中国新聞社 2023年9月15日(金) 21時30分
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マンゴーといえば「トロピカルフルーツ」の代表格だ。原産地は南アジアだが、現在では南米などでも栽培されている。まさに過去から現在に至るまでに形成された「マンゴーロード」だ。
マンゴーといえば「トロピカルフルーツ」の代表格だ。原産地は南アジアだが、現在では南米などでも栽培され、世界の食卓をにぎわしている。まさに過去から現在に至るまでに形成された「マンゴーロード」だ。マンゴーという果物にはどのような特徴があり、栽培関連の研究や協力はどのような状況なのか。広西チワン族自治区亜熱帯作物研究所マンゴー研究センターの黄国弟主任はこのほど、中国メディアの中国新聞社の取材に応じて、マンゴーにまつわるさまざまな話題を紹介した。以下は黄主任の言葉に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。
マンゴーはウルシ科マンゴー属に属する植物だ。マンゴー属は南アジアや東南アジアの熱帯地域に分布している。中国の広西チワン族自治区や雲南省はマンゴー分布の辺縁地域だ。
世界で最も早くマンゴーが栽培された国はインドだ。仏教信者はマンゴーを聖なる果物と見なした。マンゴーは仏への供え物としてとりわけ重要だった。今でも野生のマンゴーの木がインドのあちこちで見られる。
マンゴーは紀元前5世紀から前4世紀にかけて、仏教の伝播に伴いインドから東南アジア諸国に伝播した。そして15世紀から16世紀にかけては、ポルトガル人がインドからヨーロッパにマンゴーを持ち込み、その後、世界の他の地域にも広まった。
中国にマンゴー栽培が伝わった状況については2つの言い方がある。まず、唐代の僧侶の玄奘(602-664年)がインドから持ち帰ったという説だ。ただし、マンゴーの果実や種子はいずれも貯蔵に耐えられないため、交通が極めて不便だった1000年以上も前に、インドからマンゴーを中国に伝えた可能性は低い。一方で、玄奘が中国への帰路の途中に、中国の周辺国でマンゴーの種を入手して中国に持ち帰った可能性はある。もう1つの説は、ミャンマーから雲南へ、ベトナムから広西へと、自然に伝わったという見方だ。
マンゴーは「トロピカルフルーツの王」などと呼ばれて評価されてきた。マンゴーは他の果物と比べて、果実の形や色合いが豊富だ。例えば果実の形は円形や象牙型などさまざまで、色合いも緑色、だいだい色、赤色、紫などと豊富だ。マンゴーの果肉には糖、脂肪酸、ミネラル、タンパク質、ビタミン、アミノ酸、有機酸など多くの栄養成分が含まれている。特にビタミンAが豊富で、ビタミンCの含有量もレモンなどに比べて遜色ない。糖度が高く、香りが強いことも相まって、マンゴーは人々を魅了した。だからこそマンゴーは多くの国に伝えられた。
またマンゴーという植物には一定の薬効がある。例えばマンゴーの葉にはマンギフェリンと呼ばれる去痰効果のある物質が含まれている。この物質は咳や痰の多さ、息切れなどの症状に対して補助的な治療作用がある。広西ではマンゴーの葉が古くから民間薬として使われてきた。広西中医薬大学製薬工場はマンギフェリンを抽出して咳止め錠を作っている。
今では世界で100を超える国と地域でマンゴーが栽培されている。その北限は中国では四川省南部で、日本の南部でも栽培されている。長期にわたる自然選択と人による選別と育成により、世界のマンゴーの品種数は1000種を超えた。
インドは今も世界でマンゴーの遺伝資源が最も多い国だが、市場に広く流通している品種は少ない。米国はマンゴーの主たる生産国ではないが、現在の大部分の国際的商業品種は米国に由来している。というのは、米国ではインドなどの国の品種を導入した後、積極的に品種の選別と育成が行われ、外観が良く、収穫量が多く、病気に強く、異なる気候に適応できる優良な品種が登場したからだ。また、米国は品種の普及に比較的開放的な態度で臨んだので、米国で登場した優良品種が世界各地で広く栽培されるようになった事情がある。
1950年から現在に至るまで、中国地区で登場して、大面積で栽培されている品種には、例えば台湾で生み出された台農1号芒や金煌芒、広西亜熱帯作物研究所で作られ桂七芒(桂熱芒82号)、桂熱芒10号、広西農学院の紅象牙芒、中国熱帯農業科学院南亜所の熱農1号などがある。広西チワン族自治区百色市は中国最大のマンゴー産地で、栽培面積は9万1700ヘクタールに達し、年産額は100億元(約2000億円)を超えている。そして農家9万5000世帯の約9万5000人がマンゴーの栽培に従事している。つまり、マンゴーは農家の増収や農村振興に貢献している。
大まかな統計によると、世界のマンゴーの年間貿易量は900万トン以上だ。生マンゴーの最大の輸入地域は北米と欧州で、最大の輸出地域はアジアと南米だ。加工品のドライマンゴーも大量に流通している。
中国で栽培面積が最大のマンゴーの品種は、台湾の業者によってもたらされた台農1号芒だ。われわれは台湾側と長年にわたり種子資源を交換しあってきた。さらに台湾の屏東大学、前山園芸研究所、嘉義市、台東県などの関連施設や行政側とマンゴーの科学研究、生産考察、学術交流を行ってきた。
マンゴーについては中国と国際市場との結びつきが成立するのが早かった。またASEAN諸国は生産管理や市場開発などの面で豊富な経験を持っている。例えば、タイの農業生産は企業や大農園による場合が多く、産業化が進んで管理水準が高い。また、タイではマンゴーのブランド品種の育成が特に重視されている。中国とタイ、ミャンマー、カンボジアなどの東南アジア諸国はここ10年余りの間に相互訪問を繰り返し、マンゴーの栽培技術、種子資源についての視察や導入、共有などの交流を行ってきた。
われわれは「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」を活用して、ASEAN諸国と栽培、収穫後の貯蔵保存技術などの面で交流や協力を展開している。ASEAN向けの技術輸出については、ASEAN諸国と共同で科学技術革新センターとモデル拠点を設立し、マンゴーの品種創製、新品種の育成、貯蔵加工などで共同研究を展開し、適応性が高く、良質で貯蔵に強い新品種を選別・育成し、品種構造を最適化し、産業競争力と影響力を高める計画だ。(構成/如月隼人)
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2023/9/11
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