で実際に発生した少年の死亡事件を背景に、すべての性的マイノリティの自由な魂に捧げる歌となっており、第一弾の広州公演ではLGBTQの尊厳を意味するレインボーカラーの照明が会場を埋め尽くして話題になった。

しかし、広州に続いて行われた上海公演では、このレインボーカラーの演出がなくなっており、台湾の娯楽メディアでは、中国当局への通報によって演出を禁じられた可能性が高いと報じている。なお、広州公演では会場に奇抜でユニセックスなファッションに身を包んだ男性ファンが、大勢駆けつけたこともウェイボーで話題になっていたという。

台湾では19年、アジアで初めて同性婚が合法化されたが、この活動をずっと支援してきた女性歌手アーメイ（張恵妹）が先月、北京市で開催したコンサートでは観客に対し、レインボーカラーのグッズや旗などを持っていないか入場前のチェックが行われたことも注目の話題となっていた。(Mathilda)